多様性(divercity:ダイバーシティ)やSDGsという言葉をよく聞くようになり、1人ひとりの違いを認めて尊重する価値観が浸透してきたように感じます。
個々の違いを受け入れて価値として考えられたら、きっと差別はなくなりますね。
子どもが高校生になったら一緒に読めそうな、差別や多様性について考えられる本をまとめました。
どれも実際に読んでおすすめだった本を紹介しています。
目次
差別と多様性について考える本おすすめ5選
差別と多様性について、思考を深められるおすすめの本を5冊紹介します。
差別はたいてい悪意のない人がする
”悪意なき差別主義者”がどうして生まれるのか、そして差別的な感情とどう向き合えばいいかを考えられる本です。
自分の前提が絶対であると信じたうえで公平を語ると、誰かにとっては不公平な世界になるかもしれません。
人はかんたんに差別してしまうからこそ、差別が潜んでいないかに意識を向けるのが重要です。
参考記事:『差別はたいてい悪意のない人がする』の要約まとめ:誰でも差別主義者になりうる
差別の哲学入門
哲学的に考えるとは、まず差別を定義して明確にし、その前提になっていることを問い直すような態度のことです。
差別とはどういうものか?/差別はなぜ悪いのか?/差別はなぜなくならないのか?という3つの問いを立て、実際の事例や思考実験をしながら差別の正体を明らかにしていきます。
一緒に考える授業を受けているようで、とても読みやすいのに気づきが多い本でした。
参考記事:『差別の哲学入門』の要約まとめ:差別とはどういうものでなぜ悪いのか
多様性の科学
多様性がある環境をポジティブに活用すれば、新しい視点がもたらされて今まで思いつかなかったアイディアが生まれやすくなります。
多様性は差別の原因となる場合もありますが、ポジティブに活用することもできます。
たとえば、見ている視点や世界が違えばカバーできる範囲が広くなり、集合知としては大きくなるのです。
違いを差別の要因にするのではなく、価値に変えていけるという希望が持てる本です。
参考記事:『多様性の科学』の要約と感想:多様性がなぜ必要なのか?がわかる本
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
アイルランド人の父と日本人の母を持つ「ぼく」の、イギリスでの中学校生活を描いたエッセイ。
一般書に比べると、会話が多くて格段に読みやすいです。
多様性はなぜ必要なのか、アイデンティティと差別はどう関係しているのか、どうしたら異なる他者を理解してみようと思えるのか等を考えられます。
参考記事:『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の感想まとめ:多様性とアイデンティティ
マイノリティデザイン
弱さを社会の伸びしろと捉えて生かす社会づくりがテーマの本です。
マイノリティデザインとは、弱さと誰かの強さを組み合わせること。
マイノリティの困りごとに寄り添ってニーズを発見することで、
マイノリティに留まらず、社会を便利に快適にするアイディアが生まれます。
参考記事:『マイノリティデザイン』の要約:弱さは誰かの強さを引き出す力である
差別と共感について考える本
共感の欠如が差別につながります。自分が共感できる人たちには差別の感情がわきませんよね。
差別と共感について考えられる本をまとめました。
ケーキの切れない非行少年たち
認知のゆがみが非行の原因になっていることを指摘した本。
認知トレーニングをすることでゆがみを改善でき、それは非行に走っていないけれど軽度の知的障害を持つ人にも役立ちます。
前科がある少年は加害者側と認識されてなかなか共感を得ることはできません。
しかし、加害行動の裏には本人にもどうしようもない認知の歪みがあるかもしれない、と想像力を持てる本です。
参考記事:『ケーキの切れない非行少年たち』の要約と感想:認知機能のゆがみの早期発見が重要
どうしても頑張れない人たち
『ケーキを切れない非行少年たち』の続編です。
どうしてもがんばれない人に対して支援が届かない問題を取り上げています。
「がんばれない」というと、個人の弱さや自己責任として受け止められがちです。
しかし、頑張れない人たちにも支援が必要な場合があります。
参考記事:『どうしても頑張れない人たち』の要約まとめ:がんばらなくていいは本当?
共感という病
共感したい人だけにスポットライトを当てることで他の人を排除してしまう、共感を利用したマーケティングで共感疲労をしてしまう等、”共感にどこか感じていた違和感”が言語化されています。
著者はNPO法人でテロリストの社会復帰や更生を支援している方。
ソマリアなど、自分が知らない紛争地域でのエピソードを知ることができます。
参考記事:『共感という病』の要約:共感されない人をどうやって助けるか?【惻隠の情と社会規範】
ポリコレの正体
「差別が良くないのはわかるけど、過剰に反応している人もいるよね?」というモヤモヤを考えられる本。
ポリコレ(political correctness:政治的妥当性)とは、特定の集団に不利益を与えないように表現に配慮することです。しかし、ポリコレが行き過ぎて言葉狩りになったり、過剰に取り締まり過ぎて逆に多様性がなくなったりしています。
表面に表れる差別を統制する息苦しい社会ではなく、差別がなくてさらに寛容な社会とはどういうものかを考えられます。
多様性のある働き方を考える本
多様性のある、誰でも働きやすい組織、ダイバーシティ経営を掲げる会社も増えました。
多様な人がそれぞれの強みを発揮しながら一緒に働ける組織とはどのようなものか?を考えられる本をまとめました。
LGBTQの働き方をケアする本
トランスジェンダー当事者が、誰でも働きやすい職場をつくる方法をまとめた本。
実際に対応に迷いそうな事例がたくさん載っており、どういう姿勢で接すると安心して働ける職場になるのかがわかります。
たとえば、次のような事例が取り上げられています。
・男性社員が女性の容姿をして出社してきた
・カミングアウトされたらどう受け止めたらよい?
・トランス女性の従業員が女性用トイレを使用することに女性社員が反対している
など
「アンコンシャス・バイアス」マネジメント
アンコンシャス・バイアスとは無意識の思いこみや偏見のこと。
たとえば、次のようなものがあります。
・事務は女性社員の仕事
・育児休暇を取る男性は出世欲がない
・今どきの若者は打たれ弱い
・今までのやり方が正解だ
・小さい子どもがいる社員は忙しくない部署を希望するはずだ など
バイアスを持ったままマネジメントするとメンバーの力を十分に発揮できず、生産性が低下します。
多様な価値観を活かすためにアンコンシャスバイアスに気づいて対処するマネジメントがわかる本です。
参考記事:『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』の要約:最高のリーダーは自分を信じない
失われた賃金を求めて
進学、就職、評価、昇進など、さまざまな観点で性別による違いが考察されています。
性別によって賃金が違うことがある。もっとハッキリ言えば、人生のさまざまな局面に潜む性差別は、一生を通じて女性の経済力をバッサバッサと切り落とし、あるいはジワジワと削り取っていく。
能力がない(から賃金に差があるのは当然で差別ではない)、出産で仕事を離れる期間がある、女性は高収入の職種を選ばない等の主張を覆し、女性の置かれている状況を浮き彫りにしていきます。
参考記事:『失われた賃金を求めて』の要約まとめ:男女の賃金格差を考察
異なる人と「対話」する本気のダイバーシティ経営
ダイバーシティ経営を進めるためのヒント、事例がわかる本です。
マイノリティに同化を求めるのではなく、違いを価値に変える組織へのステップが学べます。
ダイバーシティ経営の本は海外の事例が多いですが、この本は日本企業の事例が多くて参考になります。
参考記事:『異なる人と「対話」する本気のダイバーシティ経営』の要約と感想
差別や違いを乗り越えてつながるための本
差別や個々の違いを乗り越えて、お互いに尊重しあう社会が理想ですよね。
そのためには、思い込みから自由になる謙虚さと異質な他者との対話が重要です。
「人それぞれ」がさみしい
多様化した社会では、「人それぞれ」で対話が終わってしまうことが多いです。
「こういう違う考え方もあるよ」という意見を、「まぁ~人それぞれだよね」で終わらせることは、対話を放棄するのと同じ。
「人それぞれ」のあふれた社会がどのようなもので、どんなデメリットがあるか、どうすればさみしさを払拭できるかのヒントがわかります。
参考記事:『「人それぞれ」がさみしい』の要約まとめ:やさしいようで冷たい言葉
「みんな違ってみんないい」のか
「みんな違ってみんないい」の考え方は、”人や文化によって価値観は人それぞれ”という相対主義です。
相対主義:人や文化によって価値観は人それぞれ
普遍主義:客観的で正しい答えがある
人それぞれで終わらせることは「そこで議論はおしまい」と宣言するのに等しく、相反する意見の場合には人それぞれを乗り越えてより正しいと思える答えを模索する必要があります。
参考記事:『「みんな違ってみんないい」のか』の要約と感想:正しさはともにつくるもの
なぜ人と人は支え合うのか
障害者を通して、人と人とのあり方、社会のあり方を考える本 。
価値がある/ないとはなにか、自立とはどういうことかを考えることができます。考えるきっかけも、障害者が社会にもたらしてくれる価値なのかもしれません。
参考記事:『なぜ人と人は支え合うのか』の要約と感想:障害について考える
同じ著者の『こんな夜更けにバナナかよ』と一緒に読むのがおすすめです。
「わかりあえない」を越える
他者を100%理解することはできないのが当然ですよね。それでもつながりたいのが人間というもの。
NVCを使えば、自分の感情に自覚的になり、率直にリクエストを伝えられます。
NVC(非暴力コミュニケーション):
自分の内側と外側に平和をつくる、思いやりのある与え合いのコミュニケーション
自己尊重と他者の尊重を両立させるコミュニケーションがわかる本です。
参考記事:『「わかりあえない」を越える』の要約まとめ:NVC(非暴力コミュニケーション)とは?
アンソロ・ビジョン
人類学のように虫の目で集めた情報と、ビッグデータのような鳥の目で見た情報を合わせることで、新しい洞察が得られる、という本。
ビジネスに生かすという主旨の内容ですが、虫の目で見ることに、差別から自由になるヒントもあります。
アンソロ・ビジョン=人類学(anthropology)の視野(vision)
異なる他者を理解するためには、単なるデータからではわからない、そこに見出している意味の違いを理解することが重要です。
この人はどんな意味を見いだしているのか?どんな世界を見ているのか?を理解すれば、きっと差別の気持ちはなくなるでしょう。
参考記事:『アンソロ・ビジョン』の要約まとめ:人類学の視点で世界を見てみる
Think Again
思考柔軟性(メンタル・フレキシビリティ)の重要性がわかる本です。
思考柔軟性:既存の考えを新たな視点から見つめ直すこと
謙虚さを持って自分を疑うことで、思いこみから逃れられます。
差別や偏見は思い込みが作っていますよね。
顔のない集団にラベルを貼ることで差別が生まれるとしたら、1人ひとりを見ることでラベルの無意味さに気づけるのではないでしょうか。
参考記事:『Think Again』の要約まとめ:思考柔軟性(メンタル・フレキシビリティ)を上げるには?
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