『ケーキの切れない非行少年たち』の要約と感想:認知機能のゆがみの早期発見が重要

『ケーキの切れない非行少年たち』の要約と感想:認知機能のゆがみの早期発見が重要

『ケーキを切れない非行少年たち』は、

どうして非行に走ってしまうのか、非行を防止するためにどうすればよいかがわかる本。

 

著者は児童精神科医であり、医療少年院で勤務した経験から、

非行少年の抱える問題を明らかにしています。

非行少年に対するイメージががらりと変わります。

★『ケーキの切れない非行少年たち』の要約ポイント★

 

・認知のゆがみが非行の原因になっている

 

・非行少年に共通する5つ+1の特徴

 

・どうすれば非行を防止できるか?

 ⇒1日5分の認知トレーニング、自己認識と自己評価の向上

親や教師など、子どもの教育に関わる人全員におすすめの本です。

この記事では、『ケーキの切れない非行少年たち』の要約と感想を紹介します。

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『ケーキの切れない非行少年たち』の要約

『ケーキの切れない非行少年たち』の要約ポイントは次のとおりです。

★『ケーキの切れない非行少年たち』の要約ポイント★

 

・認知のゆがみが非行の原因になっている

 

・非行少年に共通する5つ+1の特徴

 

・どうすれば非行を防止できるか?

 ⇒1日5分の認知トレーニング、自己認識と自己評価の向上

1つずつ詳しく紹介します。

 

要約①:認知のゆがみが非行の原因になっている

 

非行の背景には認知のゆがみがある、と著者は考えます。

 

『ケーキの切れない非行少年たち』のタイトルにある通り、

少年院の少年は、丸を描いて”3等分にしてください”という課題ができないことが多いです。

 

⇓新書の表紙にケーキの図が載っています。

ケーキの切れない非行少年たち

 

認知機能とは、見る・聞くなど五感からの刺激を受け取って情報を整理する能力です。

認知機能にゆがみがあると、情報を間違って理解したり、そもそも理解できなかったりします。

対人関係でも誤解が生じやすく、学校の授業についていくのも大変です。

 

だから、認知機能が正常に機能していることを前提にした働きかけはうまくいきません。

 

相手の言っていることがわからない・相手の立場に立つ想像力がないのに、

「自分のしたことを反省しなさい」といってもどうすれば良いかわからないのです。

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要約②:非行少年に共通する5つ+1の特徴

 

『ケーキの切れない非行少年たち』では、

非行少年に共通する特徴を5つ+1紹介されています。

<非行少年に共通する特徴>

 

①認知機能の弱さ:見たり聞いたりしたことを理解する能力や想像力が低い

 

②感情統制の弱さ:感情(特に怒り)を抑えられない

 

③融通の利かなさ:他の可能性が見えない、短絡的

 

④不適切な自己評価:自己評価が極端に高い、または、低い

 

⑤対人スキルの乏しさ:断れない、いじめに遭う

 

+1 身体的不器用さ:力加減や身体の動きをうまくコントロールできない

身体的不器用さが+1とされているのは、

他の特徴に比べてスポーツ経験がある子など当てはまらないケースもあるからです。

 

どの特徴も相互に関係しています。

対人スキルが乏しいのは認知機能の弱さが起因している可能性があり、

他人との関係性が薄いために自己評価が適切に修正されません。

 

自己愛が強すぎたり、自分に自信がないと怒りを感じて感情に任せた行動を取りやすく、

お金がない⇒奪うなどの短絡的な思考に陥ってしまいます。

 

非行少年は高確率でいじめの被害者であることが印象的でした。

 

認知機能が弱いことや身体的不器用さから、

ふざけている子・変な行動をする子などと見られていじめの対象になりやすいそうです。

いじめのストレスからもっと弱いものに怒りをぶつけて、

暴力行為や犯罪に至ってしまうことも多いのだとか。

 

いじめは直接被害者を作り出すだけでなく、

いじめの被害者を加害者にして新しい被害者を生み出してしまう点でも罪深いですね。

 

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要約③:認知トレーニング+自己認識と自己評価の向上で非行を防止

認知のゆがみなど、非行少年の特徴を持つ子どもたちにどう支援すればよいのでしょうか。

著者は下記の2つを挙げています。

・1日5分の認知トレーニング

 

・自己認識を深める、自己評価を上げるような機会を作る

1日5分の認知トレーニングの例としては、点つなぎ(点をつないで図形をつくる)や心で回転(回転した図形を想像する)などが紹介されています。

 

認知トレーニング(通称コグトレ)の内容は、

著者の別の本⇓にまとめられているそうです。

クイズや遊びのようなトレーニングが多いので、自尊心を傷つけずに取り組めます。

 

また、自己認識と自己評価を上げる機会を提供するのも重要です。

 

自己認識には他者の存在が必要です。

他人から見られている、お互いに観察することで、自分への気づきが得られます。

 

教師が一方的に教えるのではなく、グループワークをおすすめしています。

 

認知機能が弱い少年のトレーニングをしているとき、

少年に先生役を任せてみたら一気にクラス全体のやる気が上がったそうです。

一方的に教えられるのではなく、

”力を発揮した”という実感を得られる機会を与えるのが大切なんですね。

矯正教育に長年携わってきた方が、こう言っていました。「子どもの心に扉があるとすれば、その取手は内側にしかついていない」。まさにその通りだと思います。子どもの心の扉を開くには、子ども自身がハッとする気づきの体験が最も大切であり、我々大人の役割は、説教や叱責などによって無理やり扉を開けさせることではなく、子ども自身にできるだけ多くの気づきの場を提供することなのです。

『ケーキの切れない非行少年たち』を無料で読む方法

 

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『ケーキの切れない非行少年たち』の感想

 

『ケーキの切れない非行少年たち』を読んで、個人的に心に残ったポイントを紹介します。

 

(前略)現在知的障害者の定義はおおよそIQが70未満で社会性に障害があることとなっています。この定義であれば、およそ2%が知的障害に該当することになります。しかし、1950年代の「IQ85未満」を適用すると、16%ということになります。

IQの基準が70未満に引き下げられたことで、

IQ84~70の人々は公的な支援が受けられず生きづらさを感じていると推測されます。

 

IQが引き下げられたのは、IQ84~70の人に支援が必要ないからではなく、

16%もの人々に認定してしまうと制度が維持できない等の理由でしょう。

 

認知トレーニングは身の回りにあるもので安価にできるので、

早く気づいて取り入れれば日常生活を送る助けになります。

 

問題なのは自尊感情が低いことではなく、自尊感情が実情と乖離していることにあります。何もできないのにえらく自信をもっている。逆に何でもできるのに全然自信がもてない。要は、等身大の自分をわかっていないことから問題が生じるのです。

数年前に自己啓発書や育児本に”自己肯定感ブーム”がありましたが、

なんだか違和感がありました。

その違和感が払拭されて、個人的にスッキリしました。

自己肯定感を上げれば良いってものではないですよね。

 

ポジティブな面を見ようとする姿勢は大切ですが、

無理やりほめるところを見つけるのは自己評価を実情と乖離させてしまうかもしれません。

 

認知のゆがみで勉強ができない子の自己評価を上げるには、

認知のゆがみを改善して勉強がわかるようにするのが根本的解決です。

 

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まとめ:認知のゆがみを早期発見して非行を防ぐ

・認知のゆがみが非行の原因になっているケースが多い

 

・認知機能が弱い少年に認知機能が必要なアプローチは意味がない

 

・非行少年たちに共通する特徴

認知機能の弱さ/感情統制の弱さ/融通の利かなさ/

不適切な自己評価/対人スキルの乏しさ/身体的不器用さ

 

・いじめは被害者を新たな加害者にしてしまう可能性がある

 

・認知機能の改善には1日5分の認知トレーニング(コグトレ)が有効

 

・自己認識と自己評価向上の機会を提供する

少年犯罪をただ怖がるだけでは、大人として無責任だと反省しました。

非行をどうしたら防げるか?と考えさせられる本です。

子どもに接する機会が多い方はぜひ読んでみてくださいね!

 

★今回紹介した本★

 

★おすすめの本★

『認知症世界の歩き方』は認知症の方から見た世界が体験できます。

「同じものを見ていても認知機能によってこんなに見え方が違う」と驚く本です。

 

『Humankind 希望の歴史』は性善説をベースにした世界がテーマ。

罰というより更生に主眼を置いた刑務所っぽくない刑務所も登場します。

参考記事:『Humankind 希望の歴史』の要約と感想:人の本質は善であると信じられる本

 

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