『どうしても頑張れない人たち』の要約まとめ:がんばらなくていいは本当?

『どうしても頑張れない人たち』の要約まとめ:がんばらなくていいは本当?

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『どうしても頑張れない人たち』は、がんばりたくてもがんばれない人たちの心理と支援の方法がわかる本。

著者は児童精神科医であり、医療少年院で勤務した経験があるそうです。

 

非行少年の抱える問題を明らかにした『ケーキの切れない非行少年たち』の続編です。

⇓『ケーキの切れない非行少年たち』の要約はこちらにまとめています。

参考記事:『ケーキの切れない非行少年たち』の要約と感想:認知機能のゆがみの早期発見が重要

 

★『どうしてもがんばれない人たち』の要約ポイント★

 

・”がんばらなくていい”は無責任

 

・がんばれない理由を知る

認知機能の弱さ、見通しの弱さ、欲求段階の問題

 

・がんばれない人を支援するためには?:安心の土台/伴走者

”がんばらない”と”がんばれない”は他者から違いがわからないので、

”がんばれない”人に支援の手が届きにくいんですね。

 

子どもが”がんばれない”状況に陥った時、どう接していいかのヒントになりました。

この記事では『どうしても頑張れない人たち』の要約を紹介します。

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要約①:”がんばらなくていい”は無責任

 

最近は”がんばらなくていい”というメッセージを目にすることが多くなりました。

 

嫌な会社からは逃げていい、勉強ができないなら勉強以外の好きなことに打ち込めばいい等、一見ポジティブなメッセージですが、無責任な面もあります。

 

「嫌なこと・難しいことはがんばらなくていい」という環境で育てば、がんばらないのが当たり前になるでしょう。

しかし、周りについていけなくなって自己肯定感が下がったり孤立したりすることで不利益を被るのは本人なのです。

ブラックな労働環境など切迫する危険があるときは逃げていいと思いますが、ちょっと嫌なら逃げる・がんばらないという風潮は本人のためになりません。

 

大切なのは無理をしないでがんばれるように支援することです。

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要約②:がんばれない理由を知る

 

がんばりたくてもがんばれない理由は大きく3つあります。

・認知機能の弱さ

 

・見通しの弱さ

 

・欲求段階の問題

 

認知機能の弱さとは情報を受け取るときに認知の歪みがあることです。

認知機能:見る・聞くなど五感からの刺激を受け取って情報を整理する能力

 

その結果、周囲と同じようにできない・意図を誤解してしまう等の失敗が重なり、

「どうせやってもムダ」とがんばれなくなってしまいます。

 

見通しの弱さとは、これをやったらどうなるか?が近視眼的にしか考えられないこと。

たとえば、勉強することに対して次のような見通しを立てるとします。

勉強する⇒テストでいい点が取れる⇒大学受験に合格する⇒職業の選択肢が増える⇒経済的に安定する

勉強が将来の自分の未来を良くしてくれると信じられる人は、

今めんどくさいと思っても勉強することができます。

 

しかし、見通す力が弱いと”テストでいい点が取れる”までしか想像できず、

「別にテストで悪い点でもいいや」と思えば勉強をがんばる気持ちは弱くなるでしょう。

 

そのとき、「将来困るかも…」という長期的なプランは見通せていません。

見通し力が弱いと、後から逮捕されることまで思い至らず、

短絡的に犯罪に手を染めてしまう人もいるそうです。

 

欲求段階の問題とは、人間の欲求には段階があり、前の段階を満たしていないと次の欲求が持てないということです。

 

【マズローの欲求5段階説】

 

・生理的欲求 :食事、睡眠など生きていくのに必要な欲求

 

・安全欲求  :心身の安全、経済的に安定している

 

・社会的欲求 :家族、友人や社会などに所属している

 

・承認欲求  :他人に自分の存在価値を認められたい

 

・自己実現欲求:自分の能力や可能性を発揮したい

衣食住が保証されている、自分の心身を脅かす存在がいない、他者とつながりが感じられる等が満たされていないと、より高次の自己実現に向かう意欲は湧きません。

 

がんばるためにはまず安心できる環境と認めてくれる他者が必要なのです。

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要約③:がんばれない人を支援するためには?

 

がんばれない人を支援するために2つのポイントがあります。

・安心の土台

 

・伴走者

安心の土台とは、結果に関係なく支援してもらえる・見捨てられることはないと感じる土台となることです。

がんばったら支援する/失敗したら支援を打ち切る等の条件がついていれば、それは安心の土台になりません。

 

この支援者は信頼してよいか?を確かめるために、ためし行動をする人もいます。

わざと迷惑をかけるようなことをして本当に見捨てないか確認しているのです。

 

支援者からすれば迷惑な行為かもしれませんが、不安だから・傷つきたくないからためしていると考えて安心の土台になることを示すことが本人の安心のために必要です。

 

伴走者とは、チャレンジを静かに見守り寄り添うことです。

進学、就職など新しい環境に飛び込むことはチャレンジです。

 

達成できたことを見つけて承認することで、自信ややる気につながります。

失敗のダメ出しや支援者自身の考えの押し付けはNG。

うまくいってもいかなくても、安心してチャレンジできる環境をつくりましょう。

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『どうしても頑張れない人たち』を無料で読む方法

 

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『どうしても頑張れない人たち』の次に読むなら?

 

『どうしても頑張れない人たち』とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『ケーキの切れない非行少年たち』

 

認知のゆがみが非行の原因になっていることを指摘した本で、『どうしてもがんばれない人たち』の前作になります。

 

認知トレーニングをすることでゆがみを改善でき、

それは非行に走っていないけれど軽度の知的障害を持つ人にも役立ちます。

参考記事:『ケーキの切れない非行少年たち』の要約と感想:認知機能のゆがみの早期発見が重要

②『共感という病』

 

共感したい人だけにスポットライトを当てることで他の人を排除してしまう、

共感を利用したマーケティングで共感疲労をしてしまう等、

”共感にどこか感じていた違和感”が言語化されています。

支援されにくい人ほど、支援を必要としていることがわかります。

参考記事:『共感という病』の要約:共感されない人をどうやって助けるか?【惻隠の情と社会規範】

 

③『私たちは子どもに何ができるのか』

非認知能力を身につけるためにはどうすればよいか?をさまざまな研究や支援の取り組みから解説した本です。

非認知能力:認知能力の土台となる心の能力

 

粘り強く取り組む力(グリット)、内発的に取り組む意欲、

困難なことに遭遇したときの回復力(レジリエンス)などを含む。

がんばれるかどうかは非認知能力とも言えます。

参考記事:『私たちは子どもに何ができるのか』の要約まとめ:非認知能力は環境の産物である

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まとめ:無理なくがんばれるための支援を考える

・”がんばらなくていい”は無責任。がんばらない人は生きづらい

 

・無理しないでがんばれる環境を整えるのが重要

 

・がんばれない理由:認知機能の弱さ/見通しの弱さ/欲求段階の問題

ー認知機能が弱いと失敗体験が重なり、どうせやってもムダと思ってしまう

ー先が見通せないから意欲がわかない

ー衣食住や心身の安全など、切迫した危機があるとがんばれない

 

・がんばれない人を支援するためには安心の土台/伴走者になる

 

・無条件に信じる、チャレンジを見守る存在が必要

少年院やカウンセリングのエピソードが胸を打つので、ぜひ読んでほしいです。

教育や福祉関係の人はもちろん、子育て中の人に知ってほしい内容でした。

 

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