『多様性の科学』の要約と感想:多様性がなぜ必要なのか?がわかる本

『多様性の科学』の要約と感想:多様性がなぜ必要なのか?がわかる本

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『多様性の科学』は多様性(ダイバーシティ)がいかに生産性を高めるかがわかる本。

 

単純な問題には個人の能力の高さで対処できますが、

複雑な問題には多様性のあるチームの集合知が必要です。

『多様性の科学』の要約★

 

・みんなどこか間違ってても、間違っている方向がバラバラなら集合知を得られる

 

・支配的ヒエラルキーは多様性を失くし、尊敬のヒエラルキーは多様性と共存する

 

・第三者のマインドセットで思考の枠組みから自由になる

 

チームリーダーや働きやすい環境を作る人事部門、

いろいろな人からアイディアを引き出したい企画担当者など、

チームで働く人におすすめの本。

 

翻訳も読みやすく、事例もエキサイティングで、

小説のように入り込んでしまいました。

 

この記事では『多様性の科学』の要約と感想を紹介します。

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『多様性の科学』の目次・構成

『多様性の科学』の目次は次のとおりです。

第1章 画一的集団の「死角」

 

第2章 クローン対反逆者

 

第3章 不均衡なコミュニケーション

 

第4章 イノベーション

 

第5章 エコーチェンバー現象

 

第6章 平均値の落とし穴

 

第7章 大局を見る

ページ数は注記を除いて355ページです。

事例が多くて読み始めたらなかなか止まれませんでした。

翻訳もわかりやすいです。

 

それぞれの章のなかみを簡単に紹介します。

 

第1章 画一的集団の「死角」

1人1人は飛び抜けて優秀なはずのCIAが9.11の同時多発テロの兆候を見逃してしまう。

多様性は優秀さを犠牲にするというのは間違い。

 

第2章 クローン対反逆者

ものの見方がバラバラの反逆者集団のほうが集合知が大きくなる。

 

イギリスの人頭税の失敗や、

クロスワードパズル愛好家が戦時中の暗号解読チームに協力したエピソード。

 

第3章 不均衡なコミュニケーション

エベレストの遭難事故をテーマに、

支配的なヒエラルキーが多様性をなくしてしまう様子がわかります。

(ビジネス書なのにハラハラドキドキ…)

 

多様性のあるチームのリーダーが目指すのは尊敬のヒエラルキーです。

 

第4章 イノベーション

イノベーションに必要なのは第三者マインド(アウトサイダーマインド)

移民は新しい文化や価値観を融合させてイノベーションを起こす傾向がある。

 

第5章 エコーチェンバー現象

白人至上主義の家庭で育った青年が信頼によりチェンバーから脱出するまで。

 

エコーチェンバー現象とは、

同じ意見の者同士でコミュニケーションを繰り返して信念を強めること。

(エコーは反響、チェンバーは部屋という意味です。)

 

多様性のある環境でも、

自分の信念を強める仮想敵として使えば画一的な思考から離れられない。

 

第6章 平均値の落とし穴

多様性を無視した平均や標準化は、生産性を下げることにつながる。

個人差を無視した食事指導、平均的な体格を元に誰にも最適でないコックピット設計など。

 

これからは標準化から個人化の時代になるだろう。

 

第7章 大局を見る

人類が発展したのは、多様性によっていろいろなアイディアを生み出し、

他者と共有・学習して集合知を獲得したから。

 

人類自体の知能が高かったわけではない。

 

事例が多いですが、読み物としても楽しめました。

まわりくどさはなく、300ページ以上あっても退屈しません。

『多様性の科学』の要約

『多様性の科学』の要約ポイントを3つまとめました。

・みんなどこか間違ってても、間違っている方向がバラバラなら集合知を得られる

 

・支配的ヒエラルキーは多様性を失くし、尊敬のヒエラルキーは多様性と共存する

 

・第三者のマインドセットで思考の枠組みから自由になる

1つずつ詳しく紹介します。

 

間違っている方向がバラバラなら集合知を得られる

個人の能力の大きさよりも、

認知的多様性(ものの見方・考え方の多様性)に富んだ集団のほうが成果が上がります。

 

なぜなら、どんなに優秀な人でも見落とし(盲点)があり、

その盲点に集団として気づいて補い合えるかが全体の成果に影響するからです。

 

CIAやイギリス政府が誤った政治判断してしまったのは、

1人1人は優秀でも似通った盲点を持っていたから。

 

優秀さと多様性はどちらも重要なのです。

 

単純な問題を解くには個人の優秀さだけで十分でした。

 

たとえばリレーで早くゴールするという単純なミッションなら、

足の速さを最重視して選べばよかったのです。

 

ただ、どういう状態がゴールなのか・ゴールまでのプロセスが見えないような問題では、

さまざまな方向から問題を見る必要があり、そのために多様性が欠かせません。

 

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支配的ヒエラルキーと尊敬のヒエラルキー

多様性が大切だからと言って、

多様な考え方の人間を集めれば良いということではありません。

ヒエラルキーの存在が多様性の発揮を妨げてしまいます。

 

新しい視点やアイディアを持っていても、それを共有しなければ意味がありません。

 

恐怖や不安を利用した支配的なヒエラルキーは、

リーダーに同調するような画一的な集団を作ってしまいます。

 

多様性が発揮されるためには、心理的安全性が重要です。

 

心理的安全性が高い

=積極的に対人関係のリスクを取れる、安心して自由に意見できる

 

ただし、ヒエラルキーがなければ組織がうまく機能しない面もあります。

(Googleではマネジメント層を廃止して現場が混乱し、すぐにマネジメントを戻した)

 

尊敬をベースにしたヒエラルキーは多様性を保ちつつ、

組織としてマネジメントもできます。

 

尊敬のヒエラルキーのイメージは少数民族の長、

みんなの話を真剣に聞き、信頼され自然と協力を集めるリーダーです。

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第三者のマインドセットで思考の枠組みから自由になる

多様性はイノベーションを起こす土台でもあります。

 

移民や移民の子どもにイノベーションを起こすビジネスを始める人が多いのは、

第三者マインドセット(アウトサイダー・マインドセット)を持っているからです。

(アウトサイダーは部外者、よそ者という意味)

<第三者マインドセット>

 

変化に適応し、新しい価値観を取り入れることに柔軟。

不変のものはないと心得ていて、常識や固定観念に縛られない。

社会に大きな影響を及ぼすイノベーションは、

アイディアを融合させることで生まれます。

 

第三者マインドセットは既成概念にとらわれないので、

アイディアの融合と相性が良いです。

 

漸進的イノベーション:従来の考え方の延長線上にある改善・改良

 

融合のイノベーション:アイディアの掛け合わせた新しい発想

本の中には重たくて運ぶのが大変なスーツケースの例が出てきます。

 

スーツケースを軽量化しようというのが漸進的イノベーション、

スーツケースに車輪を組み合わせてキャスター付きスーツケースにするのが

融合のイノベーションです。

『多様性の科学』の感想:心に残ったポイント

 

次に、『多様性の科学』を読んで個人的に心に残ったポイントを紹介します。

 

多様性は高い集合知を生む要因となるが、それには根拠が必要だ。対処する問題と密接に関連し、かつ相乗効果を生み出す視点を持った人々を見つけることがカギになる。 p.93~94

多様性があれば誰でも良いというわけではなく、

対処する問題について有効でかつ異なるアプローチができる人を集めるのが重要です。

 

新しいプロジェクトメンバーを選ぶとき等、

根拠を持った人選が必要ですね。

 

人選が適していたのか、振り返っているでしょうか。

 

状況が複雑で不確かな場合、支配的なやり方では十分な問題解決ができない。そういうときこそ多様な声を聴いて最大限の集合知を得ることが肝心だ。それなのに、我々は無意識のうちに支配的なリーダーを求めてしまう。つまり支配型ヒエラルキーの問題は、たんにリーダーだけの問題ではなく、そんなリーダーを求めるチームや組織や国の問題である。 p.166

先が見えないときに支配的なリーダーを求めることは代償行動の一種で、

不安定さをリーダーの支配力で埋め合わせることで心の安定が保たれます。

 

重要な選択をする場面では、自分の不安な気持ちが判断に投影されていないか、

その選択が本当に望む結果につながる可能性が高いのかを見つめ直したいですね。

 

外部の見解は入ってくるものの、すべて「圧倒的にばかげたもの」として扱われる。そうやって情報が歪められる。すると信頼の形成過程そのものにも歪みが生じる。客観的なデータより、まず誰を信じるかが重んじられる。「何が真実か」はもはや重要ではなくなってしまうのだ。 p.260

上記はエコーチェンバー現象についての説明です。

 

エコーチェンバー現象:

自分と同じ意見の人だけでコミュニケーションが繰り返されることで信念が強化される

これだけインターネットが発達しているのに、科学的な根拠がないことや差別的なことを信じている人がいるのが不思議でした。

エコーチェンバー現象が起きているんですね。

 

多様性のある意見にアクセスできる環境でも、

自分が望ましい意見だけを採用していたら視野は広がりません。

 

エコーチェンバーには認識の壁があり、

反対意見を目にすると自分の信念を強める特殊フィルターを通して世界を見ています。

 

この本では、白人至上主義の家庭に生まれた若者の事例が紹介されています。

信頼によって反対意見に耳を傾けていく、感動もののストーリーです。

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あわせて読みたい:『恐れのない組織』

『恐れのない組織』は『多様性の科学』とあわせて読むのがおすすめ。

わたしは『恐れのない組織』→『多様性の科学』という順で読んだのですが、

関連性があって面白かったです。

 

直接的には、『多様性の科学』の尊敬のヒエラルキーの部分で、

心理的安全性の話が出てきます。

 

多様性を発揮する土台として心理的安全性が不可欠であり、

組織やチームビルディングを考える上でとてもおすすめの2冊です。

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まとめ:『多様性の科学』で集合知を意識したチーム作り

・認知的多様性が集団の生産性を上げる

 

・支配的なヒエラルキーは多様性を発揮できなくする

 

・尊敬のヒエラルキーは決定力と多様性を両立できる

 

・第三者マインドセットで新しい価値観に柔軟になる

 

・エコーチェンバー現象のように認識の壁があると多様な意見も見えなくなる

 

・心理的安全性が多様性の土台になる

多様性=いろいろな人材を集めるという認識が改まる本でした。

 

集めただけで多様性が発揮できるわけではなく、

支配的なヒエラルキーや無意識のバイアス(偏見)を減らす継続的な努力が必要ですね。

 

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