『なぜ人と人は支え合うのか』の要約と感想:障害について考える

『なぜ人と人は支え合うのか』の要約と感想:障害について考える

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『なぜ人と人は支え合うのか』は障害者を通して、人と人とのあり方、社会のあり方を考える本です。


障害者の方々との会話やエピソードがたくさん載っているので、きれいごとではない、障害者と介助者との関係性や社会との関係性がわかります。

価値がある/ないとはなにか、自立とはどういうことかを考えることができます。考えるきっかけも、障害者が社会にもたらしてくれる価値なのかもしれません。

★ 『なぜ人と人は支え合うのか』 の要約ポイント★

 

・障害者の医学モデルと社会モデル

 

・自立とは何か

 

・支えることで支えられている

障害福祉について考えるなら、読みやすくておもしろく読めるおすすめの1冊です!

この記事では 『なぜ人と人は支え合うのか』 の要約を紹介します。

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要約①:障害者の医学モデルと社会モデル

障害の捉え方には、2つのモデルがあります。

障害の医学(個人)モデル:

病気やケガなどで生じる医学的・生物学的な特質

 

障害の社会モデル:

障害をもたらすのは健常者を基準にしている社会のせいでもある

医学モデルでは、障害の重い・軽いは個人の特質によります。一方、社会モデルでは、障害を人と社会の相互作用のなかで捉えます。

たとえば、車いすの人がエレベーターがある駅の街に住むか、階段しかない駅の街に住むかで生活の困難さは変わるでしょう。個人の障害の程度だけでなく、環境がどのくらい障害を考慮したものになっているかで障害の重い・軽いが変わるという考え方です。

 

障害という表記を”障がい”とすべき、という意見は、医学モデル寄りの考えと言えます。なぜなら、障害は個人に帰するという前提があるから、害という字で表現するのが憚られると感じるからです。

社会モデルなら、障害は個人にあるのではなく、社会にあるのですから、障害という表記でも障害者を貶めていることにはならないと考えられます。

要約②:自立とは何か

自立しているとは、どういうことでしょうか。自立が誰にも頼らないということなら、障害者が自立するのはとても難しいことでしょう。

しかし、自立の捉え方が変われば障害者も自立することができます。

 

自立について、アメリカの自立生活センターで障害者のサポートをするエド・ロングさんの言葉が紹介されています。

どこに行きたいか、何をしたいかを自分で決めること。自分が決定権をもち、そのために助けてもらうことだ。だから、人に何かを頼むことを躊躇しないでほしい。健康な人だって、いろんな人と助け合いながら暮らしている。一番だいじなことは、精神的に自立することなんだ

大切なのは精神的に自立すること。たしかに、経済的に自立している人でも精神的に自立していない人もいますよね。

本書を読むと、障害者の歴史は、主体的に自分で決めることを迫害された歴史でもあることがわかります。だから、精神的な自立ができるように、自分で決める権利を守ることは障害者の自立にとってとても大切なことです。

 

本のなかに、人工呼吸器をつけた障害者が「タバコを吸いたい」といって介助者ともめるエピソードがあります。介助者は拒否するのですが、本人と話すうちにタバコを吸う選択も障害者の権利であると感じるようになります。

障害者が我慢するでもなく、介助者が言いなりになるのでもなく、対話をすることの大切さを感じるエピソードでした。障害者でも健常者でも、やりたいことを自分で決めて、自分でできないことは頼んで、やってもらえなかったら会話をして…そのようなやり取りを端折らずに向き合うことが自立することなのだと思いました。

要約③:支えることで支えられている

障害者のイメージはどのようなものでしょうか。日本では、24時間テレビのイメージが強いかもしれません。

かわいそうな障害者、けなげに努力する障害者、控えめな障害者、そんなイメージが強いのではないでしょうか。著者はそれを「あわれみの福祉観」と表現します。「障害があってかわいそう」というのは、障害は”なければないに越したことはないもの”という前提があります。

また、”かわいそうな障害者”という弱者のイメージを覆すような態度を取ると、とたんにバッシングされる怖さがあります。

 

しかし、障害者は一方的に支えられるかわいそうな存在ではなく、ときに支える存在にもなり得ます。障害者の介護ボランティアをすることで生きがいを見いだしたり、役に立っているという実感を得たりして、支えられている人もいるのです。

人は誰かを「支える」ことによって、逆に「支えられている」のです。だからこそ、自分がいったい何から生きがいや承認欲求を得ているのかをある程度は自覚し、それを客観視する視点をもっておくのは大切なことでしょう。

子育てをしていて、子どもの世話をしているけど子どもに支えられていると感じることもあります。自分で何もできないという意味で赤ちゃんは弱者ですが、どんなに疲れていても周りの大人を動かしてしまうという意味では強者にも思えます。

 

障害者にかぎらず、誰かを価値がある・ないと判断するのは傲慢ではないでしょうか。そういうわたしは価値があるのか、その価値を誰も認めてくれなかったらどうしたらよいのでしょう。

誰にも迷惑をかけなかったら価値を認めてもらえるのか、納税してたら、仕事をしていたら、子どもを育てていたら価値があるのか。

障害者は、支えさせてもらう価値を社会に提供してくれているのかもしれませんし、生きる意味を考える価値を与えてくれるのかもしれません。

 

難病の当事者である海老原宏美さんの言葉が心に残りました。

「価値があるかないか」ということではなく「価値がない」と思う人のほうに、「価値を見いだす能力がない」だけじゃないか

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『なぜ人と人は支え合うのか』 の次に読むなら?おすすめの本3選

 

『なぜ人と人は支え合うのか』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『差別はたいてい悪意のない人がする』

 

”悪意なき差別主義者”がどうして生まれるのか、そして差別的な感情とどう向き合えばいいかを考えられる本です。

自分の前提が絶対であると信じたうえで公平を語ると、誰かにとっては不公平な世界になるかもしれません。

 

人はかんたんに差別してしまうからこそ、差別が潜んでいないかに意識を向けるのが重要です。

参考記事:『差別はたいてい悪意のない人がする』の要約まとめ:誰でも差別主義者になりうる

②『「利他」とは何か』

美学者、政治学者、批評家/随筆家、哲学者、小説家という、ジャンルの違う視点からの利他の捉え方を知ることができます。

善意の押し付けでない、他者をコントロールしないよき利他とは、相手への信頼があります。

参考記事:『「利他」とは何か』の要約まとめ:純粋な利他は個人の意思を超えたところにある

③『うしろめたさの人類学』

 

社会は他者とのやり取りで構築されているという構築主義の本。

人類学や構築主義と聞くと難しそうですが、エチオピア滞在中のエピソード等が多く、前提知識がなくても読みやすかったです。

 

多少うしろめたい場面やめんどくさいことがあっても、感情の結びつきがあるほうが幸せだよね、と思えます。

参考記事:『うしろめたさの人類学』の要約と感想:うしろめたさをまっすぐ受け止める

 

★今回紹介した本★


 

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