組織心理学は、会社やチームなど複数の人が集まったときに心理や行動にどう影響があるかを研究する心理学の分野です。メンバーをまとめて理想のチームをつくるのに、組織心理学の知識は役に立ちます。
特に次のような人には組織心理学の本がおすすめです。
・リーダーとしてメンバーにどう接したらよいか知りたい
・チーム全体の人間関係を良くしたい
・チームの生産性や創造性を上げたい
・お互いに協力できるチームをつくりたい
・メンバーのモチベーションを上げる/下げる行動を知りたい
目次
組織心理学のおすすめ本①:組織を動かす
人や組織を動かすには、感情を考慮に入れる必要があります。客観的なデータや合理的な理由だけで、必ずしも人が動くわけではありません。
行動を促したい、変化させたいと思ったときに考えるべきポイントがわかります。
『なぜ人と組織は変われないのか』
自分や組織の行動を変えたい人が、変われない真の原因を突き止めるためにとても役立つ本。
免疫マップの”裏の目標”、変わりたくないニーズを考えるのが目からウロコです。
自分を深く理解した上で、行動を変える方法が学べます。
参考記事:『なぜ人と組織は変われないのか』の要約:免疫マップで自己改革をする方法
『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』
認知神経科学者が書いた本です。
他人の意見や行動を変えたいときに客観的な事実がいかに無力であるか、そして感情や周囲の状況のほうがはるかに影響を与えていることがよくわかります。
事実やデータよりも、主体性/好奇心/ポジティブな感情に訴えかけるのが効果的です。
参考記事:『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』の要約まとめ:他人を動かすには?
組織心理学のおすすめ本②:心理的安全性をつくる
心理的安全性とは、他人の評価や反応を気にせずに率直に意見を言えることです。
心理的安全性が高いと、ミスを小さいうちに報告できたり、まだ固まっていない段階でアイディアを共有してみなで大きく育てたりすることができます。Googleの研究で生産性の高いチームの必須要件を調べたところ、”心理的安全性がすべての土台である”という結論になりました。
心理的安全性が高い組織をつくるために役立つ本を紹介します。
『恐れのない組織』
”心理的安全性”という言葉の生みの親、エドモンドソン教授の著書。心理的安全性を知るには欠かせません。事例が多く、心理的安全性がいかにチームの生産性・創造性を高めるかがわかります。
リーダーの行動が心理的安全性に大きく影響を与えます。仕事の意義を共有する、問いかけて参加を促す、発言を承認して感謝する等の行動が効果的です。
参考記事:『恐れのない組織』の要約:心理的安全性を高めたいリーダーにおすすめの本
『心理的安全性のつくり方』
心理的安全性を日本の職場でどうつくるか、より実践しやすい形で解説されています。『恐れのない組織』は海外の事例なので、日本での実践アイディアを求めるなら『心理的安全性のつくりかた』のほうがおすすめです。
行動分析のABCモデルなど、人が自分から動きたくなる仕組みつくりの参考になります。
参考記事:『心理的安全性のつくりかた』の要約:脱ぬるま湯職場!心理的安全性の4因子とは?
『世界最高のチーム』
『世界最高のチーム』は、心理的安全性が高いチームのつくり方がわかる本です。
無条件の肯定的関心を寄せる、ネガティブな意見をより大きなゴールに向ける等、コーチング的な関わり方が具体的に紹介されています。
特にリーダーとメンバーで交わされる会話から心理的安全性をつくる方法がわかります。
参考記事:『世界最高のチーム』の要約まとめ:心理的安全性を高めるリーダーの関わり方とは?
『多様性の科学』
多様性が発揮されるためには、心理的安全性が重要です。
多様な価値観を持った人を集めても、心理的安全性が低い環境では意見が言えず、時間が経てば支配的な考えに染まってしまいます。
どうしたら多様な価値観の人が強みを活かしながら一緒に働けるのか?を考えられる本です。
参考記事:『多様性の科学』の要約と感想:多様性がなぜ必要なのか?がわかる本
『失敗の科学』
『多様性の科学』と同じ著者です。
失敗との向き合い方・失敗から学習する組織になるために必要なことがわかります。
失敗は学習や進歩の機会であり、失敗を活かすためにはフィードバックのシステムと率直にミスを認められる心理的安全性が重要です。
参考記事:『失敗の科学』の要約まとめ:失敗から学習する組織になるには?
組織心理学のおすすめ本③:組織が陥りやすい罠を知る
仕事上の悩みの大部分が、人間関係の悩みと言われています。多様な人が集まれば、その分衝突も増えるでしょう。
組織が陥りやすい罠を知ることができる本をまとめました。
『チームが機能するとはどういうことか』
学習する組織をつくる、チーミングの理論と実践がテーマの本。著者は『恐れのない組織』と同じ、エドモンドソン教授です。
個人プレーの足し算ではなくチームとして成果を出したい、多様な人材の創造性を活かしたい人におすすめです。チーミングの障壁は不安や思いこみであり、どのような心理から不安や思い込みが起こるか、どう防げばよいのかがわかります。
参考記事:『チームが機能するとはどういうことか』の要約まとめ:学習する組織をつくるチーミング
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』は、人間関係の悩みの原因は自己欺瞞(=箱)という本です。自分では気づいていないけど嫌われているリーダーが主人公。ストーリー形式で、主人公が箱から脱出する様子がわかります。
自己欺瞞(じこぎまん):自分を偽ること、自分を正当化すること
自分を偽らずに素直になる、知らないことを認める、相手の気持ちを想像する等、対人関係の悩みを解決するヒントが得られます。
参考記事:自分の小さな箱から脱出する方法の要約まとめ!自己欺瞞を克服して人間関係を改善
「アンコンシャス・バイアス」マネジメント
アンコンシャス・バイアスとは無意識の思いこみや偏見のこと。
たとえば、次のようなものがあります。
・事務は女性社員の仕事
・育児休暇を取る男性は出世欲がない
・今どきの若者は打たれ弱い
・今までのやり方が正解だ
・小さい子どもがいる社員は忙しくない部署を希望するはずだ など
バイアスを持ったままマネジメントするとメンバーの力を十分に発揮できず、生産性が低下します。多様な価値観を活かすためにアンコンシャスバイアスに気づいて対処するマネジメントがわかる本です。
参考記事:『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』の要約:最高のリーダーは自分を信じない
『あなたのチームは機能していますか』
新しいCEOのキャサリンが、経営チームを本当のチームにすることで、シリコンバレーのスタートアップ企業を立て直す物語。
チームの5つの機能不全とその対策がわかります。
チームの5つの機能不全
信頼の欠如/衝突への恐怖/責任感の不足/説明責任の回避/結果への無関心
参考記事:『あなたのチームは機能していますか』の要約まとめ:チームの5つの機能不全
組織心理学のおすすめ本④:組織文化をつくる
組織文化をつくることで自分が何をすべきかがわかり、早くて正確な意思疎通にもつながります。その結果、強い組織文化は組織の競争力になるのです。
組織文化をつくるのに参考になる組織心理学の本をまとめました。
『カモメになったペンギン』
どうやって行動変容を起こし、新しい文化として定着させるのかがペンギンの移住の寓話で学べます。
紹介されている8つの変革プロセスは次のとおりです。
①危機意識を高める
②変革推進チームをつくる
③変革のビジョンと戦略を立てる
④変革のビジョンを周知徹底する
⑤行動しやすい環境を整える
⑥短期的な成果を生む
⑦さらに変革を進める
⑧新しい文化を築く
参考記事:『カモメになったペンギン』のあらすじと要約まとめ:8つの変革プロセス
『THE CULTURE CODE(カルチャーコード)最強チームをつくる方法』
個々の能力ではなく、メンバー同士の相互作用がチームの成否を左右します。
成功するチームに共通する文化とそのためのアクション(安全な環境をつくる/弱さを共有する/共通の目標を持つ)がわかる本です。
参考記事:『THE CULTURE CODE(カルチャーコード)最強チームをつくる方法』の要約まとめ
『ウィニングカルチャー』
『ウィニングカルチャー』は勝ちぐせのある組織文化づくりがわかる本。
著者はラグビーの監督をされていた、中竹竜二さんです。
組織の暗黙知、共有する価値観をどう変革するかがテーマです。
参考記事:『ウィニングカルチャー』の要約:組織文化を変革するためには?
『パーパス・マネジメント』
社員の幸せを大切にした経営がわかる本。
個人のパーパス(存在意義)と組織のパーパスが一致すると社員は仕事を通じて幸せを感じ、社員が幸せだと会社の業績にも貢献します。
人事部門やチームリーダー、起業を考えている人におすすめです。
『パーパス・マネジメント』の要約まとめ:仕事における幸せとは?
『サーベイ・フィードバック入門』
従業員満足度調査など、サーベイの結果を活かすためのフィードバック方法がわかる本。
サーベイでデータを取るだけでは意味がなく、その後のフィードバックミーティングが組織の変革をもたらします。
とてもピンポイントな実用書ですが、社員のエンゲージメントを上げるにはとても重要な内容がつまっているので、人事担当者や現場のマネージャーにおすすめです。
『サーベイ・フィードバック入門』の要約まとめ:現場を変えるのはデータではなく、対話
参考になっていたらうれしいです。
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