『あなたのチームは機能していますか』は、チームが陥りがちな5つの機能不全とその対策がストーリー形式でわかる本です。
新しいCEOのキャサリンが、経営チームを本当のチームにすることで、シリコンバレーのスタートアップ企業を立て直す物語。チームの5つの機能不全は次のとおりです。
★ チームの5つの機能不全★
・信頼の欠如:弱みを見せない、完全無欠であろうとする
・衝突への恐怖:表面的な調和で衝突を避ける
・責任感の不足:目標を支持していない、あいまいな態度
・説明責任の回避:メンバーの責任を追及しない
・結果への無関心:チームの結果より個人の地位を重視する
この記事では 『あなたのチームは機能していますか』 の要約を紹介します。
目次
①信頼の欠如
チームの土台は信頼です。
チームを構築するときの信頼とは、”メンバー同士が相手に悪意がないことを信じ、グループ内で身を守ったり慎重になったりする理由がないと確信すること”。
信頼がないチームのメンバーは、弱みを見せない、完全無欠であろうとします。
信頼のないチームの特徴
・互いに自分の弱みや間違いを隠す
・助けを求めたり、手伝うことをためらう
・会議を嫌う
信頼のあるチームの特徴
・弱みやまちがいを認める
・リスクを覚悟で意見を言ったり手伝ったりする
・グループで仕事をする機会が楽しみ
このようなチームにおけるリーダーの役割は、率先して弱みを見せること、そして弱さを罰しない環境をつくることです。
ただし、演出として弱さを見せるのはNG。他人の感情を操作するために弱さを見せると、信頼は失われます。
②衝突への恐怖
表面的な調和で衝突を避けるのは、衝突への恐怖がある状態です。
衝突はエネルギーの無駄、ないほうがよいと思うかもしれませんが、衝突しなければ同じ問題が繰り返されることになります。
衝突を恐れるチームの特徴
・会議が退屈
・政治的なかけひきがはびこる
・人間関係のリスク管理に無駄なエネルギーを使う
衝突がさかんなチームの特徴
・会議に活気がありおもしろい
・政治的なかけひきがない
・重要な問題が議題にのぼる
ここで言う”政治的”とは、次のような意味です。
「政治的とは、自分が本当にどう考えるかではなく、ほかの人にどう反応してほしいかによって、言葉や行動を選ぶことです」
このようなチームのリーダーが心がけることは、メンバーを守りたいという気持ちを自制することです。
衝突=チームをコントロールできていない=リーダーとしての失敗、と捉えると、すぐに口を出してしまいたくなります。リーダーが衝突を回避する限り、メンバーが生産的な衝突を起こして問題に対処する能力は育ちません。
③責任感の不足
チームにおける責任感には、目標の明確さとメンバーが支持することが重要です。
全員一致や確実性を求めるとチームが動けなくなります。
責任感のないチームの特徴
・チーム内の方針と優先順位があいまいになる
・議論と決定を何度もくりかえす。
・メンバー間に憶測が広がる。
責任感のあるチームの特徴
・チーム全体が共通の目標に向けて結束する。
・まちがいから学ぶ。
・ためらいなく方針を変更する。
全員の意見を場に出して議論を尽くしたからこそ、自分の意見が通らなくてもグループによる最終決定を支持できます。
優れたチームは、必ず全員の意見を真剣に考慮する。それが、グループによる最終決定を支持しようという意思を生むのである。
④説明責任の回避
優れたチームにおける説明責任とは、”メンバーが仲間に対して、チームに悪影響を与えかねない行動や態度をとがめること”です。
説明責任を回避するチームの特徴
・期日に遅れたり、貴重な約束をやぶったりする。
・仕事の基準が異なるメンバーが互いに憤るようになる。
・責任を追求する仕事をリーダーに押しつける。
互いの説明責任を追求するチームの特徴
・仕事の基準が低い人に、改善しようというプレッシャーを感じさせる。
・互いのやり方にためらわず疑問を投げかけることで、潜在的な問題を早く見つける。
・メンバーが尊敬しあい、おなじ高い水準を維持するようになる。
咎められるのは信頼があるからこそ。信頼できるメンバーの期待を裏切らないように、というプレッシャーは、高い基準を保つ動機づけになります。
優れたチームのメンバーは、互いの責任を追求することによって、相手を尊敬していること、相手の仕事ぶりに高い期待を寄せていることを示し、それによって人間関係を向上させる。(中略)尊敬するチームメイトの期待を裏切ることに対する恐怖は、どのような方針やシステムよりも、いい仕事をしようという意欲につながる。
重要なのは、説明責任を求めることをリーダーだけの仕事にしないこと。リーダーの仕事になると、他のメンバーのことを気にかけることなく、チームとしての意識が下がります。
⑤結果への無関心
結果への無関心とは、チームの結果より個人の地位を重視することです。
「会社の目標は達成していないけど、自分のチームの目標は達成しているからOK」というのは、結果への無関心の典型例。そのような態度をリーダーが見逃さないことで、結果への関心が高まります。
リーダーが結果以外のものを重視しているとメンバーが感じれば、自分たちもそうしていいという意味に解釈する。リーダーは利己心を捨て、客観的になり、グループの目標達成に本当に貢献した人だけに評価と報酬を与えるべきである。
結果を重視しないチームの特徴
・成長に苦しむ。
・達成指向の従業員を失う。
・メンバーが自分のキャリアと個人の目標を重視するようになる。
全体の結果を重視するチームの特徴
・利己的な行動がほとんどない。
・成功を喜び、失敗をくやしがる。
・個人の目標や利益よりチームの利益を優先させるメンバーから恩恵を受ける。
まず全員で目指すべき結果を宣言し、結果に基づくことに報いること。「がんばった」だけで報いることは結果を軽視することにつながります。
『あなたのチームは機能していますか』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『あなたのチームは機能していますか』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『チームが機能するとはどういうことか』
学習する組織をつくる、チーミングの理論と実践がわかる本。
個人プレーの足し算ではなくチームとして成果を出したい、多様な人材の創造性を活かしたい人におすすめです。
参考記事:『チームが機能するとはどういうことか』の要約まとめ:学習する組織をつくるチーミング
②『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』は、人間関係の悩みの原因は自己欺瞞(=箱)という本です。自分では気づいていないけど嫌われているリーダーが主人公。ストーリー形式で、主人公が箱から脱出する様子がわかります。
自己欺瞞(じこぎまん):自分を偽ること、自分を正当化すること
自分を偽らずに素直になる、知らないことを認める、相手の気持ちを想像する等、対人関係の悩みを解決するヒントが得られます。
参考記事:自分の小さな箱から脱出する方法の要約まとめ!自己欺瞞を克服して人間関係を改善
③『THE CULTURE CODE(カルチャーコード)最強チームをつくる方法』
個々の能力ではなく、メンバー同士の相互作用がチームの成否を左右します。
成功するチームに共通する文化とそのためのアクション(安全な環境をつくる/弱さを共有する/共通の目標を持つ)がわかる本です。
参考記事:『THE CULTURE CODE(カルチャーコード)最強チームをつくる方法』の要約まとめ
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