『恐れのない組織』の要約:心理的安全性を高めたいリーダーにおすすめの本

『恐れのない組織』の要約:心理的安全性を高めたいリーダーにおすすめの本

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『恐れのない組織』は心理的安全性というコンセプトの生みの親、

ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授の著書。

心理的安全性=対人関係のリスクを安心して取れる環境

心理的安全性は、多様性やイノベーションに欠かせない土台として注目されています。

 

Googleの研究で有能なチームに必要な成功因子のうち、

最も重要なのが心理的安全性と結論付けられました。

 

『恐れのない組織』を読むと、

・心理的安全性がなぜ必要なのか

・心理的安全性が高い・低いときにどのような影響を及ぼすか

・心理的安全性を高めるためにどうすればよいか

がわかります。

 

”心理的安全性”を知るのに最適です。

特にチームを率いるリーダーに読んでほしい、おすすめの1冊。

この記事では『恐れのない組織』の要約と感想を紹介します。

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『恐れのない組織』の目次・構成

『恐れのない組織』の目次は次のとおりです。

第1部 心理的安全性のパワー

‐土台/研究の軌跡

 

第2部 職場の心理的安全性

‐回避できる失敗/危険な沈黙/フィアレスな組織/無事に

 

第3部 フィアレスな組織をつくる

‐実現させる/次に何が起きるのか

第1部では、心理的安全性とは何か、

これまでどのような研究がされてきたのかがわかります。

 

第2部は心理的安全性が職場に与える影響がテーマで、

3.11の福島原子力発電所の事故も事例として紹介されています。

 

第3部は、心理的安全性が高い組織をつくり出すためにどうすればよいか

についてです。

 

全体的に事例が多く載っていて読みやすかったです。
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『恐れのない組織』の要約

『恐れのない組織』の要約を3つのポイントでまとめました。

・発言と沈黙の非対称性があり、人は沈黙したくなる

 

・心理的安全性が高ければ生産性が上がる

 (心理的安全性が低ければミスの隠蔽や不正行為が起こる)

 

・心理的安全性を高めるにはリーダーが土台をつくり発言を歓迎する

1つずつくわしく紹介します。

 

発言と沈黙の非対称性があり、人は沈黙したくなる

 

「これは上司に報告したほうがいいかなぁ」と思ったのに言わなかったこと、

ありませんか?

 

人は発言するか沈黙するか迷ったとき、沈黙するほうを優先してしまいます。

 

沈黙することを優先する理由は2つあります。

・未来を軽視してしまうから

 

・他人に与える自分のイメージを気にしてしまうから

たとえば、上司が進める企画に懸念事項があるとして、

それを進言するかどうか考えてみましょう。

 

人間は未来の価値よりも現在の価値を過大評価してしまいます。

発言して確実に価値が得られるかわかりません。

 

懸念事項はすでに上司が検討済みかもしれないし、

「そんなことはわかっている」と言われてしまうかも。

 

発言したことで評価を下げてしまう、みんなの前で恥をかくかもしれない。

 

企画が失敗するのは会社の損失だとしても、

発言しないで自分が失敗しないほうを選んでしまうのです。

 

心理的安全性が高い組織をつくるには、

発言と沈黙の非対称性に打ち勝って、発言することを選ばないといけません。

 

心理的安全性が高ければ生産性が上がる

 

心理的安全性が高いとミスを臆さず報告します。

 

生産性が高いチームはミスが少ないと想定していたら、

逆にミス(の報告)が多いチームだったそうです。

 

さらに、ダイバーシティ(多様性)のある組織でマイノリティが自由に発言するためにも心理的安全性が必要不可欠。

 

ダイバーシティのある組織をつくるには、

さまざまな人材を採用するだけでは不十分です。

 

変化の激しい時代に価値を創造し続けていくには、

チームで最大限の成果を発揮することが重要であり、

どんなに優秀な人材でも心理的安全性が担保されていないと優秀さを発揮できません。

 

1人で作業が完結するような仕事には、心理的安全性と生産性は関係ありませんでした。

 

チームで仕事をする、アイディアを出すなど知的生産活動をするケースでは、

心理的安全性が生産性の土台となります。

 

逆に心理的安全性が低いと、

ミスを隠蔽したり不正行為を行ったりするリスクが高まります。

 

フォルクスワーゲンの欠陥エンジンやウェルス・ファーゴ銀行のスキャンダル等が事例として紹介されていました。

 

どれも不安や恐怖をベースにしたトップダウンの経営方法で、

心理的安全性を低くすることで従業員を追い込むようなアプローチです。

 

権力と沈黙による経営は一時的に成果が上がる瞬間はあっても、

従業員が疲弊して長くは続きません。

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心理的安全性を高めるにはリーダーが土台をつくり発言を歓迎する

 

心理的安全性が高い=生産性が高いと分かったところで、

どうやって心理的安全性を高めればよいのでしょうか。

 

心理的安全性を高めるには、グループのリーダーが重要です。

 

心理的安全性はグループごとに決まります。

 

同じ会社内でも心理的安全性が高かったり低かったりするのは、

そのグループのリーダーのマネジメント方法に依存するからです。

 

リーダーに必要なツールキットは第7章にまとめられています。

・土台をつくる

 

・参加を求める

 

・生産的に対応する

 

土台をつくるとは、仕事をフレーミングして仕事の意義を共有することです。

 

フレーミングは枠組みのこと。

 

失敗に対するネガティブな印象を払拭したり、

自分の仕事が他者や会社全体にどうかかわっているかを理解させたりすることで、

仕事に対する意識を変えて共有します。

 

特に、上司と部下をリフレーミングする(新しい枠組みでとらえ直す)のが

有効だと感じました。

<一般的な枠組み>

上司:答えを持っている/命令する/評価する

部下:指示どおりに行動すべき人

 

 

<リフレーミング後の枠組み>

上司:方向性を決める/方向性に磨きをかける

部下:貴重な知識と知恵を持つ貢献者

部下を”貴重な知識と知恵を持つ貢献者”と捉えたら、

意見をぜひ聞きたいという姿勢に変わりますよね。

 

参加を求めるというのは、当事者になってもらうことです。

心からの関心を寄せ、探究的な問いを投げかけることで意見を引き出します。

 

問いかけの大切さはコーチングやファシリテーションの本でもよく言及されます。

質問力があることは良いリーダーに不可欠な資質ですね。

 

生産的に対応するとは、発言に対して感謝し失敗は恥ずかしくないと伝えること。

失敗をなんでも許すということではなく、明確な違反には処罰する厳しさも必要です。

心理的安全性が高い=ぬるま湯と批判されることもありますが、

なんでも許される、基準を下げることとイコールではありません。

 

『恐れのない組織』の感想:心に残ったポイント

 

『恐れのない組織』を読んで、個人的に勉強になった・心に残ったポイントを紹介します。

 

監督たちとストーリーづくりの関わる人たちが、直近につくられたシーンを一緒に観て、ランチをともにし、その後、面白いと思うところと思わないところについて監督にフィードバックするのである。カギとなるのは、率直さだ。もっとも、率直であることはシンプルだが、決して簡単ではない。 p.137

上記は、ピクサーの映画作りに取り入れられているブレイントラスト(専門家集団)の説明です。

 

映画監督に意見なんて言ったらメガホンが飛んでくるイメージですが、

率直な意見をしっかり聞くから多くの人に届く作品になるんですね。

 

このブレイントラストにはルールが3つあるそうです。

・フィードバックはプロジェクトに対して行う(個人攻撃しない)

 

・相手に強制できない(採用するかは監督の権限)

 

・フィードバックは共感の観点から行う(敬意を払っている)

これはフィードバックするときの鉄則といっても良いと思います。

 

とくに最後の”共感の観点”について、

監督の構想や夢、届けたい想いなどに共感するベースがあるからこそ、

フィードバックが受け入れやすいし建設的なフィードバックになります。

 

目的は同じだけど、手段や表現方法に違いがあるだけ。

根っこの気持ちが同じなら、意見の違いが感情的な対立にはなりません。

 

ここでわかるのは、明確なヒエラルキーと心理的安全性が、フィアレスな組織では相容れないものではないということである。ブリッジウォーターでは考えを頻繁かつ率直に言うのが当たり前になる必要があるが、一方で、率直に話すことがヒエラルキー―個人の実績を基盤の一部とするヒエラルキー―と共存している。ただし、コンセンサスによる意思決定は行われない。 p.147

心理的安全性が高い組織というと、

横並びで上下関係がなく、仲良しグループのようになってしまうのでは?と思っていました。

 

意思決定権が誰にあるのか、

権限と責任の所在をはっきりさせるのはビジネスで大切ですよね。

 

率直な意見交換は、意思決定者にいろいろな視点や気づきを与えるためであり、

あくまでも決定権は意思決定者(上司やリーダー)にあります。

 

ピクサーの例でも、最終的に意見を採用するかの決定権は監督にありました。

率直な姿勢と明確な上下関係が共存できるとわかってよかったです。

 

なんとかしてくれ!同僚が職場で本音を言うのでイライラする!

(中略)心理的安全性があっても、有能さが保証されるわけではない。単に、人々がどのような貢献をできるかが見つけやすくなるだけだ。(中略)だが、同僚が率直に意見を言いやすいと感じている一方で、その発言に価値が感じられないなら、あなたには支援する責任がある。 p.253

最後のパートでは、著者がよくある質問に答えています。

 

ちょっと笑ってしまった質問は、

”率直過ぎる同僚にもう少し対人関係の不安を感じてほしい”というもの。

 

同僚に対して「また意味のないこと言ってるよ」と黙っているのは、

沈黙に負けているとも言えるでしょう。

 

また、心理的安全性が高い=有能だというわけではない、

万能薬ではなく、あくまで有能さを発揮するための土台という点が印象的でした。

 

流行りのワードに飛びつきそうになりますが、

心理的安全性の高さがすべての問題を解決してくれるわけではないということですね。

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『恐れのない組織』の次に読むなら?おすすめ本3選

 

『恐れのない組織』とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『心理的安全性のつくり方』

 

心理的安全性を日本の職場でどうつくるか、より実践しやすい形で解説されています。

行動分析のABCモデルなど、人が自分から動きたくなる仕組みつくりの参考になります。

参考記事:『心理的安全性のつくりかた』の要約:脱ぬるま湯職場!心理的安全性の4因子とは?

 

②『多様性の科学』

 

多様性が発揮されるためには、心理的安全性が重要です。

 

多様な価値観を持った人を集めても、心理的安全性が低い環境では意見が言えず、

時間が経てば支配的な考えに染まってしまいます。

 

心理的安全性を高めて多様性を活かす重要性がわかる本です。

個人的に、2021年おすすめベスト3に入ります!

参考記事:『多様性の科学』の要約と感想:多様性がなぜ必要なのか?がわかる本

 

③『リーダーズ・ランゲージ』

 

心理的安全性の高さは、リーダーの言動が大きく影響します。

 

権力者による強要と服従を基礎としたリーダーシップはすでに古く、

多様な価値観の中で学習する組織をつくるための言葉がけがわかります。

参考記事:『リーダーズ・ランゲージ』の要約:信頼されるリーダーの伝え方・言葉遣いがわかる本

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まとめ:心理的安全性が組織の生産性を左右する

・心理的安全性とは対人関係のリスクを安心して取れるかどうか

 

・人間は発言するより沈黙するほうを選んでしまう

 

・心理的安全性が高いと生産性が高くなる

 

・心理的安全性が低いとミスの隠蔽や不正行為につながる

 

・ダイバーシティや優秀さを発揮する土台として心理的安全性が必要

 

・心理的安全性をつくるためにはリーダーの役割が重要

”心理的安全性”は流行りのワードというだけでなく、

創造的・革新的なアイディアが必要な組織には大切な要素だとわかりました。

 

規模を問わず、チームで働く人におすすめの1冊です。

 

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