『「コミュニティ」づくりの教科書』は、コミュニティの立ち上げ~運営からコミュニティマネージャーの仕事まで、コミュニティづくりのノウハウがわかる本。
Peatix Japanの藤田司さんとコミュニティ・アクセラレーターの河原あずさんの共著です。
商品やサービスのファンをつくる顧客コミュニティや部門横断的なつながりをつくる社内コミュニティ、地域に根差したコミュニティなど、人とのつながりの価値を再評価する動きがあります。
そんな中、「自分でもコミュニティをつくりたい!」という人や「会社からコミュニティをつくれと言われたけどどうすればよい?」という人も多いのではないでしょうか(ちなみにわたしは後者です)。
コミュニティの立ち上げからイベントの企画、どう盛り上げるかまで、具体的なノウハウがたくさん載っています。
★ 『「コミュニティ」づくりの教科書』 の要約ポイント★
・コミュニティにはビジョンが必要
・おもしろいイベント3つの方程式
・コミュニティマネージャーはコミュニティの文化をつくる
イベントを開催したことのある人にしかわからない、気を付けるポイントが参考になりました。
この記事では 『「コミュニティ」づくりの教科書』 の要約を紹介します。
目次
要約①:コミュニティにはビジョンが必要
『「コミュニティ」づくりの教科書』でのコミュニティの定義は次のとおりです。
コミュニティ:
”参加者一人ひとりが主体的に動き、それぞれが目的を持ってつくる「場」のこと”
ただ人が集まっていればコミュニティと呼べるわけではありません。
コミュニティがコミュニティであるには、「そもそもなんのためにコミュニティをやるのか」というビジョンを掲げる必要があります。
たとえば、商品のファンコミュニティなら”顧客のロイヤリティを高めるため”、社内コミュニティなら”サービスの知識・理解を深めるため”などの目的が考えられるかもしれません。しかし、これでは抽象度が高すぎて漠然としています。
新しいコミュニティを通して参加者が何を実現できるのか?を表したものをビジョンにしましょう。
(例)
顧客のロイヤリティを高めるため
⇓
健康づくりを100倍楽しくするため
サービスの知識・理解を深めるため
⇓
エンジニアが気軽に議論できる場をつくり、社内の枠を超えた着想を得るため
ビジョンがあれば、コミュニティに参加するメリットが伝わります。
そして、イベントなどを企画するときにもビジョンに沿っているかを判断軸にすれば、「結局、これはなんのコミュニティなんだっけ?」という事態を防ぐことができます。
コミュニティ運営者は常に「何のためにやっているのか」という方向性を見失わないようにしてください。そうでないと経営層や上司など、コミュニティを取り巻く環境が変わったときに、その必要性をきちんと説明できなくなります。
要約②:おもしろいイベント3つの方程式
コミュニティを構成する要素にはイベントとコンテンツがあります。
イベントを中心に企画し、イベントとイベントの間をコンテンツでつなぐのが一般的です。
おもしろいイベントが企画できる、3つの方程式があります。
<おもしろいイベント3つの方程式>
①掛け算:異なるジャンルの掛け合わせ
②足し算:特定のテーマの人を集める
③組む:A社×B社で共催する
掛け算の例として、プレゼン×フリースタイルバトル、移住説明会×ドラフト会議のイベントの実例が挙げられていました。
プレゼンにラップバトルのような即興性とエンタメ性を組み合わせるところに面白さがあります。
一般的な移住説明会は「ぜひ移住してきてください!」と自治体側がお願いする関係性になるなか、自治体側から移住者をドラフト指名するという斬新なスタイルです。
量を集めたおもしろさを出すのが足し算で、たとえば現役看護師を30人以上集めたトークイベントの例が挙げられていました。
おもしろいイベントで参加者を楽しませるのはもちろん大事ですが、コミュニティの目的に沿っているかは要チェックです。
個々のイベントやコンテンツの配信は、「点」で考えてはいけません。それぞれの活動が、最終的にはコミュニティの目的に収斂するような「線」になるように、大きな文脈をつくることが大切です。
まずはイベントの規模や形式を決め、イベント間にどう参加者と交流するかを企画し、全体スケジュールに落としていきます。
イベント当日に気を付けることは、心理的安全性とコミュニケーションが生まれる設計です。
心理的安全性:他人の評価や反応を気にせず、率直に意見を言えること
心理的安全性を高めるには、アイスブレイクなど話しやすい場づくりを心がけます。
名前のシールを貼っておくと、気軽に話しかけやすいです。参加者がお互いを知るきっかけができれば、その後も会話がしやすくなります。
また、交流の時間を長めに取って、自発的なコミュニケーションを促すのも大切です。
その際、交流時間に積極的に会話してほしい意図を明確に伝えれば、参加者も主体的に交流しやすくなります。
要約③:コミュニティマネージャーは文化をつくる
コミュニティマネージャーの仕事は大きく分けて2つあります。
①ビジョンを掲げて施策を計画/実行する
②コミュニティの文化をつくる
①は前述したとおりですが、もう1つ大きな仕事、コミュニティの文化づくりがあります。
コミュニティの文化とは、独自の雰囲気・場の空気です。
コミュニティのビジョンを反映した文化が醸成されていれば、コミュニティづくりはうまくいっていると言えます。
<独自のカルチャーをつくる4つのポイント>
①カルチャーを言葉にする
②コミュニティのルールづくり(最低限に留める)
③参加者の困りごとの相談に乗る
④ミートアップで参加者の声を拾い上げる
参加者の「こんなコミュニティだとうれしい」という思いの共通点を言葉として表現し、それをコミュニティの文化を表すキーワードとして使います。
そのキーワードでコミュニティの熱量が上がれば、カルチャーを表しているキーワードと言えます。
コミュニティは主体的に参加するものなのでルールは最小限にします。勧誘行為などの禁止行為を定めているコミュニティが多いです。細かい注意点などはユーモアを交えて、自主性を重んじた伝え方を意識しましょう。
コミュニティの参加者が実際にどう感じているかが文化になります。不満や違和感は定期的に拾って解消します。
また、少人数のミートアップで「このコミュニティはどんな方向に向かうのがいいか」を理解して運営することで、文化も醸成されていきます。
コミュニティマネージャーは縁の下の力持ち的存在で、積極的にやりたい人はいないかもしれません。
しかし、人のつながりを大切にする時代、先が見えない時代には、仲間をつなげて熱量の高いコミュニティを運営するスキルはきっと役に立ちます。
ビジョンを掲げ、仲間を集めて動き出すことは、不確実性の高い現代において、誰にとっても必要なスキルです。
コミュニティマネージャーの経験はきっと貴重な資産になるでしょう。
『「コミュニティ」づくりの教科書』 の次に読むなら?
『「コミュニティ」づくりの教科書』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
巻末にコミュニティマネージャーにおすすめの本が紹介されていました。
①、②はそのリストの中から、③は何度も出てくる心理的安全性のキーワードから選びました。
①『1分で話せ』
プレゼンで相手を動かすことにこだわった本。
・わかりやすい説明の型(結論+根拠3つ+たとえば)
・論理(左脳)とイメージ(右脳)で伝える方法
など、相手を動かすプレゼンの具体的なコツがまとまっています。
参考記事:『1分で話せ』の要約まとめ:相手を動かすためのプレゼンのコツがわかる
②『最高の集い方』
記憶に残るイベントを企画するための本。
人を集めることは人とどう向き合うか・どう関わるかをデザインすることであり、
集まった人が「自分の居場所を持てた」と感じられたら成功です。
参考記事:『最高の集い方』の要約まとめ:人とどう向き合うか・関わるかを考え直す
③『恐れのない組織』
”心理的安全性”という言葉の生みの親、エドモンドソン教授の著書。
心理的安全性を知るには欠かせません。
事例が多く、心理的安全性がいかにチームの生産性・創造性を高めるかがわかります。
参考記事:『恐れのない組織』の要約:心理的安全性を高めたいリーダーにおすすめの本
まとめ:コミュニティマネジメントが学べる
・コミュニティには参加者の主体性が必要
・「そもそもなんのためにコミュニティをやるのか」というビジョンを掲げる
・おもしろいイベント3つの方程式
①掛け算:異なるジャンルの掛け合わせ
②足し算:特定のテーマの人を集める
③組む:A社×B社で共催する
・イベント当日は心理的安全性とコミュニケーションが生まれる設計に配慮する
・コミュニティマネージャーはコミュニティの文化をつくる
・コミュニティマネジメントはこれからの時代に役立つスキル
他にもコミュニティ活動の評価方法やイベントの参加者を増やすポイントなど、
具体的なノウハウがたくさん掲載されています。
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