『LIFE SHIFT(ライフシフト)100年時代の人生戦略』は、
長寿化の恩恵を受けるための生き方を提案した本です。
長寿化は一見良いことのようですが、
心身ともに健康で経済的にも安心できる環境がなければ、
ただ苦しい人生が長続きするだけ。
長寿化を苦難とせず、その恩恵を受けるためには、
新しい生き方・マルチステージの生き方が必要です。
【LIFE SHIFT(ライフシフト)の要約】
・長寿化の社会では過去の生き方(3ステージモデル)は適さない
・マルチステージで多種多様な生き方を選択できる
・有形資産だけでなく、無形資産が豊かな老後に影響する
一人ひとりが長寿化を見据えた人生設計を迫られています。
もっと前向きに、今までより柔軟なライフスタイルを選べるようになった、
と捉えることもできるでしょう。
この記事ではLIFE SHIFT(ライフシフト)の要約と感想を紹介します。
目次
LIFE SHIFT(ライフシフト)の要約
LIFE SHIFT(ライフシフト)は、人生100年時代の生き方を考えるための本です。
こういう生き方が正解!と提示されているのではなく、
一人ひとりが人生戦略を考える手助けをしてくれます。
【LIFE SHIFT(ライフシフト)の要約】
・長寿化の社会では過去の生き方(3ステージモデル)は適さない
・マルチステージで多種多様な生き方を選択できる
・有形資産だけでなく、無形資産が豊かな老後に影響する
3ステージからマルチステージへの変化と、無形資産について詳しく紹介します。
3ステージの限界
これまでの大多数が辿ってきたのが、3ステージの生き方です。
3ステージ:教育→仕事→引退
大学を卒業して企業に就職。定年まで勤めあげて、それまでの貯蓄と年金で余生を過ごす生き方。
意識的に選んだというよりは、「この生き方が当たり前」と考えて進んでいました。
でも、20~30代の人は、
3ステージの生き方ではまずい・不安だと薄々感じていますよね。
なぜ3ステージの生き方ではうまくいかないのか?の理由は主に2つあります。
・時代の変化が激しく、人生初期の教育だけで長い仕事ステージを乗り切るのが困難
・長寿化により、引退ステージに必要なお金を貯めるために長い仕事ステージが必要
人間の寿命より企業の寿命が短い時代、ITなどテクノロジーの変化が速い時代に、
若いうちに身につけた教育だけで長い仕事ステージを乗り切るのは不可能に近いです。
また、人によっては50年以上仕事ステージにいることになります。
50年以上同じペースで働けるでしょうか。
人間の気力自体がもたないでしょう。
仕事に飽きる、何のために働いているかわからなくなる等、
メンタルヘルスに影響が出そうですね。
臨機応変にステージを変えて、心身のリフレッシュやスキルアップするのが
マルチステージの生き方です。
人生100年時代はマルチステージで生きる
就職と退職という2つの大きな移行しかない3ステージではなく、
マルチステージでは移行を主体的に選択しながら人生設計します。
マルチステージ:
年齢とステージを固定化せずにステージの移行を繰り返しながら長く働く生き方
”年齢とステージが固定化されない”というのは、ステージがより流動的だということです。
たとえば、会社員を中断して大学で勉強し直してもいいし、
学生のうちに小さく起業してみてもいい。
70歳や80歳になって、若者にまざって会社員をしてもいい。
いろいろな年齢の人が同じステージにいることで、お互いに良い刺激になります。
年齢や経験、価値観が違う人どうしが同じ分野を勉強したり同じプロジェクトに参加したり、多様性のある環境が生まれます。
マルチステージの人生設計がうまくいく鍵は、上手な移行と変身のスキルです。
上手な移行には、
自分にとってより成長できる・望ましいステージを自分で選び取ることが重要。
また、変身のスキルとは新しい挑戦や価値観に柔軟な姿勢です。
人生100年時代の新しいステージ
『LIFE SHIFT』では今まで選びにくかった新しいステージが3つ紹介されています。
・エクスプローラー
・インディペンデント・プロデューサー
・ポートフォリオ・ワーカー
エクスプローラーは、自分の大切にしていることを探求するステージです。
積極的に未知の新しい環境や価値観に触れながら、
”自分が何者であるか”を明確にしていきます。
若者が海外を放浪するイメージですが、会社員が退職・休職して1年間エクスプローラーになる選択肢もあります。
インディペンデント・プロデューサーは起業家に近いですが、
起業してビジネスを成功させるというよりは、小さい起業を通じてビジネスを学ぶ時期です。
金銭的な資産を築くのが目的ではなく、スキルや経験、人脈を得るのが目的です。
ビジネスのアクティブラーニングといえるかもしれません。
ポートフォリオ・ワーカーは異なる仕事を並行して行うステージ。
自分の専門性や経験を生かして、飽きないように仕事をする高齢者や、
自分の適性を探るためにいろいろな仕事にチャレンジしてみる若者など、
年齢に制限はありません。
フリーランス的な働き方に近いのかも。
これらの3つの新しいステージは、
マルチステージを生きる人に新たな選択肢を与えてくれます。
どれをどの時期に経験するか・しないかはあなた次第です。
有形資産と無形資産のバランスを考える
資産と聞いて思い浮かべるのは、
お金や不動産、株など換金性の高いものが多いでしょう。
しかし、人生100年時代には無形資産とのバランスを考える必要があります。
なぜなら、換金性の高い資産だけを持っていても幸福につながらないからです。
お金は使い切れないほどある、死ぬまでお金の心配はない。
でも不健康でいつも体調が悪く、家族や友人は一人もいない。
新しいことにチャレンジする気力もない…
そんな状態で100歳まで生きれるとしたら、長寿は逆に不幸ですよね。
有形資産と無形資産のバランスが大切、というだけで、
有形資産の価値がない・必要ないということではありません。
お金がなければ健康への投資(食べ物や通院、運動習慣)は難しいし、
いつもお金の心配があっては精神的にも健康でいられません。
友人や家族と良好な関係を築くにも、多少のお金は必要です。
チャップリンの名言
「人生に必要なもの。それは、勇気と想像力、そして少しのお金。」
お金に関する価値観については、『DIE WITH ZERO』がとてもおもしろかったです。
まだ読んだことがない人はぜひ読んでみてくださいね。
マルチステージに必要な無形資産:変身資産
『LIFE SHIFT(ライフシフト)』のなかで、無形資産は3つに分類されています。
【無形資産の種類】
・生産性資産:スキル、経験
・活力資産 :健康、家族、友人
・変身資産 :多様な人脈、オープンマインド
変身資産はマルチステージ化する中で必要になる資産です。
変身資産については、次のように書かれています。
人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力のことである。(中略)移行につきものの不確実性への対処能力を高める要素と言い換えてもいい。p.157~158
具体的には、自分のアイデンティティを作る力、多様性に富んだネットワーク、
新しいものに挑戦する姿勢などが挙げられます。
『21lessons』を読んだときも、これからの時代に必要な能力として変化に対応する力(レジリエンス)が挙げられていました。変身資産と同じですよね。
なかでも最も重要なのは、変化に対処し、新しいことを学び、馴染みのない状況下でも心の安定を保つ能力になるだろう。二〇五〇年の世界についていくためには、新しいアイデアや製品を考えつくだけではなく、何よりも自分自身を何度となく徹底的に作り直す必要がある。
『21lessons』 p.339
『LIFE SHIFT(ライフシフト)』では頻繁に”リ・クリエーション(再創造)”という言葉が出てきます。自己投資して自分をアップデートすることを指す言葉です。
”何よりも自分自身を何度となく徹底的に作り直す必要がある。”(『21lessons』)と
通じるところがありますよね。
どちらで言っていることも、
10年先、20年先に必要な具体的なスキルはわからないのだから、
何が必要になっても臆せずチャレンジできるような変身資産を持っておこう!
と理解しました。
『LIFE SHIFT』は個人の視点から、『21lessons』はより広い社会的な視点から
これからの時代を考察しています。
『21lessons』は難易度高めですが、がんばって読むだけの価値はありました。
『LIFE SHIFT(ライフシフト)』のオーディオブック
『LIFE SHIFT(ライフシフト)』は耳で聴けるオーディオブックがあります。
『LIFE SHIFT(ライフシフト)』は聞き放題対象外ですが、
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『LIFE SHIFT(ライフシフト)』の感想
ここからは個人的に心に響いたポイント、
自分のアイデンティティを作る必要性について紹介します。
人生が短く、人々が人生で多くの移行を経験しなかった頃は、とりたてて深く考えなくても「私は何者か?」という問いの答えはおのずと見えてきた。しかし、人生が長くなり、多くの移行を経験する時代には、人生全体を貫く要素がなにかを意識的に問わなくてはならない。さまざまな変化を重ねつつも、自分の本質であり続ける要素とは、なんなのか? P.37
今までは、固定化されたステージがアイデンティティを提供してくれた側面があります。
”〇〇社の社員”、”〇〇ちゃんのお母さん”など、
特に自分で考えなくても拠り所がありました。
これからはステージがより流動的になるので、
自分のアイデンティティは自分で選ぶ・作る必要があります。
「自分とは何者か?」にずっと向き合うことになるのです。
自分のアイデンティティを自分で作れる、
より自由な時代と前向きに考えています。
男性が育児参加する、女性がバリバリ仕事をする、など、
今までは選びにくかった選択肢が選びやすくなったといえますよね。
長寿化がもたらす影響を、自由な人生設計ができるチャンスと受け取るか、
高齢化社会や財政の圧迫など暗い時代への突入と受け取るかは自分次第です。
『LIFESHIFT(ライフシフト)』の次に読むなら?おすすめ本3選
『LIFE SHIFT(ライフシフト)』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『LIFE SHIFT2』
『LIFE SHIFT』の次は、実践編として『LIFE SHIFT2』がおすすめ。
マルチステージの基本戦略を元に、いろいろなケースでどう実践すればよいかがわかります。
『LIFE SHIFT2』ではテクノロジーの発展による影響も加味されています。
参考記事:ライフシフト2の要約:人生100年時代の行動戦略を自分でデザインしよう
②『働き方5.0』
メディアアーティストや大学の准教授としてよくメディアに出ている、
落合陽一さんの本です。
コンピューターの発展が著しい時代に人間がやるべきことの本質を考えられます。
子育て世代にもおすすめの1冊です。
参考記事:『働き方5.0』の要約:人間がやるべきことの本質とは?【教育本としてもおすすめ】
③『科学的な適職』
人生100年時代のマルチステージの生き方では、仕事選びの機会が何度か訪れます。
どうすれば幸せな仕事選びができるかについて、『科学的な適職』が参考になります。
好きを仕事にしてはダメ、給料を理由に選んでもダメ。
仕事の幸福度を決める7つの徳目がわかります。
参考記事:『科学的な適職』の要約:幸福度を上げる7つの徳目とは?【好きを仕事にするのはNG】
まとめ:自由にステージが移行できる時代
・従来の3ステージ(教育→仕事→引退)の生き方は長寿化社会に合わなくなってきた
・固定化された3ステージから流動的なマルチステージに移行する
・長寿化社会の恩恵を受けるには有形資産と無形資産のバランスが重要
・マルチステージでは変身資産の重要性が増した
・自分のアイデンティティを自分で作る時代
長寿化をプラスに考えるかマイナスに考えるかは自分次第です。
どうせなら、人生のステージの選択肢が広がったと考えてワクワクしたいですよね。
個人が完全に自由にステージを選べるようになるには、
企業や政府の変化も必要です。
ただ、「企業や社会が変わらないから・・・」と従来の生き方にこだわっていると、
今までのスキルや経験の延長線上に縛られたまま70歳近くまで働くことになります。
でも、単に自分ができる仕事じゃなくて心からやりたい仕事で働きたいですよね。
働き方やワークライフバランスに悩んでいる人におすすめの1冊です。
★今回紹介した本★
サクッと読みたい人にはマンガ版もあります。
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