『毒になる親』は、親の支配に気づいて自分の人生を取り戻すための本。
毒になる親とは、”子どもに対するネガティブな行動パターンが執拗に継続し、それが子どもの人生を支配するようになってしまう親”を指します。
小さな子どもにとって親は世界のすべてであり、親が間違っていることに気づけません。それが知らないうちに子どものなかに不健全な信念を作り出し、大人になってからのトラブルの元になってしまいます。
★ 『毒になる親』 の要約ポイント★
・毒になる親のタイプ
・毒になる親の共通点
・毒になる親から自由になる方法
この記事では 『毒になる親』 の要約を紹介します。
目次
要約①:毒になる親のタイプ
親も完璧ではなく、ときに不適切な行動をしてしまうときもあるかもしれません。それが一時的なものなら問題ありませんが、執拗に継続することで子どもに悪影響を与えてしまいます。
毒になる親
”子どもに対するネガティブな行動パターンが執拗に継続し、それが子どもの人生を支配するようになってしまう親”
ただし、肉体的・性的虐待は1回限りでも子どもに大きなダメージを与えます。
小さな子どもにとっては親は世界のすべてであり、親は正しくて完璧な存在だと思おうとします。そうでなければ安心して生きられないからです。そして、成長するにつれて子ども自身のアイデンティティを確立し、だんだん親から自立していきます。しかし、心の不健康な親は子どもが自立していく過程を自分への攻撃とみなして親自身を守ろうとし、正常な発達を妨害してしまうのです。
毒親に育てられた子どもは、親がそのような行動をするのは「自分がいけないからだ」と感じ、「親が間違っている」とは思いません。その結果、無意識に次のような信念を持ってしまいます。
・自分には価値がない
・自分は愛されない
・自分は不十分である など
毒になる親には主に次のようなタイプがあります。
・義務を果たさない親
・コントロールばかりする親
・アルコール中毒の親
・残酷な言葉で傷つける親
・暴力をふるう親
・性的な行為をする親
上記のなかから3つのタイプを紹介します。
義務を果たさない親
親が果たすべき義務には次のようなものがあります。
・子どもの肉体的ニーズを満たす(衣食住、その他健康に必要なこと)
・子どもの精神的ニーズを満たす(愛情、安心、関心を向けるなど)
・子どもを危険や外から守る
・子どもに道徳や倫理観を教える
これらの義務を果たさない親は、毒になる親です。
子どものニーズに応えられないどころか、親自身のニーズを優先して子どもに満たしてもらおうとします。分不相応な要求をされた子どもは、不完全にしかできないことに罪悪感と過剰な義務感を感じさせられ、ますますがんばってエネルギーを消耗させてしまいます。
本当は自分のために使えるエネルギーが親のニーズを満たすために使われてしまい、大人になってからも「いくらがんばってもまだ足りない気がする」と感じているかもしれません。
コントロールばかりする親
コントロールばかりする親には次のような例があります。
・仕事や進路、結婚など自分が望むことをさせようとする
・親の望むとおりにしないとお小遣いや学費を払わない
・子どもの能力を永久に認めない
・過干渉(文句を言うと傷ついた顔をして罪悪感を植え付ける) など
なぜコントロールするのかというと、自分が必要とされなくなることを恐れているからです。親であることしかアイデンティティがないので、子どもが成長することで親というアイデンティティが脅かされるように感じます。
コントロールばかりする親は、親自身の人生に対する根深い不満があり、それを子どもを使って解消しようとします。このような親に育てられた人は、自分が本当に望んでいることなのか、親や他人の望みなのかがわからなくなりがちです。大人になっても口を出してくるので、親が結婚生活のトラブルになることも多いです。
残酷な言葉で傷つける親
わかりやすく残酷な言葉を言ってしまう親もいれば、ユーモアのつもりで子どもを傷つけている親もいます。
あざけり、けなす、いじる等は、親自身に能力がないというフラストレーションのはけ口にしているだけかもしれません。子どもに優越性を示していないと自信が保てないのです。
そのような親に育てられると、子どもは「親に勝らないように、あまり成功しないようにする」という生存戦略を取ります。親を勝たせておくことが家庭の平安だからです。
また、完璧であるように求めるがゆえに、失敗をなじったり落胆してみせたりして残酷な言葉を投げつける親もいます。
このような親は、「子どもが完璧であれば親である自分も完璧(自分が完璧でないのは子どものせい)」という信念を持っています。
小さい子どもは「親は正しくて完璧だ」と思っているので、親の言葉を額面どおり受け取って内面化します。親は叱咤激励やユーモアのつもりでも、子どもにとっては真実として受け取られてしまうのです。
内面化:
脳は人から言われた言葉をそのまま受け入れ、そっくり無意識のなかに埋め込む
親から「お前は〇〇だ」と言われたとき、子どもは「わたしは〇〇だ」と自分の言葉に変換し、無意識の信念となって子ども自身を縛ってしまいます。
要約②:毒になる親の共通点
毒になる親のタイプを紹介しましたが、毒になる親には共通点があります。
・役割の逆転
・事実の否定
・個人間の境界線がぼやける
1つずつ紹介します。
役割の逆転
毒になる親は子どもより自分を優先させるため、親と子どもの役割が逆転していることがあります。
本来は子どもの基本的ニーズを親が満たすはずが、親のニーズを子どもに満たさせているため、子どもが子どもでいられる時期を親が奪い取ってしまいます。
たとえば、他の家族の世話を任されて親の代わりをしなければならなかったり、親が機嫌よくいられるように顔色を窺わなければならなかったり、どちらが親かわからない状態になりがちです。
そのような子ども時代を過ごすと、自分の人生のためにエネルギーを使うのが苦手になります。自分の本当の感情を閉じ込めるのに慣れてしまったり、義務感を感じすぎてしまったりするのです。
事実の否定
子どもは親を信じたいがために、親が正しいとは思えない行動をしたときにその事実を否定することがあります。「親は正しい」「自分が悪い」と信じ込むため、次のような理由づけをして正当化します。
・暴力をふるうのは自分の将来のためを思ってしつけるため
・かまってくれないのは母自身が不幸だったから仕方なかった
・お酒ばかり飲むのはさみしいからで、もっとそばにいてあげればよかった など
事実を否定したり正当化したりするのは、自己防衛のためです。第三者からはどんなにおかしなことを言っているように見えても、子どもは家庭を守ることに必死になります。
どんなにひどい家であっても、家が平和であることはほとんどの子供にとって驚くほど大切なことなのだ。
また、親のほうも事実を否定します。
「毒になる親」は、自分の考えが間違っていることを示す事実には必ず抵抗する。そして、自分の考えを変えるのではなく、自分の考えに合うように周囲の事実をねじ曲げて解釈しようとする。だが子供は「本当の事実」と「ねじ曲げられた事実」とを区別することができないため、親のねじ曲げられた考えをそのまま自分の人生に持ち込んでしまうのである。
表面上に言語化されていない考えは無意識に刷り込まれてしまうから厄介です。しかし、親が間違ってた、親に責任があったという事実を認めることが、解放への第一歩になります。
個人間の境界線がぼやける
毒になる親がいる家庭では、子どもは親の考えに従い、親の要求を実行しなければなりません。そうなると、子ども自身の感情や意思は表現できなくなり、もはや自分の感情なのか親の感情なのかわからなくなります。
こうして家族のメンバー同士は不健康な形で密着し、親も子供もどこまでが自分でどこから先が子供(親)なのかがわからない。そしてそのように密着することでお互いを窒息させ合っているのである。
また、どうにもならない無力感から、子どもは毒になる親の存在を隠してノーマルな家庭に見せかけようと取り繕うこともあります。隠さなければならないから親しい友人をつくらない、他人に心を開かない、ノーマルな家庭の子どもを演じ続ける等は子どもからエネルギーを奪っていくでしょう。
親とは境界線がぼやける一方、家庭の外とは信頼関係を持ってつながることができない。そして、孤立していき、ますます家庭の中に閉じ込められてしまいます。
要約③:毒になる親から自由になる方法
『毒になる親』には、親から人生を取り戻す具体的なワークが載っています。ワーク自体はすぐにできるものですが、人によっては本だけで取り組むのは負担が大きいかもしれません。必要に応じて専門家の支援も検討しましょう。
まず大前提として、親を許す必要はない、と繰り返し書かれています。
「許さないといけないから許す」という姿勢では、事実を否定して感情に蓋をしているのと同じです。結果的に許せるなら許せばいいだけで、許せないままでも親から自由になることはできます。
さらに、親を変えようとしなくても良い、親が変わるか変わらないかとあなたが自由になるかどうかは別の問題です。
あなたの幸福は、あなたの親がどんな親であるかによって左右されなければならない理由はないのである。たとえ親はまったく変わらなくとも、あなたは子供時代のトラウマを乗り越え、親によって支配されている人生を克服することができる。あなたに必要なのは、それをやり抜く決意と実行力だけなのだ。
実際のワークとしては、考え/感情/行動をチェックして、親にどれほど自己をからめとられているのか理解するところから始まります。
考え(信条)のチェックリスト
・親は私の行動次第で幸せを感じたり感じなかったりする
・親と話をすることは意味がない など
感情のチェックリスト
・親の気分を害するようなことをすると罪悪感を感じる
・わたしは親に反対するのが怖い など
行動のチェックリスト
・本当はどう考えているか言わないことがある
・親が気に入らないとわかっていることをする など
次に、自己防衛的にならない対応の仕方を練習します。
相手に対して自動的に反応するのではなく、自分の感情を自覚したうえでいろいろな選択肢のなかから自分で選択するということです。
自己防衛的にならない対応の言葉
「あぁ、そうなの」「なるほど」「がっかりさせて申し訳ないけど、…」「それについてはもう少し考えさせてください」「あなたがどういう意見を持とうと、もちろんあなたの自由ですよ」
自分の意志で選択することを繰り返していくと、だんだんと自分がはっきりしてきます。子ども時代に失われてしまった自分を取り戻し、自分に誠実でいることを心がけましょう。
相手に対して感情が自動的に反応してしまうのを許しているということは、自分に対するコントロールを失っているということであり、言葉を換えれば、自分の感情は相手次第でどうにでもなってしまうということになる。それはつまり、自分の感情をコントロールする力を相手に与えてしまっているということだ。
このほかに、怒りの管理、悲しみの処理をするワークが載っています。さらに、毒になる親と対決する方法も紹介されています。
自分の人生で特定のパターンを繰り返している人や親の影響を感じている人、また、子どもを持つ人におすすめの本でした。
『毒になる親』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『毒になる親』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『無意識のすごい見える化』
意識には顕在意識と潜在意識があり、潜在意識で望んでいることが現実化すると言われています。
心の奥でどんなことを望んでいるかが現実に影響を与えるのです。
潜在意識の奥にある意識の器=メタ無意識のパターンは子どものころの記憶に影響を受けており、その記憶に向き合うことで、自分をいつの間にか縛っている思考パターンを書き換えることができます。
参考記事:『無意識のすごい見える化』の要約まとめ:他者基準から自由になる
②『ザ・メンタルモデル』
自分の深いところにある信念を知ることで自己理解が深められる本。
「価値なし」モデル、「愛なし」モデル、「ひとりぼっち」モデル、「欠陥欠損」モデルの4つのメンタルモデルのうち、どの信念を持っているかを知ることで自己理解を深めます。
集合的無意識などに興味がある方におすすめです。
参考記事:『ザ・メンタルモデル』のまとめと感想:自分の思考・行動パターンに気づく
③『親子の法則』
今の望ましくない行動パターンの裏にある、親への先入観を手放す本。
「親は完璧だ、正しい」という信念を捨てて、「間違えることもあるただの人間」と捉え直すことで、小さいころ無意識に信じていた考えや自分への制限を手放すことができます。
参考記事:『親子の法則』の要約まとめ:親への先入観をフラットに戻す
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本業の会社員では研修講師やファシリテーターをしています。コーチングも提供しているので興味がある方はぜひご検討ください。
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