『チームが自然に生まれ変わる』は、認知科学に基づいたエフィカシー・ドリブン・リーダーシップの理論と実践が学べる本です。
エフィカシーとは、「やれる気しかしない!」という自信のこと。
心から望むゴールとそれに対するエフィカシーがあれば、自然と熱量が高くなります。
「チームのモチベーションが低い、どうやってやる気を出したらいいのか」と悩むリーダーに刺さる内容です。
★『チームが自然に生まれ変わる』の要約ポイント★
・内部モデル(ものの見方)を変えると行動が変わる
・内側から人を動かす源はゴールとエフィカシー
・真のwant toを持って理想の未来に没入する
熱量の高い行動をアウトプットするためには、ものの見方から変えましょう!
この記事では『チームが自然に生まれ変わる』の要約を紹介します。
目次
要約①:内部モデル(ものの見方)を変えると行動が変わる
価値観が多様化するなか、部下のやる気を上げるために外発的動機づけに頼るのは時代遅れです。
30年前は金銭報酬や上司の権力に一定の効果がありましたが、今では効果が薄いでしょう。
内発的動機づけ:意欲、情熱、熱中など自分の中から湧き上がるもの
外発的動機づけ:報酬、地位、評価など外から与えられるもの
全世界85万人を対象に行った調査では、ミレニアル世代(1982~2000年生まれ)の仕事の動機付け第1位は「impact」で、ワースト1位は「Money」だったそうです。
やる気を出すには内発的動機づけが重要であり、そのためには内部モデル(ものの見方)を変える必要があります。
認知科学は、インプットした刺激が内部モデルで情報処理され、アウトプットされる、と考えます。
インプット⇒内部モデル⇒アウトプット
たとえば、”日照りが続いている”というインプットに対して、”神様が怒っている”と認知する内部モデルを持っている人は、”雨乞いの祈祷をする”というアウトプットをします。
外発的動機づけでインプットを変えて人の行動に影響を与えようとしても、内部モデルによって望む結果は出てきません。
「あと10件営業する」という上司の指示(インプット)に対して、「よし、やってやろう!」と思えるAさんと「無理だろ、しんどいな」と思うBさんは内部モデルが異なるだけです。
「あと10件営業する」⇒営業なんて楽勝だ、やってやろう⇒行動する
「あと10件営業する」⇒10件なんて無理だろ、しんどいな⇒なかなか行動できない
Bさんが行動できないのはやる気が低いわけではなく、Bさんの内部モデルから当然の結果として出力されたにすぎません。
ここでBさんに「やる気を出せ」と言っても効果はないですよね。
大切なのは、Bさんの見ている世界を変えることであり、そのためにはゴールとエフィカシーが重要なポイントです。
要約②:内側から人を動かす源はゴールとエフィカシー
内側から人を動かすには、その人の内部モデルを変える必要があります。
そのために重要なのはゴールとエフィカシーです。
ゴール :個人のwant toにひもづいた現状の外側にある目標
エフィカシー:やれる気しかしないという自信
認知科学の分野であるプロジェクション・サイエンスによると、わたしたちは脳がつくり出したものを現実として投影しているそうです。
つまり、脳がリアリティを感じるものには現実として没入できます。
これまでと違う理想の現実(ゴール)にリアリティがあれば、内部モデルが変わってエフィカシーを感じられます。
エフィカシーは「やれる気がする/やれる気しかしない」と信じられれば良いので、根拠のない自信で良いです。
ここで改めて強調しておきたいのは、エフィカシーはあくまでも「認知」でしかないということだ。つまり、問われているのはあくまでも「その人が『自分にはできる』と信じているかどうか」であり、「その人が実際にできる(能力がある)かどうか」ではない。
さらに、ゴールが現状の外側にあることが重要です。
現状の延長線上のゴールでは、現在の内部モデルのまま達成しようとしてしまいます。
内部モデルを変えざるを得ないくらいの、チャレンジが必要なゴールを設定しましょう。
「心の底から住みたいと思えるにもかかわらず、どうすれば到達できるかわからないような現状の外側にある世界」をゴールとして設定し、そこに圧倒的な臨場感を持ってしまったとき、人や組織の「ものの見方」は劇的に変わらざるを得ない。
要約③:真のwant toを持って理想の未来に没入する
ゴールを設定してエフィカシーを感じるには、具体的にどうすればよいでしょうか。
2つポイントがあります。
・真のwant to(やりたいこと)を持つ
・have to(やらなければならないこと)を捨てる
ゴールは、本当に心からやりたいことでなければ意味がありません。
自分の得意なこと・夢中になれること・繰り返していること等から自分のwant to、大事にしている価値観を探しましょう。
ストレングスファインダーなどの診断ツールも有効です。
そして、have to(やらなければならないこと)を認識し、できる限り捨てます。
1日の行動をリスト化し、その中からhave toを洗い出して捨てる、すぐには捨てられない場合は捨てたときをイメージしてみます。
人間には現状維持しようとする体の機能(ホメオスタシス)があり、それは心にもあります(心理ホメオスタシス)。
せっかくwant toを見つけてhave toを捨てても、心理ホメオスタシスで現状に引き戻されてしまう確率が高いです。
心理ホメオスタシスは本能なので避けることはできません。無理に避ける代わりに、ホメオスタシスで戻る基準点を上げましょう。
ホメオスタシスの「基準点」となるコンフォートゾーンそのものを動かしてしまうしかない。つまり、「現状」とは異なる世界に臨場感の軸をずらし、脳が本能的に引き返そうとする基準点を変えてしまうのだ。
基準点を上げるには、決断の力を利用します。
現状であるhave toを捨てるときに、捨て方をあれこれ考える前に捨てる決断をするのです。
決断をするとは、脳が何を意識して何を意識しないか決めることであり、見える世界が変わることを意味します。
決断のコツとしては、have toを捨てた後の未来の予定を先取りして入れてしまう、捨てるときに儀式(物理的な物を処分する、宣言する、紙に書き出す等)をセットにする等、”決断した”という実感が高まる工夫をすることです。
メンバーのwant toを引き出すには?
チームメンバーのゴール設定をするには、1on1でそれぞれのwant toを引き出し、組織のwant toと重なるところを見つけます。
本当にやりたいことを引き出すには1対多の飲み会や研修は不向きです。
メンバーと行う1on1は3つの種類があります。
・want toを引き出すコーチング
・業績や評価のフィードバック(過去)
・未来像から逆算するフィードフォワード(未来)
want toを引き出すコーチングでは、今の仕事の話から始めるのを避けます。
小さいころから続けていること・好きなこと等から話を聞くことで、本当のwant toを考えやすくなります。
過去を振り返るフィードバックと未来から逆算するフィードフォワードは、同じ時間の1on1で扱わないように注意しましょう。
未来に臨場感を持つためには、未来を語るフィードフォワードの場では徹底的に未来の話だけをします。
リーダーと1対1で向き合って「目標数値の達成度」や「予算未達の要因」を語り合ったあとでは、いくらパーパスの話をされたとしても、メンバーの心には響かない。リーダーからそうした話をされた瞬間に、部下のなかでは「現状」を肯定する内部モデルが立ち上がり、「未来」には目が向かない心理状態になってしまうからだ。
会社ではPDCAやフィードバックの面談が多いのではないでしょうか。
PDCAやフィードバックでは過去の、特に過去に失敗した出来事にフォーカスされがちなので、エフィカシーを奪う可能性が高いです。
これからはPDCAよりOODA(ウーダ)ループ型のリーダーシップが望ましいでしょう。
Observe(観察) ⇒ Orient(方向づけ) ⇒ Decide(決断) ⇒ Action(行動)
『チームが自然に生まれ変わる』の次に読むなら?
『チームが自然に生まれ変わる』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『パーパス・マネジメント』
社員の幸せを大切にした経営がわかる本。
個人のパーパス(存在意義)と組織のパーパスが一致すると社員は仕事を通じて幸せを感じ、社員が幸せだと会社の業績にも貢献します。
人事部門やチームリーダー、起業を考えている人におすすめです。
『パーパス・マネジメント』の要約まとめ:仕事における幸せとは?
②『動機づけのマネジメント』
メンバーに無理やりやる気を出させることはできません。
動機づけの環境を整えるのがリーダーの仕事です。
動機づけができるような接し方をしているか、自分自身を振り返りましょう。
参考記事:『動機づけのマネジメント』の要約まとめ:深くて強い動機が生まれる環境を整える
③『だから僕たちは、組織を変えていける』
やる気に満ちたやさしいチームのつくり方がわかる本です。
組織の人間関係の質を改善するポイントがよくわかります。
参考記事:『だから僕たちは、組織を変えていける』の要約まとめ:関係の質を高めるには?
まとめ:内側が変われば外側が変わる
・価値観が多様な時代に、外発的動機づけは効きにくい
・内部モデル(ものの見方)が変わればアウトプット(行動)が変わる
・内部モデルを変えるカギはゴールとエフィカシー
・真のwant toに基づいた、現状の外側のゴールを設定する
・ゴールに臨場感が「やれる気しかしない」というエフィカシーを生む
・have toを捨てると決断し、ホメオスタシスの基準点を上げる
・フィードフォワードとOODAループが未来志向のリーダーシップ
人を外側から変えるのは難しく、内側からの世界の見方を変えるのがリーダーの役割。
まずはリーダー自身がワクワクできるゴールとエフィカシーを持つことが大切です。
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