本『insight』の要約まとめ:自分を正しく知る自己認識(セルフ・アウェアネス)とは?

本『insight』の要約まとめ:自分を正しく知る自己認識(セルフ・アウェアネス)とは?

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『insight』は自分を正しく理解するための自己認識(セルフ・アウェアネス)についてわかる本です。

『insight』のなかで、自己認識とは次のように定義されています。

(前略)自己認識とは、要するに、自分自身のことを明確に理解する力ー自分とは何者であり、他人からどう見られ、いかに世界へ適合しているかを理解する能力だ。

insight(洞察・気づき)は自己認識を得るきっかけのこと。気づき=成長・学びの機会です。

 

インサイトを得て自己認識を高めることで、本来の自分に合った人生を選択し、周りと信頼関係を築くことができます。

自分の本当にやりたいことがわからない、家族・友人・同僚と思い描いたような信頼関係が築けない人は自己認識が欠けているのかもしれません。

★『insight』の要約ポイント★

 

・自己認識には2種類ある(内的自己認識/外的自己認識)

 

・インサイトの障害は思い込みと高すぎる自尊心

 

・マインドフルネスとフィードバックで自己認識を高める

巻末資料や訳注を除いても434ページありますが、長さを感じさせないくらいおもしろい本でした!

この記事では『insight』の要約を紹介します。

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要約①:自己認識には2種類ある

 

自己認識とは”自分自身のことを明確に理解する力”のことであり、

内的自己認識と外的自己認識の2つがあります。

内的自己認識:価値観、行動や思考パターン、他者への影響に対する理解など

 

外的自己認識:周りが自分をどう見ているか

自己認識と聞くと、内的自己認識のイメージがありませんか?

外的自己認識も同じくらい重要です。

 

内的自己認識が高いと、人生のさまざまな場面で本来の自分に合った決断ができます。

自分が何を求めているかわかる力です。

 

外的自己認識が高いと、相手の視点から自分を見られるので良好な人間関係が築けるでしょう。

また、相手の立場で考えられることは交渉やプレゼンなどでもとても重要なスキルです。

 

内的自己認識と外的自己認識には相関関係がありません。

内的自己認識が高いからといって、外的自己認識が高いわけではないのですね。

 

しかも、どちらかが高いとかえって悪影響があります。

内的自己認識が高くて外的自己認識が低いと・・・

⇒自分では適切にふるまっているつもりでも周囲から浮いている・理解されない

 

内的自己認識が低くて外的自己認識が高いと・・・

⇒周りの目が気になって自分を見失う

自分を内的にも外的にも理解することは、幸せな人生を送るのに必須の能力です。

 

自己認識を深めるためのインサイト(気づき)を得る経験は、いろいろなところからやってきます。

・新しい役割/ルール:はじめてのリーダー体験、難しい課題へのチャレンジ

 

・激震:病気や身近な人との別れ、解雇、倒産など

 

・日々のインサイト:何気ないひと言や日常の場面

新しい環境や挑戦、大きな危機からインサイトを得ることもありますが、

必ずしも大きなイベントが必要なわけではありません。

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要約②:インサイトの障害は思い込みと高すぎる自尊心

 

インサイトを得るのを阻む大きな障害が2つあります。

・思いこみ

 

・高すぎる自尊心

1つずつ紹介します。

インサイトの障害①:思いこみ

自己認識の対極にあるのが自己欺瞞です。

自己欺瞞:自分の見たいモノだけ見ること、思いこみ

『insight』では、人間がいかに思いこみやすいかを証明した実験がたくさん紹介されています。

1番おもしろかった、刑務所の囚人を対象にした実験を紹介します。

暴力犯罪の囚人に、自分ー平均的な囚人、自分ー平均的な(囚人ではない)近隣住民を比べて自己評価をしてもらった。

 

自己評価の項目は思いやり/親切/信用/誠実/道徳的/信用/寛大/自制/法の遵守。

(暴力犯罪の囚人は低そうなものばかり)

 

暴力犯罪の囚人は自分ー平均的な囚人の比較で自分のほうが優れているとしただけでなく、自分ー平均的な(囚人ではない)近隣住民の比較でも9つ中8つで自分のほうが優れていると評価しました。

 

残りの1つ、法の遵守については同程度の評価(自分も近隣住民も同じくらい法を遵守している)だったそうです。

自分だけでは自分を客観的に評価できないことがよくわかります。

ほかにも、次のような思いこみがあります。

・ダニング=クルーガー効果:最も能力がない人が自分の能力に最も自信を持つ

 

・平均以上効果:ほとんどの人が”自分は平均以上である”と考える

思いこみから脱するためには、自分の価値観や前提を疑う、他者からフィードバックをもらうことが有効です。

 

インサイトの障害②:高すぎる自尊心

自分が唯一無二、特別な存在であると過大評価することで視野が狭くなり、インサイトを得にくくなります。

 

『insight』のなかでは”自分教というカルト”と表現されています。

自分だけは大丈夫、自分だけは特別と思いこむことによって、無謀なリスクを冒すことも。

 

昨今は、順位をつけない、成績のインフレ(ほとんどがA評価)など、自尊心を尊重する教育が流行っています。

 

しかし、高すぎる自尊心を持った学生が社会に出て、現実を直視できずに立ち直れないという弊害があります。

ずっと自尊心が高いままでいられれば良いですが、

いつか現実の自分の能力を知るときが来ますよね。

 

自己認識が高い人も、緊急避難として自尊心の色眼鏡をかけることはあります。

気力を回復させる時間を稼ぐとき、一時的に辛さを忘れるために”自分は大丈夫”と思うことはあっても、それはあくまで例外的な対応です。

 

ずっと自分を過大評価していると、自己認識は歪んでいくでしょう。

 

高すぎる自尊心の障害を克服するには、自己尊重ではなく自己受容をします。

自己受容:不完全さを理解し、ありのままを受け止める

 

自己受容の具体的な方法は、心の声(セルフトーク)を意識することです。

「ポイントは、自分自身を知ることではなく、発見した自分という人間を愛することだ」。そのプロセスは苦しいこともあるのでは?そういうときもある。しかし多くの場合、苦しさは前進していることの証だ。

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要約③:自己認識を高める方法

 

『insight』には自己認識を高めるツールがたくさん紹介されています。

その中でも特に重要な2つ、マインドフルネスとフィードバックを紹介します。

内的自己認識を高める:マインドフルネス

マインドフルネスと聞くと瞑想をイメージしますが、瞑想はマインドフルネスの手段の1つです。

マインドフルネス:自分の思考・感情・行動に気づくこと

 

マインドフルネスであれば自分の行動をコントロールして賢明な判断ができます。

具体的な方法を紹介します。

リフレーミング:良いことも悪いこともいろいろな角度から見る

リフレーミングとは物事の意味づけを再定義することです。

 

たとえば、ピンチだと感じた出来事を「これはなんのチャンス?」と考える。

反対に、チャンスと感じた出来事に「どんな潜在的リスクがあるだろう?」と考える。

 

いろいろな角度から捉えることで思いこみや盲点を減らせます。

 

比較と対比:いま起きていることと過去の経験を比較

過去の体験と比較・対比することで、自己認識を深めます。

 

次のような質問が有効です。Xには仕事、恋愛、家庭など振り返りたいことを当てはめます。

・Xは過去と比べて何が同じで何が違う?

 

・Xの変化に伴って自分の気分はどう変化するか?

 

・Xに対する過去の感情に比べて、今はXに対してどのくらい満足しているか?

 

など

 

日々のチェック:毎日5分の振り返り

毎日5分の時間をつくって次のように問いかけてみます。

今日は何が上手くいった?何が上手くいかなかった?何を学び、明日からどのように賢くなれる?

 

きれいにまとまっていなくても、日々の振り返りの積み重ねが少しずつ自己認識を向上させていきます。

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外的自己認識を高める:フィードバック

 

周りから自分がどう見えているかは、自分ではなかなかわからないものです。

そこで重要なのが他者からのフィードバックを得ること。

 

しかし、フィードバックは勝手に与えられるものではなく、自分からもらう努力をしなければなりません。

 

特に悪いフィードバックは伝えたくないのが人間です。

マム効果:悪い知らせは知らせない。沈黙する。

また、フィードバックを求めていても本心では聞きたくない人もいます。

勇気を出してフィードバックしてもらっても、「それはあなたの意見ですよね」とむすっとしていたら、もう二度とフィードバックはされないでしょう。

 

フィードバックを受けるには、まず適切なフィードバックをしてくれる愛のある批判者を見つけます。

 

あなたの成長に時間を割いてくれるか?成長を願ってくれているか?を考えます。

愛がない批判者でも無批判な熱愛者でも客観的なフィードバックは得られません。

 

今までにあなたに苦言を呈してくれたことがあるか?もしくは、厳しい話題を逃げずに持ち出せる人か?も重要です。

 

そして具体的な質問をします。

「わたしについてなんでもフィードバックしてください」というぼんやりした質問ではなく、何についてフィードバックしてほしいかを明確にします。

 

そのためには仮説を持ちましょう。

「部下に対して厳しく接し過ぎているのではないか?」、「プレゼンの話し方が悪い印象を与えているのではないか?」など仮説を持ちます。

 

そして、その仮説が真実であるか、真実なら何がそうさせているのかをフィードバックしてもらいます。

 

厳しいフィードバックを受けるとつい感情的に反応してしまうこともあるでしょう。

フィードバックの受け止め方の法則(3Rモデル)を知っておくと対処できます。

Receive(受け止める):自分の感情を観察する

 

Reflect on(向き合う):自分の幸福や成長に影響があるか問いかける

 

Respond(行動する):行動を起こしたいか問いかける

まず感情の整理をつけてから、自分への意味を考えます。

受け入れる心の準備が整うまでは、時間を空けても大丈夫!

 

フィードバックは善意のものであり現実であるとオープンな心で受け止めること、

そしてフィードバックしてくれた人に対する感謝が大切です。

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『insight』の次に読むなら?おすすめ本3選

 

『insight』とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『自分の小さな「箱」から脱出する方法』

 

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』は、

人間関係の悩みの原因は自己欺瞞(=箱)という本です。

 

自分を偽らずに素直になる、知らないことを認める、相手の気持ちを想像する等、

箱から脱出すると自己認識が向上するはず!

参考記事:自分の小さな箱から脱出する方法の要約まとめ!自己欺瞞を克服して人間関係を改善

 

②『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』

 

アンコンシャス・バイアスとは無意識の思いこみや偏見のこと。

多様な価値観を活かすためにアンコンシャスバイアスに気づいて対処するマネジメントがわかる本です。

 

自分のアンコンシャス・バイアスに気づくことは自己認識を高めることにつながります。

参考記事:『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』の要約:最高のリーダーは自分を信じない

③『多様性の科学』

 

多様性のある環境では自分の価値観や前提を疑うようなことが頻繁に起こるので、

インサイトを得やすいでしょう。

 

事例が多くて読み物としてとてもおもしろいです。

『insight』が気に入った方なら好きだと思います。

 

個人的に、2021年おすすめベスト3です!

参考記事:『多様性の科学』の要約と感想:多様性がなぜ必要なのか?がわかる本

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まとめ:自己認識を高めることが幸せへの近道

・自己認識とは自分自身を明確に理解する力

 

・内的自己認識とは自分の価値観や思考パターンを理解すること

 

・外的自己認識とは周りから自分がどう見られているかを客観的に理解すること

 

・インサイト(気づき)から学ぶことで自己認識が高まる

 

・インサイトを阻むもの:思いこみと高すぎる自尊心

 

・自己認識を高める方法:マインドフルネスとフィードバック

 

・物事を多角的に捉えて振り返ることがマインドフルネスになる

 

・フィードバックは得ようと努力しないと得られない

 

・愛のある批判者を探してフィードバックを受け止めよう

自己認識を高める理由と方法がわかりやすく解説された本でした。

ためになるだけでなく、事例が純粋におもしろいです。

 

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