『THE CULTURE CODE(カルチャーコード)最強チームをつくる方法』は、成功するチームの文化をつくるためのスキルがわかる本。
個々の能力ではなく、メンバー同士の相互作用がチームの成否を左右します。
強い統制型のリーダーシップとは異なり、1人ひとりを尊重する文化づくりが重要です。
成功するチームに共通する文化とそのためのアクションがわかります。
★ 『THE CULTURE CODE(カルチャーコード)最強チームをつくる方法』 の要約ポイント★
・安全な環境をつくる
・弱さを共有する
・共通の目標を持つ
この記事では 『THE CULTURE CODE(カルチャーコード)最強チームをつくる方法』 の要約を紹介します。
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目次
要約①:安全な環境をつくる
安全な環境かどうかはチームの生産性に大きく影響します。
その例として、腐ったリンゴの実験が紹介されていました。
<腐ったリンゴの実験>
オーストラリアの大学で、性格が悪い人/怠け者/場を暗くする人がどのくらいチームに悪影響を与えるかの実験が行われました。
演技力抜群のニックが性格が悪い人/怠け者/場を暗くする人に扮してチームに入ったとき、生産性は30~40%低下しました。
しかし、ニックが入っても生産性が下がらないチームがありました。
それはジョナサンが入っていたチームです。
さて、ジョナサンは何をしていたでしょうか?
・ニックが暴言を言うと身を乗り出して笑顔をふりまく
・場が和んだときにすかさず質問して発言を促し、傾聴する
・間接的にここは安全な場だと伝える
ジョナサンが行っていたのは帰属シグナルを送ることです。
帰属シグナル:集団の中で安全なつながりを構築するような態度
人類は集団を形成することで生き抜いてきたため、本能的に「ここは安全か?」を気にする性質があります。
そのため、チーム内に「ここは安全だよ」という一貫したメッセージが繰り返し必要です。
<帰属シグナルの例>
・物理的距離を近づける
・アイコンタクトを取る
・肉体的接触(握手、ハイタッチなど)
・短い活気のあるやりとり(×1人の長いスピーチ)
・メンバー全員と会話する
・ちょっとした礼儀や親切を忘れない など
マサチューセッツ工科大学教授のトーマス・アレンの研究で、メンバーの机の距離とコミュニケーションの頻度には強い相関関係があるとわかりました(アレン曲線)。
机の距離が近いほどコミュニケーションの頻度は多くなり、帰属シグナルも送りやすくなるのです。
「目で見えるといったごく単純なことがとても大きな意味を持つ」とアレンは言う。「他のメンバーの姿が見える、他のメンバーが働いている様子がわかることが彼らの存在を思い出させてくれる」。
安全な環境をつくるためのヒントは次のとおりです。
・聞き過ぎるほど聞く(口を挟まない)
・「ありがとう」を伝える
・場所のデザインにこだわる(交流が起こりやすいように)
・全員が発言する(耳を傾けるリーダーの存在が必須)
・強者の謙遜(リーダーが特権を持たない、献身の手本を見せる)
・初日を大切にする(仲間に入った日に時間をとって帰属シグナルを送る)
要約②:弱さを共有する
弱さを見せるのは恥ずかしいことと思うかもしれませんが、弱さの共有によって自然と協力体制をつくることができます。
成功しているチームは、意図的に弱さを共有する気まずい瞬間をデザインしています。
・シールズのAAR(after action review)⇒訓練や作戦後の振り返り
・ピクサーのブレイントラスト⇒製作途中の作品に対する率直な意見交換
痛みを感じるから、弱さを見せるから協力できる。「自分には弱点があり、助けが必要だ」と実感できる機会が、協力する姿勢をつくりだします。
弱さが信頼を生むループは次のとおりです。
①Aさんが弱さのシグナルを送る
②Bさんが受け取る
③Bさんが弱さを開示する
④Aさんが受け取る
⇒AさんとBさんの信頼感が上がり、集団にも伝染する
このときに重要なのは、②でBさんが受け取ることです。②でBさんがAさんのシグナルを受け取らなければ、弱さを共有できるチームにはなれないでしょう。
弱さのループは、個人間だけでなく集団間にも伝染します。誰かに弱さを共有して受け取ってもらえた場面に直面すると、直面した人たちの信頼も上がるのです。
そして信頼を生むきっかけは、自分は弱いという感覚だ。自分一人ではできないので他の人の助けが必要だと感じたときに、人は他者を信頼しようとする。(中略)信頼しているから弱くなれるのではなく、信頼より先に弱さが存在する。未知の世界に飛び込むときに、他の人も一緒であれば信頼という安心した足場が生まれることになる。
弱さを共有するためのヒントは次のとおりです。
・リーダーが何度も弱さを見せる
・ネガティブなことは直接伝える(気まずさを共有する)
・率直さを目指し、残酷さを避ける(対象は問題点だけ、人格否定しない)
・AARを取り入れる
目標と結果のgapと原因/次に繰り返すことと変えることを振り返る など
要約③:共通の目標を持つ
共通の目標を持つために、自分たちの物語を何度も語ります。
共通の目標を持ったチームを、ムクドリのマーミュレーション(群れで大きな形をつくる)に例えています。
ムクドリは周りの6~8羽のシグナルを感じ取り、このような群れの形をつくっているそうです。
組織でも、現状と未来をつなぐシグナルがたくさん存在すると、仕事の意義を感じやすくモチベーションが上がります。
事例の1つとして、外科医の手術法学習の実験が紹介されていました。
早く効率的に学習できる=チームの能力が高いと言えます。16チームに同じ研修を行い、どのチームが早く手術法を学習するかという実験を行いました。
結果はうまく学習できたチームと学習が遅かったチームに二分され、本命だった一流の大学病院のチームは16チーム中10位でした。
結果を分けた要因は仲間で送り合うシグナルの違いです。
<うまく学習したチームのシグナルの例>
・学習の機会と捉えている
・学習の意義を確認している(病院にも患者にも意味があること)
・チームワークの重要性を話している
・入念にリハーサルを行う
・全員に発言権がある
・反省会を行う
うまく学習したチームでは、自分たちがしていることの意味を何度も伝えています。一見当たり前に思えることでも、繰り返しシグナルとして送るのが重要です。
シグナルの本当の役割は、文字通りの情報を伝えることではなく、わたしたちはこの仕事を大切にしている、わたしたちはチームのメンバーを大切にしているという言外の意味を伝えることにある。無駄な繰り返しに見えることも、実際はチームの行先を示す地図の役割を果たしている。小さなシグナルが積み重なり、やがて、メンバーの発言すべてにシグナルが読み取れるようになる。
共通の目標を持つためのヒントは次のとおりです。
・価値や目標について繰り返し会話する
わたしたちは何者か、どこに向かっているのかという大きな問いを話せる
・本当に大切なこと(価値観に沿っていること)を計測する
何件電話をかけたか⇒どのくらいお客様と感情的なつながりをつくったか
・指針となる行動にスポットライトを当てる(表彰する、周知するなど)
共通の目標は抽象的になりがちです。
だからその意味や解釈がズレないように、繰り返しいろいろな方向からシグナルを送る必要があります。
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『THE CULTURE CODE(カルチャーコード)最強チームをつくる方法』 の次に読むなら?
『THE CULTURE CODE(カルチャーコード)最強チームをつくる方法』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『恐れのない組織』
”心理的安全性”という言葉を広めた、エドモンドソン教授の著書。
『THE CULTURE CODE(カルチャーコード)最強チームをつくる方法』の中でもエドモンドソン教授の研究が度々紹介されています。
事例が多く、心理的安全性がいかにチームの生産性・創造性を高めるかがわかります。
参考記事:『恐れのない組織』の要約:心理的安全性を高めたいリーダーにおすすめの本
②『リーダーズ・ランゲージ』
敬意と信頼の関係を築くには、リーダーの言動が大きく影響します。
権力者による強要と服従を基礎としたリーダーシップはすでに古く、
多様な価値観の中で学習する組織をつくるための言葉がけがわかります。
参考記事:『リーダーズ・ランゲージ』の要約:信頼されるリーダーの伝え方・言葉遣いがわかる本
③『ウィニングカルチャー』
『ウィニングカルチャー』は勝ちぐせのある組織文化づくりがわかる本。
企業のビジョンは所属するメンバーの組織文化の中心的な価値観になります。
組織文化は人がつくるものであり、対話によるビジョンの共有が欠かせません。
参考記事:『ウィニングカルチャー』の要約:組織文化を変革するためには?
まとめ:成功するチームに共通する3つのスキル
・成功するチームには共通する3つのスキルがある
安全な環境をつくる/弱さを共有する/共通の目標を持つ
・「ここは安全だ」という帰属シグナルを送る
・物理的な距離が近いとコミュニケーションの頻度が増える
・「自分には弱点があり、助けが必要だ」と実感できる機会が人を協力させる
・気まずさを積極的に共有する
・自分たちがしていることの意味を何度も語る
・当たり前のことを言葉にして伝えることを怠らない
協力し合う、信頼し合うチームを作りたいなら、ぜひおすすめの1冊です。
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