河合隼雄『こころの処方箋』の名言まとめ:人の心などわかるはずがない

河合隼雄『こころの処方箋』の名言まとめ:人の心などわかるはずがない

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『こころの処方箋』は、ユング派の心理学者として有名な河合隼雄さんのエッセイ。

55のコラムから構成されており、そのなかから河合隼雄さんの名言と思える言葉を8つピックアップして紹介します。


名言①:人の心などわかるはずがない

 

河合隼雄さんと言えば、日本の心理学者のなかで最も有名な方の一人です。そんな心の専門家でも、人の心はわからないと言います。

むしろ、人の心がいかにわからないかを知っているのが専門家の特徴だそうです。

速断せずに期待しながら見ていることによって、今までわからなかった可能性が明らかになり、人間が変化してゆくことは素晴らしいことである。しかし、これは随分と心のエネルギーのいることで、簡単にできることではない。むしろ、「わかった」と思って決めつけてしまうほうが、よほど楽なのである。

非行少年が連れてこられたとき、周りの人が非行少年というレッテルを貼っているなかで、「果たしてそうだろうか」と少年に対することが大切。そして、「小さいころからお母さんに叱られて怖い」と話してくれたとしても、今度はお母さんに「非行の原因だ」というレッテルを貼ってはいけない。

それは少年にとっての真実として尊重しつつも、母親に対しても少年と同じように、決めつけずに接することが大切です。

名言②:100%正しい忠告はまず役に立たない

人の心や存在が関わる問題はケースバイケースで、どんなときにも当てはまる100%正しい忠告は存在しないか、忠告したところで役に立たないもの。

忠告する側も己を賭けて、忠告の責任を取る覚悟で忠告するから、忠告の意味があります。

ひょっとすると失敗するかも知れぬ。しかし、この際はこれだという決意をもってするから、忠告も生きてくる。己を賭けることもなく、責任を取る気もなく、100%正しいことを言うだけで、人の役に立とうとするのは虫がよすぎる。そんな忠告によって人間が良くなるのだったら、その100%正しい忠告を、まず自分自身に適用してみるとよい。

野球のコーチが選手に「ヒットを打て」というのは100%正しいけど役には立たない忠告です。「勝負球のカーブを狙え」というのは、100%正しいかはわかりません。しかし、失敗したときの責任をコーチが取る覚悟で、その時その場の真実に賭けてアドバイスをしているから、選手に役に立つアドバイスになります。

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名言③:マジメも休み休み言え

日本人の美徳としてマジメさが挙げられることがありますが、著者は日本的マジメの欠点を指摘しています。

マジメな人は自分の限定した世界のなかでは、絶対にマジメなので、確かにそれ以上のことを考える必要もないし、反省する必要もない。マジメな人の無反省さは、鈍感や傲慢にさえ通じるところがある。自分の限定している世界を開いて他と通じること、自分の思いがけない世界が存在するのを認めること、これが怖くて仕方がないので、笑いのない世界に閉じこもる。笑いというものは、常に「開く」ことに通じるものである。

日本的マジメだと悪い方はただ謝るのみ、相手の言い分を十分に聞こうという態度がないために、むしろ鈍感や傲慢につながると言います。

対話が開かれていること、相手の意見にも心を開く余裕が、ユーモアにもつながるのではないか。日本人にユーモアのセンスがないといわれるのは、マジメさが世界を狭くしているからかもしれません。

名言④:一番生じやすいのは180度の変化である

 

少しずつ改善するよりも、ガラッと180度変わるほうが人間は変わりやすい。しかし、その変化はまた180度変わって逆戻りする可能性もあり、手放しで喜んではいけません。

アルコール依存の人がピタッとお酒をやめたかと思うと、しばらくしてまた以前のように飲み始めてしまう。非行少年がある日急に優等生になったかと思うと、また非行に走る等の例が挙げられます。

このような現象をイメージで表現するなら、風見鶏でときどき何かの加減でクルッと回転して反対向きになるのと似ているのではなかろうか。風が吹いているとき、それに抗して20度、30度の方向に向くよりも、180度変わってしまうと楽なのである。つまり、何かの方向付けの力がはたらいているとき、逆転してしまう方が、少し変えるよりはまだやりやすいのであろう。

じゃあ180度の変化は意味がないのかというと、そうではありません。その変化の経験もまた重要で、180度変わってみたからこそわかることもあります。

実はこのときに生じた変化によって経験したことは、その人が次に自分の在り方と照合しつつ、あらたな方向性を見いだしてゆくための参考になることが多いので、それはそれとして大切にすべきことなのである。ただ、その時の喜び方が手放しになってしまわないところが一味違うのである。

人が変わるのは一進一退、じっくりと変化の意味を見つめていくことが大切なんですね。

名言⑤:人間理解は命がけの仕事である

他人を真に理解するとは、自分の人生観に疑問を投げかけることにもなります。自分と異なる価値観を真に理解しようとすると、それは今までの生き方が間違っていたかも?という自分の根底を覆されるようなリスクをはらむのです。

うっかり他人のことを真に理解しようとし出すと、自分の人生観が根っこのあたりからぐらついてくる。これはやはり「命がけ」と表現していいことではなかろうか。実際に、自分の根っこをぐらつかせずに、他人を理解しようとするのなど、甘すぎるのである。

暴力行為を示唆する相談者に、暴力行為を止めたら「理解してくれていない」と思われるし、容認しても「理解してくれていない」と思われる。言葉でどう反応するかという表層的な問題ではなく、真に理解しようと命がけで向き合うことが求められます。

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名言⑥:自立は依存によって裏付けられている

 

自立と依存は反対語のように考えられがちですが、依存があってこそ自立は生まれるものです。親に甘えられた子どもは十分に依存を味わったあとに自立していきます。

自立と言っても、それは依存のないことを意味しない。そもそも人間は誰かに依存せずに生きてゆくことなどできないのだ。自立ということは、依存を排除することではなく、必要な依存を受け入れ、自分がどれほど依存しているかを自覚し、感謝していることではなかろうか。

依存を自覚しておらず、「自分は自立している」と思いこんでいる人は傲慢かもしれません。依存しないようにと排除するより、感謝して受け取るという選択肢も持っておくと人生が豊かになりそうです。

名言⑦:強い者だけが感謝することができる

他人に心から感謝するためには、自分が受け取ったものを認めることが必要です。

弱い人は冷静に現状を把握することができず、自分は不幸だからこのくらい受け取っても当然と思ったり、感謝することは自分を下に置くことだと受け取ったりしてしまいます。

自分の受けた恩義を適切に評価し、これに相応した感謝の心を持ち続けて、しかも、自分の存在は何らおびやかされることがない、となると、よほどの強い人でないと難しいことがわかるであろう。

ある人がどの程度の強さをもっているかを前もって知っておくことが必要なときがある。そんなときに、その人が適切な感謝をする力があるかどうかは、相当に信頼できる尺度のように筆者は思っている。

なんでも感謝すればよい、ということではなく、適切な感謝であることもまた重要です。過度な感謝(受け取った以上に贈り物をしたり、過度にありがたがるなど)は、感謝を受け取りたくない心情の表れかもしれません。

援助したりされたりして生きていることを認め、対等の立場で感謝しあえるのは強い人だからできることです。

名言⑧:すべての人間が創造性を持っている

すべての人がそれぞれの創造の種子を持っている、と著者は言います。試行錯誤しながらその種子を育て、自分の人生という創造の作品を生み出すことが大切です。

しかし、私が大切にしているのは、そのようなことも含めて、その人の生き方全体の創造であり、「私が生きた」と言えるような人生をつくり出すことなのである。創造には犠牲がつきもので、そこには何らかの犠牲が生じるだろう。そのことも明確に意識し、そのような犠牲の責任者としての自覚をもって、「私が生きた」と言えることが必要である。

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『こころの処方箋』 の次に読むなら?おすすめの本3選

 

『こころの処方箋』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『コーチングよりも大切なカウンセリングの技術』

 

ビジネスの場面で使えるカウンセリング技術がわかる本。

コーチング的なコミュニケーションがダメなわけではなく、コーチングが機能するためにはカウンセリング的な関わりでまずエネルギーを充電しよう!という内容です。

カール・ロジャーズのカウンセラーの3条件も紹介されています。

参考記事:『コーチングよりも大切なカウンセリングの技術』の要約まとめ【徹底的に受容・共感】

②『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか』

 

信頼関係をつくる聞き方/本音を話してもらう聞き方/聞き疲れしない技術を学べます。

イラスト多めで読みやすく、傾聴で大切な要素をまずは知りたい!という人におすすめ。

カール・ロジャーズのカウンセラーの3条件をベースに、カウンセラーでない人にも理解しやすい本です。

参考記事:『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか』の要約まとめ:フラットに、素直に聞く

③『聞く技術聞いてもらう技術』

聞いたり聞かれたりが循環してつながることで、安心した心でいられる社会が保てます。

不全感を満たすために人を振り回すのは良くないですが、不全感が満たされない人にとって話を聞くことは救いになります。

参考記事:『聞く技術聞いてもらう技術』の要約まとめ:聞いてもらうから聞くことができる

 

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