『EQ こころの知能指数』は感情のコントロール能力の重要性がわかる本。
EQとは、自分の感情をコントロールできる能力や他人に共感して良い人間関係をつくれる能力を指します。
いくらIQが高くても、能力を発揮する土台が整っていなければ力を発揮できません。
感情コントロールの大切さとEQの要素がわかります。
★『EQ こころの知能指数』の要約ポイント★
・EQが高い人は感情がコントロールできる
・EQの5つの領域
①自分自身の情動を知る
②感情を制御する
③自分を動機づける
④他人の感情を認識する
⑤人間関係をうまく処理する
この記事では『EQ こころの知能指数』の要約を紹介します。
目次
要約①:EQが高い人は感情がコントロールできる
EQ(emotional intelligence quotient:こころの知能指数)とは、自分の心をうまく扱える能力のことです。
それは、知能テストで測定されるIQとは質の異なる頭の良さだ。自分の本当の気持ちを自覚し尊重して、心から納得できる決断を下す能力。衝動を自制し、不安や怒りのようなストレスのもとになる感情を制御する能力。目標の追求に挫折したときでも楽観を捨てず、自分自身を励ます能力。他人の気持ちを感じ取る共感能力。集団の中で調和を保ち、協力しあう社会的能力。
人間の脳は強い情動を感じると理性が機能しなくなるため、EQが低ければIQがいくら高くても発揮できなくなります。
不安や怒りなどネガティブ感情が強くなると、闘争か逃走かという原始時代の本能が作動し、扁桃体ハイジャックが起こるのです。
扁桃体は怒りや不安などマイナスな感情に反応しやすい脳の部位です。
扁桃体が活性化して脳全体がハイジャックされた状態になると、
感情のコントロールが効かなくなり、理性的・合理的な判断ができなくなります。
原始時代には不安や恐怖を感じたら思考停止で闘争か逃走かを選ぶのが合理的でした。
しかし現代では、扁桃体ハイジャックが不合理な選択をし、望まない結果を導く可能性が高くなります。
人間の知性には感じる知性と考える知性があり、感じる知性をうまくコントロールしなければ考える知性がいかに高くても機能しません。
感じる知性:心、情動、EQー偏桃体、大脳辺縁系
考える知性:頭、理性、IQー大脳新皮質
ただし、感じる知性は邪魔ものではなく、体験に意味づけするために重要です。
情動があるからこそ、自分にとって意味がある・重要なことだと認識されて深く記憶されます。
IQは生まれつき変えられない部分がありますが、EQは後天的に高めることが可能です。
感じる知性と考える知性のバランスを保つことで持ち前の能力を十分発揮することができます。
こころの知能指数が高い人は、自分の能力をうまく発揮できる心の使い方を自覚している分だけ、人生における満足度や効率が高い。自分の感情をコントロールできない人は内面が混乱していて、仕事や思考に能力を集中することができない。
要約②:EQの5つの領域
イエール大学の心理学教授ピーター・サロヴェイは、EQを5つの領域に分類して定義しました。
<EQの5つの領域>
①自分自身の情動を知る
②感情を制御する
③自分を動機づける
④他人の感情を認識する
⑤人間関係をうまく処理する
1つずつ紹介します。
①自分自身の情動を知る
自分自身の現在進行中の心的状態を認識することは、感情をコントロールするために必要不可欠です。
どういう感情を抱いているか認識せずにその感情が引き起こす行動をやめたり、感情を手放すことはできません。
怒りを感じているとき、「私は今怒りを感じている」と自覚できて初めて怒りから起こす行動(怒鳴る、モノに当たる等)をやめるという選択ができます。
②感情を制御する
感情を制御するとは、無理やり抑え込んだり無視したりすることではありません。
ネガティブ感情は見ないフリをすると増幅して事あるごとに思い出すことになります。
感情のバランスを取り、早い段階で対処することが重要です。
たとえば怒りが発生したらすぐに怒りの理由を自分に問い直し、状況に対する理解を深めます。
なぜ怒りを感じているのか?を考えることで考える知性のほうが動き出します。そうすると状況からいろいろな可能性に思い当たり、怒りを感じた事象を再定義できるかもしれません。
③自分を動機づける
自分を動機づけることで、目標に対して希望を捨てず、粘り強く取り組めます。
困難からの回復力であるレジリエンスやGRIT(やり抜く力)に近い能力と言えます。
「きっとうまくいく」と楽観して自分の能力を信じられる人は、自分の能力を存分に発揮できるでしょう。
反対に、素晴らしい能力を持っているのに自信がない・不安に打ち勝てない人は、本来の力を発揮できない恐れがあります。
スナイダーはもう少し厳密に、希望とは「目標が何であろうと、目標達成に必要な意志と手段が自分に備わっていると信じること」であると定義している。
④他人の感情を認識する
他人の感情を認識できるようになるには、まず自分の感情を認識できる必要があります。
共感は情動の自己認識の上に成り立つものだ。自分の感情に心を開けるほど、他人の気持ちも理解できる。
共感は生物学的にあらかじめ備わっている機能であり、倫理観のベースにもなります。
犯罪者が危害を加えるときは共感の欠如・抹殺が起こっており、「本当は被害者も望んでいる」等と自分の都合のよいように他者の感情を歪めて解釈しているそうです。
被害者の恐怖や怒りなどの感情を理解できるような更生プログラムを受けると、再犯率が半分になったという研究結果もあります。
⑤人間関係をうまく処理する
人間関係がうまくいくかどうかは、自分の気持ちをうまく表現できるかが重要です。
相手のことを考えずに気持ちを表現すると、自己中心的で空気が読めない等という評価が下されるかもしれません。かといって、自分の気持ちを一切出さなければ打ち解けることもできないでしょう。
人は人間関係の中で表出ルールを学んでいきます。
表出ルール:どんな気持ちをどんな場面でどのように出すのが適切か
適切な表出ルールを身につけることで、集団を率いたり組織の中で力を発揮することにつながります。
しかし、他者とうまくいくことを重視しすぎて自分の感情をないがしろにすると、自分を見失うかもしれません。
自分の本心を厳しく監視できるかどうかによって、皆に好かれようとして一生浮き草のようなカメレオンで終わるか、自分の本当の気持ちに従って社会的知性を使える人間になれるかがわかれる。後者は自分自身に対して正直である能力、社会的にどのような結果になろうとも自分の中の最も深いところにある感情や価値観に従って行動する能力を持っている人だ。
EQが高いとは自分より他人を優先することではなく、自分の気持ちと他人の気持ちを感じ取った上で自分の価値観に従って行動できることです。
『EQ こころの知能指数』の次に読むなら?おすすめ本3選
『EQ こころの知能指数』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『GRIT』
『GRIT』はやり抜く力がいかに成功にかかわるかを紹介した本。
熱意を持ってやり抜くこと、やればできると信じることが成功につながります。
参考記事:【要約で解説】成功する人に共通する特徴とは?GRITやり抜く力の重要性
②『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』
心の悩みに向き合う方法がわかる本です。
自分でも認識できていない感情と向き合い、悩みから脱する方法が学べます。
参考記事:『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』の要約まとめ:理想像の執着から自由になる
③『しあわせ育児の脳科学』
全脳育児では脳のさまざまな部分を統合することで協調して機能できるようにします。
子どものころから感情コントロール能力を身につけられるような働きかけが重要です。
参考記事:『しあわせ育児の脳科学』の要約まとめ:全脳育児で子どもがしあわせに生きる力を伸ばす
まとめ:心の使い方が大切
・EQとは自分の心をうまく扱える能力
・不安や怒りなどネガティブ感情が強くなると理性が機能しなくなる
・自分の心情を認識することでネガティブ感情を手放す選択ができる
・状況を理解することで負の感情に対して理性が働く
・自分の能力を信じられる人は自分の能力を発揮できる
・他人への共感能力は倫理観の土台
・自分と他人の感情を理解した上で自分の価値観に沿って行動する
学力テストで測定できるIQに目が行きますが、幸福な人生を送ったりIQを発揮したりするためにEQは欠かせません。
EQを重視した教育を行う学校が増えるといいですね。
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