『LISTEN-知性豊かで創造力がある人になれる』はタイトルのとおり、
聴くことに着目した本。
なぜ聴くことが大切なのか、聞き上手な人の性格や特徴がわかります。
聴くための心構えやスタンスがわかり、人間理解が深まる本です。
聴くことにより、自分の成長や相手との人間関係を深めることができます。
良い聞き手に必要な資質を3つにまとめました。
<良い聞き手に必要な資質>
・好奇心があって思い込みがない
・「自分は次に何を話そう?」にエネルギーを割かない
・自分の弱さを知る
教師や管理職など人の話を聞く仕事についている人や、
会話を通して人間関係を改善したい人の役に立つ本です。
と思っている人にはぜひ読んでほしい!
この記事では、『LISTEN-知性豊かで創造力がある人になれる』の要約を紹介します。
目次
『LISTEN』の要約1:なぜ人の話を聴く必要があるのか?
人の話を聴く理由は主に3つあります。
・自分の成長につながるから
・話を聴いてもらえない人は孤独だから
・聴くことで相手と共鳴し、深い愛情や信頼を結べるから
まず、話を聴くことは自分の成長、
新しいことを知ったり視野を広げたりするメリットがあります。
自分の話は自分がよく知っています。
相手の話を聴く=自分の知らない体験や気づきを得られる機会です。
また、話を聴くことは大切な人を癒すことでもあります。
人は話を聴いてもらえないと孤独を感じやすいです。
「わたしの話、聞いて!」と言っている人ばかり。
聞き手に回ることは損をする、
自分をアピールするチャンスを逃している気さえしてきます。
真剣に話を聴いてくれる人は貴重な存在。
大切な家族や友人の話に耳を傾けることで、
人間関係はより深まっていきます。
人の声は、私たちの身体にも感情にも入り込み、私たちをつかみます。誰かに共鳴することなしに、その人を理解し、愛することはできません。 p.90
人間関係の深さと広さは幸福にも大きく影響します。
そしてお互いのためでもあるんですね。
『LISTEN』の要約2:聞き上手な人の資質とは?
聞き上手な人はどのような資質を持っているでしょうか?
『LISTEN』の中から特に重要な3つを紹介します。
良い聞き手に必要な資質
・好奇心があって思い込みがない
・「自分は次に何を話そう?」にエネルギーを割かない
・自分の弱さを知る
ちなみに、聞き上手は生まれつきの才能ではなく、訓練で上達できる能力です。
本の中ではスポーツや楽器の演奏と同じようなものとされています。
聴くことは、粘り強く練習するほど、どんどん上達する一方で、すべて学びとって完ぺきな領域に到達することは決してありません。
その意味では、スポーツや楽器の演奏に似ています。もともと才能に恵まれた人もいるでしょうし、努力が必要な人もいるでしょう。
しかし努力すれば誰もが恩恵を得られます。 p.469
良い聞き手の資質を1つずつ詳しく紹介します。
好奇心があって思い込みがない
人の話は好奇心を持って聴くのが良い聞き手です。
好奇心を持つ=思い込みがないということ。
難しいですよね。
つまり、”もう知っている”という思い込みがあると、人は好奇心を持てないのです。
相手の話に自分の知らない学びや体験があると期待できると、
好奇心を持って話を聴くことができます。
好奇心がある人は反対意見に出会ったときでさえ、
なんで相手はその考えを持つようになったのかな?と理解を深めることができます。
相手が自分の意見を聴いてくれる可能性も高くなります。
聴く=反対意見に同意するということではありません。
意見を正しく理解するのと同意するのは違います。
反対意見を理解することで自分に新しい発見があるかもしれませんし、
もしかして自分が間違っている可能性があるかもしれません。
”自分はまだ知らないことがある”という謙虚さが”もっと知りたい”という好奇心になり、
良い聞き手になるのでしょう。
「自分は次に何を話そう?」にエネルギーを割かない
良い聞き手になるには我慢が必要です。
「自分は次に何を話そう?」という頭の寄り道を我慢しましょう。
うまいことを言う、知識を披露することは信頼関係を築くのに必要ありません。
自分の発言に意識が向いてしまうのは、
「自分が賢く見られたい」や「変なことを言って恥をかきたくない」というエゴです。
親密な関係、既成概念を乗り越える思考、チームワーク、ユーモアはすべて、自分が話をコントロールしたいという思いから解放され、その話がどこに向かうとしても共に歩む忍耐と自信のある人のところにやってきます。 p.251
結論がわかっている会話は面白くないですよね。
人間は不確実性を嫌いますが、不確実性だから新しい発見や驚きがあります。
自分の弱さを知る
良い聞き手は、自分の弱さや思考のクセを把握しています。
聴く力はこれで完ぺきという到達点がありません。
だから、自分を自分で観察して、
・どういうときに間違った判断をしてしまうか
・どういう言葉や状況で感情的になってしまうか
・どういうときに偏った見方になってしまうか
などを把握しておきます。
これは自己監視能力やメタ認知といわれるスキルです。
自己監視能力:自分の感情や行動を第三者のように俯瞰して捉えること
自己監視能力やメタ認知によって自分を客観視することで、
無意識のバイアス(偏見)に気づいたり自分の行動を改善したりできます。
『LISTEN』の感想:心に残ったポイント
『LISTEN』を読んで個人的に心に残ったポイントを紹介します。
聞き上手は、「消極的能力」を備えています。相容れない考えや白黒ハッキリしないグレーゾーンに耐えられるのです。
優れた聞き手は、人の話にはたいてい、一見しただけではわからない何かがあると理解しており、理路整然とした根拠や即座の答えにそこまでこだわりません。 P.196
消極的能力(ネガティブ・ケイパビリティ)とは、
不確かな状態・モヤモヤした状態のまま受け入れられる能力です。
消極的能力が足りていないと、
結論を急いだり、短絡的な答えを出したりしてしまいます。
最後の選択肢が”この中に答えはない”だと動揺した記憶があります。
”決まった答えがある”、”正解は1つ”という思考は、
現代にはそぐわないのかもしれません。
私たちは人とのやりとりを通じて、質問し、答え、意見を述べる方法を学びます。
そして、自分で問題を解決したり、人としてのあり方に対峙したり、創造的に考える必要があるとき、これまで学んだことを自分の内なる対話でも活用するのです。 p.283
たくさん人の話を聴くことで、自分の内なる声の質も上がります。
内なる声の質が上がれば、創造性や問題解決能力も上がるのです。
ネグレクトを受けた子どもは内なる声が少ないという研究もあります。
実際の人とのやり取りが自分の内なる声に影響を与えるように、
自分への語りかけを変えることで自分の精神状態やものの見方を改善できます。
自分の言葉にも真摯に耳を傾けるのは大切ですね。
ダーバーによると、ずらす対応は「会話におけるナルシシズム」の表れであり、人とつながるチャンスをことごとく潰しています。
ずらす対応は基本的に、自分について話すものです。一方で、受けとめる対応は、多くの場合他者に向けた質問です。 p.301~302
話の聞き方には、ずらす対応と受けとめる対応があります。
<ずらす対応>
自分の話に持ち込んだり、アドバイスしたり、話を自分中心にしてしまうナルシストな対応
<受けとめる対応>
主役は相手のまま相手を理解するために話を促す対応
相手のことを思ってアドバイスする場合でも、
それは自分が相手の立場だったらどうするかという自分の話。
今までアドバイスした相手はアドバイスどおりに行動してくれたでしょうか?
ぐっと我慢することを覚えようと反省しました…
『LISTEN』の次に読むなら?おすすめ本3選
『LISTEN』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『コーチング・バイブル』
コーチングにとって傾聴は基本スキルですよね。
コーアクティブコーチング(コーチとクライアントの協働関係)について、
前提となる信念や必要なスキルが学べます。
コーチングを人材育成に取り入れたいリーダーにおすすめです!
参考記事:『コーチング・バイブル(第4版)』の要約:コーアクティブコーチングとは?
②『神トーク』
信頼される伝え方・人間関係の築き方がわかりやすく紹介されています。
『神トーク』というタイトルですが、聞き方のほうが重要。
相手の安心と自己重要感を満たすことで、はじめて自分の言葉が届きます。
参考記事:『神トーク』の要約まとめ:安心と自己重要感で相手を満たそう【リーダー必読】
③『リフレクション 内省の技術』
自己理解を深めるために、自分の心の中を振り返る(リフレクション)を習慣にしましょう。
自分自身が自己受容できていて初めて、
相手のことも無条件に受容して良い聴き手になることができます。
参考記事:『リフレクション 内省の技術』の要約:経験から学びを得るために自己理解を深めよう
まとめ:『LISTEN』で良い聞き手の秘訣を学ぶ
・なぜ話を聴く必要があるのか
-自分の成長のため/相手を孤独にさせないため/親密な人間関係を築くため
・良い聞き手は好奇心を持ち、思い込みがない
・話の結論を先読みするより、目の前の相手に100%集中する
・良い聞き手は自己監視能力が高く、自分の弱点を認識している
・消極的能力があれば答えを急がずじっくり待てる
・ずらす対応より受けとめる対応。会話のナルシシズムから脱却しよう。
会話が平行線のまま、言いたいことを言っているだけの状態では、
一見にぎやかでも人間は孤独になります。
ためしに、相手の話を全力で聴いてみてください。
途中でスマホは見ないし、自分の話にすり替えない。
自分の意見に誘導したり、知識をひけらかしたい気持ちも抑える。
でもその訓練の繰り返しが双方向のコミュニケーションを生み、
信頼がより深まるはずです。
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