”ビジネス視点でナラティブを解説する初の「教科書」”という帯につられて、
『ナラティブカンパニー』を読みました。
教科書から連想されるような堅い本ではなく、
ナラティブの意味が多くのビジネス事例を通して説明されていました。
この本では、ナラティブは下記のように定義されています。
ナラティブとは、「物語的な共創構造」である。
p.17
多くの人を魅了できる物語であり、共創できる余白があり、あらゆる企業活動の中で構造として機能しているか?
この質問にすべてYESなら、その企業はナラティブカンパニーということです。
この記事では、ナラティブカンパニーの要約と感想を紹介します。
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目次
ビジネスにおけるナラティブの特徴:ストーリーの違いは?
まず、ナラティブとストーリーを比較しながらナラティブの特徴を説明しています。
ナラティブは日本語で『物語』と訳されるので、
ブランドストーリーとの違いがわかりにくいですよね。
【ナラティブの特徴】
・主人公は”あなた” (×ブランドや企業が主人公)
・現在進行形、未来を含む(×ストーリーの結末)
・社会で共有される (×特定の業界)
ブランドストーリーは、ブランドや企業の創業から始まり、
ピンチを乗り越えながらも今に至るサクセスストーリーであることが多いです。
(だいたい創業者の想いから始まりますよね)
ストーリーの読み手は傍観者です。
それに対してナラティブは、主人公は”あなた”(生活者)である点が違います。
価値を共創するのですから、一緒に舞台に上がっていないといけません。
だから特定の企業ではなく、あなたがいる社会全体が舞台です。
また、ストーリーは終わりがありますが、ナラティブは現在進行形です。
共創する余白があるとも言えます。
いま、企業にナラティブが必要な理由
PART1では、企業にナラティブが必要な理由が3つ挙げられています。
【ナラティブが必要な理由】
1:共体験価値の高まり
2:社会的距離の見極め
3:自分らしさが問われる
SNSなどの発達により、興味関心で細分化された人たちがつながりやすくなりました。
同じ関心を持つ人たちがつながると、同じ体験価値を共有しやすいです。
また、リアルなイベントが開催できなくなった中、
どうやって顧客と関係を深めるかという課題も持ち上がりました。
ナラティブを共有することで、
リアルな接点なしでの新しいエンゲージメントの取り方を考えるチャンスとも言えます。
自分らしさ=オーセンティシティとは?
わたしが『ナラティブカンパニー』を読んで1番勉強になったのは、
オーセンティシティという概念でした。
オーセンティシティ(authenticity):真正性
オーセンティシティは、通信先などが本物であることを示すIT用語と認識していました。
この本では企業や人に使われており、
裏表がないこと、メッセージと行動が一致していることを指しています。
SNSが広がる中で、嘘や偽りがバレやすい時代です。
いくら素晴らしいメッセージを出している企業でも、
普段の活動と一致していなければ薄っぺらく感じたり、
内部でブラック労働やハラスメントがあったらすぐに拡散されてしまいます。
企業やブランドの観点からいうと、オーセンティシティがあること、自分らしくあることそのものが、企業やブランドの重要な見えない資産になる。p.76
上っ面のメッセージは通用しない、
ナラティブを実践するなら企業のあらゆる活動に浸透させないといけないということですね。
ナラティブを実践する5つのステップ
ナラティブを実践するステップは5つに分けて紹介されています。
1:パーパスの設定
2:パーセプションの形成
3:ナラティブスクリプトの作成
4:マルチエンゲージの展開
5:効果の測定
もう少し横文字少なめで解説してくれるとうれしかったです。
具体的な事例を交えながら各ステップが解説されています。
メルカリやパンテーンなど身近なサービスや商品が多く、実践的に学べます。
この中でも重要なステップが3:ナラティブスクリプトの作成です。
ナラティブスクリプトの作成に大切なもの:範囲と余白
ナラティブスクリプトとは、1000~1500字程度のナラティブの設計図。
重要な要素は範囲と余白の2つです。
ナラティブスクリプトの範囲は、
企業やブランドのパーパス(存在意義)から離れないようにします。
バズりそうだから、売れそうだからといって、
やる理由を明確にできない範囲まで手を伸ばすとオーセンティシティに欠けます。
“Do your part”とは、”自分のできることを自分のできる範囲でしっかりやろう”という意味。
コロナウイルスが流行したときは、
”何もできないけどせめて家の中でじっとしている”、”手洗い・うがいをしっかりする”
など”Do your part”がスローガンとして広まりました。
なぜそれをやるのか?に答えられないなら、持ち場を離れている可能性があります。
もう1つの重要な要素は余白を残すこと。
ナラティブは現在進行形の共創構造なので、参加できる余白が必要です。
完成品のストーリーを提示するのではなく、
最後の仕上げを読み手に委ねる余白・異なる解釈の余地が人を惹きつけます。
同じ作品に触れた人との話も盛り上がります。
心に残ったポイント:企業のあらゆる活動に一貫性が必要
商品PRやプレスリリースの書き方の参考になれば、と思って読みましたが、
ナラティブは単にPRの場面だけに適用すればよい概念ではないとわかりました。
1つの商品に関するナラティブを描いても、
それが他の商品や企業ブランドと一貫性がなければ心に響きません。
どんな売り方をすれば売れるのか?何が流行っているのか?
で単に売れそうなものを作る時代は終わったのだと感じました。
この本を読んで、モノ消費からコト消費と言われ始めたのも納得しました。
一度ナラティブを共有して価値を感じてもらえば、
企業やブランドのファンになってもらえそうです。
というか取り組まないといずれ生活必需品以外は売れなくなりそうですね…
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『ナラティブカンパニー』の次に読むなら?おすすめ本3選
『ナラティブカンパニー』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『プロセスエコノミー』
製作過程を見せる・参加できることに魅力を感じるのも共体験価値です。
レストランで完成した料理を食べるより、バーベキューで一緒につくりたい!
そんな時代の変化が感じられる1冊です。
参考記事:『プロセスエコノミー』の要約まとめ:自分のこだわりを持って共感する理由をつくる
②『whyから始めよ』
ナラティブであるには核になるパーパス(存在意義)が最重要。
パーパスの重要性がよくわかるのが『whyから始めよ』です。
アップル社やライト兄弟、キング牧師など、whyで人を惹きつけた例がたくさん載っています。
1度は読んでおきたい本です。
参考記事:『whyから始めよ』の要約と感想:インスパイア型リーダーは内から外へ一貫性がある
③『革命のファンファーレ』
日本最大級のオンラインサロンを運営できるのは、ナラティブがあるからですよね。
”お金は信用を数値化したもの”というのは、
真正性(オーセンティシティ)の重要性につながります。
参考記事:『革命のファンファーレ』の要約まとめ:お金は信用を数値化したもの
まとめ:ナラティブを生み出すことが企業価値を上げる
・ナラティブとは「物語的な共創構造」である
・ナラティブの特徴(ストーリーとの違い)
‐主人公は”あなた”/現在進行形/社会全体で共有
・SNSの発達、コロナウイルスの流行でナラティブの重要性が増した
・オーセンティシティ=メッセージと行動が一致している
・ナラティブスクリプトに重要な要素は範囲と余白
・ナラティブで商品やサービスが選ばれる時代に
多くの人にサービスや商品を届けたい人、SNSマーケティングをする人は
読んでおくべき本だと思いました。
意識しているかにかかわらず、
”ナラティブだから買う”のがこれからの購買活動になるんでしょうね。
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