『シン・二ホン』は日本の現状とこれから再生するために必要なことが書かれた本。
著者は『イシューからはじめよ』でも有名な、ヤフー株式会社のCSO安宅和人さんです。
日本がいかに遅れているか、に直面して少し暗い気持ちにもなりますが、
これからどうすれば再生できるのかという道すじも示してくれています。
★『シン・二ホン』の要約ポイント★
・データ×AIの時代に日本は乗り遅れている
・日本はデータ×AIを活用するフェーズで巻き返せる
・これから求められるのは”異人”
・若い世代に投資せよ
この記事では『シン・二ホン』の要約と感想を紹介します。
目次
『シン・二ホン』の要約
『シン・二ホン』の要約ポイントは次のとおりです。
★『シン・二ホン』の要約ポイント★
・データ×AIの時代に日本は乗り遅れている
・日本はデータ×AIを活用するフェーズで巻き返せる
・これから求められるのは”異人”
・若い世代に投資せよ
1つずつ詳しく紹介します。
要約①:データ×AIの時代に日本は乗り遅れている
現代がデータ×AIの時代であることは、きっとみなさん薄々感じていますよね。
企業価値のランキングではビッグデータを活用するようなGAFAMがランクインし、
製造業など実体のあるものを作る産業の企業は上位に入りません。
実体のあるものを作る産業にはリソースの制限がありましたが、
データを活用する産業は物理的制約がない分、指数関数的に成長します。
利用者が利用するほどデータが集まって精度が上がるので、サービス品質が良くなりさらに利用者が増えるという好循環が起こります。
つまり、先行者優位が大きい・先に1位になることに大きな意味があります。
また、データはつながると価値が増し、APIでかんたんにつながることでどんどん価値が増すのです。
API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース):
アプリケーションの一部を公開して、別のプログラムと連携できるようにしたもの
あとからビッグデータを集める大きなプラットフォームを作るのは難しく、
今から日本が追い付くのは難しいでしょう。
要約②:日本はデータ×AIを活用するフェーズで巻き返せる
今から日本がGAFAMを目指すのは難しいですが、日本にも得意な分野があります。
それが、データ×AIを応用する段階で追いつくことです。
新しい技術が広がる過程には3段階(フェーズ)があり、
日本はフェーズ1は苦手ですが、フェーズ2・3は得意な傾向があります。
フェーズ1:新しい技術が生まれる
フェーズ2:新しい技術が実用化される
フェーズ3:新しいエコシステム(生態系)が生まれる
産業革命が例として挙げられています。
フェーズ1で電気や蒸気機関が生まれますが、日本は鎖国状態。フェーズ2で自動車や家電などで圧倒的な地位を築き、フェーズ3ではゲームや新幹線など新しい価値とエコシステムを生み出しました。
日本人の国民性のイメージと合っていますね。
技術をいろいろな産業に適用することは、
出口産業をたくさん持っている点でも日本に有利に働きます。
出口産業とは、より実生活の実用に近い産業です。(健康、住宅、製造、物流など)
データをAIに入力してアルゴリズムで解釈するところまでは遅れていますが、
そこから得られた知見をどうそれぞれの産業に応用していくかについては、
まだ日本が追い付ける余地がある、と著者は主張しています。
ただ、日本が追い付くためにはデータ×AIを活用できる人材が必要です。
要約③:これから求められるのは”異人”
『シン・ニホン』的これから求められる人材像は”異人”です。
”異人”の特徴は次のとおりです。
・ニッチないくつかの分野でヤバイ
・夢を描いて複数の領域を繋ぐデザイン力がある
・頼れるすごい人を知っている
好きな分野で圧倒的な専門性を持ち、専門性だけでなくこうしたい!という壮大な夢を描いて、人を巻き込んで実現できる人、ということでしょうか。
人物像は、落合陽一さんが『働き方5.0』で述べていたクリエイティブクラスと通じるものがありました。
参考記事:『働き方5.0』の要約:人間がやるべきことの本質とは?【教育本としてもおすすめ】
ただ好きなことをすれば良いのではなく、価値を生むかを判断基準に選びましょう。
熱狂的にやるものは、あくまで自分らしくではあるが、他人と自分を異質化できるものであるべきだ。仕事とは他の人に評価される価値を生むことであり、その人の存在意義の視点で見れば、価値が生み出せることは好きか嫌いかよりも遥かに大切だからだ。
日本人は小さいころからドラえもんなどのアニメでSFに親しんでいて、「こんなものがあったらいいな」と夢を描く力=妄想力は強いと著者もお墨付きを与えています。
また、必要なスキルとしては、プログラミングという実装部分のスキルだけでは不十分です。
課題を設定する力や統計的に物を考え適切にデータを扱う力も必要です。
・ビジネス力:課題を設定し解決する
・サイエンス力:統計的、数学的素養
・データエンジニアリング力:実用するために実装・運用する
プログラミングはデータエンジニアリング力の一部ですが、
目的やデータの扱い方がわからなければ実装しようがありません。
さらに、これらの教養に加えて、”見立てて決めて伝える力”も必要です。
なぜならAIは知覚せず、意志を持たないから。
AIを理解する素養も必要ですが、人間にしかできないスキルも重要ということですね。
人間にしかできない”見立てて決めて伝える力”を鍛えるには、なんでも自分でやってみて考える/言葉にできない世界を受け入れることが有効だそうです。
本の内容はやや抽象的ですが、子どもには体験を重視しようと思いました。
机上の勉強だけでなく、実際に行ってやってみることを心がけます。
論理だけ・合理的なものだけでは足りない、
人間的な感覚から意志や夢が生まれるのだと思います。
要約④:若い世代に投資せよ
日本が再生するには若い世代に期待を寄せるしかありませんが、
予算配分はずいぶんと高齢者が優遇されています。
65歳以上の高齢者に約90兆円/年、国家予算の半分がかかっているのです。
(”巨大なレガシーコスト”と表現されています)
65歳以上の高齢者に使っている予算は、未来に回収見込みがないので投資ではありません。
未来の若者の教育費や研究開発費に使うことは、長い目で見れば投資になります。
著者の試算によれば、高齢者に振り分けている予算のほんの数%で未来は変えられます。
高齢者の予算を何がなんでも死守するのではなく、
知恵を絞ってほんの数%コストを下げる改善は可能ではないでしょうか。
ただ消費されていく高齢者より、これからの子ども世代に使ってほしいです。
『シン・二ホン』の感想:選挙投票に行こう!
『シン・二ホン』を読んで、なんとなく憂いていた日本の現状がさまざまなデータでよりくっきりとわかりました。
勉強になったことも子どもの教育で取り組もうと思ったこともたくさんあったのですが、
1番伝えたいのはこの1点。
子ども世代への投資、教育改革を進める政党に投票しよう!
ということです。
たぶん、この本を書かれたのは、
著者だけで国に働きかけるのは難しいと感じたからではないでしょうか。
著者くらいの影響力や権威性があっても動かせないのなら、
一般庶民にできるのはただ1つ、選挙で意思表示することです。
『シン・二ホン』のオーディオブック
『シン・二ホン』は耳で聴けるオーディオブックがあります。
『シン・ニホン』は聞き放題対象外ですが、
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『シン・ニホン』の次に読むなら?おすすめの3冊
『シン・ニホン』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『働き方5.0』
メディアアーティストや大学の准教授としてよくメディアに出ている、
落合陽一さんの本です。
コンピューターの発展が著しい時代に人間がやるべきことの本質を考えられます。
子育て世代にもおすすめの1冊です。
参考記事:『働き方5.0』の要約:人間がやるべきことの本質とは?【教育本としてもおすすめ】
②『LIFE SHIFT2』
マルチステージの基本戦略を元に、いろいろなケースでどう実践すればよいかがわかります。
『LIFE SHIFT2』ではテクノロジーの発展による影響も加味されています。
参考記事:ライフシフト2の要約:人生100年時代の行動戦略を自分でデザインしよう
③『統計学が最強の学問である』
『統計学が最強の学問である』は前提知識なしで読める統計学の入門書です。
データ×AIの理解を深めるために、まずは統計学の本を読んでみてはいかがでしょうか。
参考記事:『統計学が最強の学問である』の要約と感想:最速で最善の答えを導く
まとめ:『シン・ニホン』で日本再生の道すじを考える
・データ×AIのフェーズ1に日本は乗り遅れている
・データ×AIのプラットフォームは先行者優位があるので追いつけない
・日本はフェーズ2・3の活用段階で追いつけるポテンシャルがある
・これから求められる人材像は”異人”
・プログラミングだけでなく、課題設定やデータを扱うスキルも必要
・ほんの数%だけ若者世代へのリソース配分を増やす
・選挙に行って将来に投資する政党に投票しよう
誰にも未来は予測できませんが、『シン・ニホン』のような本を読んで、
より良い未来のために今できることを考えるのは大切だと思いました。
特に子どもがいる人は、子どもがどんな社会を生きるのか・そのために必要な教育環境を整えられるのか不安に思いますよね。
ただ不安に思っているだけではなく、自分にできることをする。
まずわたしにできることは選挙に行くことと統計学の入門書を読んでみることです。
★今回紹介した本★
安宅和人さんの著作
参考記事:『イシューからはじめよ』は難しいけどおすすめの本!【要約でポイントを紹介】
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本業の会社員では研修講師やファシリテーターをしています。コーチングも提供しているので興味がある方はぜひご検討ください。
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