『平均思考は捨てなさい』の要約まとめ:みんなと同じより自分に合っていること

『平均思考は捨てなさい』の要約まとめ:みんなと同じより自分に合っていること

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『平均思考は捨てなさい』は、平均を重んじることの弊害と個性の重要性がわかる本。


平均を基準に考える平均思考は個々の個性を無視してしまうので、人の知性や才能を測定するには不向きです。偏差値など平均を元にしたランク付けに振り回されず、個性があることを前提にした教育やパフォーマンスの出し方を考える必要があります。

★ 『平均思考は捨てなさい』 の要約ポイント★

 

・平均思考がうまくいかない理由

 

・なぜ平均思考が浸透したのか

 

・個性学3つの原理

 バラツキの原理/コンテクストの原理/迂回路の原理

平均思考が浸透するまでの歴史は、ドキュメンタリーのような面白さでした。

この記事では 『平均思考は捨てなさい』 の要約を紹介します。

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要約①:平均思考がうまくいかない理由

 

平均思考は、平均を標準にいろいろなことを決定してしまうこと。偏差値やランク付けも平均からどのくらい離れているかを基準にしています。

本来個性がある人のバラつきを1つの数値にまとめてしまうことで、実態とかけ離れるにもかかわらず、それが典型的なものであるように錯覚してしまいます。

 

たとえば、パイロットの身体のさまざまな箇所を測定して平均的な寸法でつくったコックピットは、どのパイロットにも合わない設計になってしまいました。

パイロットそれぞれに合うように調整できるようなコックピットになってから、事故が減ったそうです。

 

婦人科医が典型的な女性を模したノーマ像をつくり、その体型に当てはまる女性のコンテストを開催しました。3864人の女性の誰も、ノーマ像の体型に当てはまらなかったそうです。しかし当時は、ノーマ像が間違っているという結論にはならず、コンテストの参加者が健康的ではないという結論に達したそうです。

 

人はみな、どこかが個性的で平均から外れており、平均を元にした制度や設計は誰にも当てはまらないものになるリスクがあります。

要約②:なぜ平均思考が浸透したのか

 

平均思考がこれほど浸透した背景には3人の人物の影響が大きいです。

 

1人目はアドルフ・ケトレーです。元々天文学者で、天文学で測定の誤差を解決するために使われていた測定法を、人間に関するデータにも当てはめました。

アドルフ・ケトレーは平均を次のように考えました。

平均=人間の理想像のひな型

平均は完璧なものであり、平均から外れることはエラーであり欠陥だと考えました。

ケトレーによる平均人の発明をきっかけに、平均の時代は幕を開けた。平均は正常で、個人は間違っているという図式が定着し、さまざまなステレオタイプの妥当性が科学によって裏付けられた。

 

2人目は、フランシス・ゴルトン卿です。

フランシス・ゴルトン卿の影響力が大きいのは、平均から離れたことをランクと定義づけたところです。

平均から離れた=ランク

平均から良いほうに離れていれば優秀、悪いほうに離れているのは良くないことという考え方が浸透しました。

たとえば私たちは誰もが、できるかぎり平均より高く評価されたいというプレッシャーを感じる。ほとんどの場合、具体的に何に対して平均以上になりたいのか考えさえしないが、とにかく平均以上を目指して努力する。なぜなら、理由は明らかだからだ。他人から凡人とか厄介者、すなわち平均以下と見られないようにしなければ、平均の時代において成功は達成できないのだ。

 

3人目は科学的管理法を提唱したテイラーです。

テイラーは効率的な組織をつくるために平均主義を中心に据えることを考えました。

平均主義をもとに、計画・管理する優秀なマネージャーと、言われたとおりに作業するだけの労働者に分けることで、効率的で無駄のない組織を良いものとしました。それに応じて、教育もマネージャーと労働者を分けることを意識するようになります。

いまや私たちは、誰もが他のみんなと同じになることを目指す。いや、正確を期するならば、誰もが他のみんなと同じことで、みんなよりも秀でることだけを目指す。(中略)ところがその結果、個性の尊厳は失われてしまった。独自性は負担や障害になり、成功への道を妨げる嘆かわしい要素へと落ちぶれたのである。

 

平均が人文科学やランク付け、学校からビジネスに浸透したなか、平均思考の落とし穴に気づいた人もいます。ペーター・モレナールは、ひとりの人物を何度も測定すること=大勢の人たちを測定することという仮定のおかしさに気づきました。

エルゴード性という数学的原理をもとに、平均思考に陥っているときはエルゴード性がないものをエルゴード性があると錯覚していると考えました。

エルゴード性

下記の2つの条件が当てはまるとき、集団の平均を使って個人を予測できる。

・グループすべてのメンバーが同一

・グループすべてのメンバーが将来も同じ

当然のことですが、それぞれの人は同一ではなく、体格も能力も考え方も将来にわたって同じではありません。

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要約③:個性学3つの原理

 

平均思考は集計してから分析するのに対し、個性を重視するなら分析してから集計するほうが適しています。

個性学には3つの原理があります。

個性学の3つの原理

バラツキの原理/コンテクストの原理/迂回路の原理

1つずつ紹介します。

①バラツキの原理

バラツキがあるとは、ある資質が複数の側面から構成されていて、側面の関連性が弱いことです。

たとえば、「あの人は大きい」といった場合、背が大きいのか、面積が広いのか、手が長いのか、顔が大きいのか、肩幅が大きいのか、いろいろな可能性があります。背が大きければすべて大きいというように一次元的思考で考えてしまうと、平均思考の罠に陥ってしまいます。

「あの人は背が大きい」なら、身長というひとつの要素で決めるのは許容できます。背の高さは身長という1つの要素で構成されていることに違和感がないからです。

 

人間の資質や才能は、複数の側面から構成されていることがほとんどです。「あの人は賢い」といったとき、何をもって賢いと決めるかいろいろな要素が関わります。

たとえばIQが高ければあらゆる知的資質がある、と一般化するのは一元的思考です。賢さにもいろいろな賢さがあり、国語ができれば同じくらい算数ができるわけではない。得意なことと苦手なことにバラつきがあるのは当然で、1つの数値で人の才能を決めつけないことが重要です。

本当に難しいのは、才能を識別する新しい方法を見つけることではなく、視界を曇らせている一次元的な思考を手放すことだ。もちろん、真っ先に手放すべきなのは、自分自身についての一次元的思考である。

②コンテクストの原理

コンテクストの原理とは、個人の行動はコンテクスト(状況)に左右され、その影響は特性により異なることを指します。

特性心理学者は「行動は特性によって決まる」、状況心理学者は「行動は文化や状況によって決まる」と意見が対立していましたが、ワシントン大学の正田祐一教授が行動は個性にも状況にも常に左右されると提唱しました。

それは結局どっちかわからない、ということではありません。同じ人が同じコンテクストに置かれたときの行動には一貫性があります。

実際のところ彼は、私たちのアイデンティティには首尾一貫した要素が存在していることを示している。ただしその一貫性は、誰もが期待するような種類のものではない。私たちは特定のコンテクストで首尾一貫しているのだ。

攻撃的な子どもを、攻撃的だと決めつけるのではなく、どんなコンテクストに置かれたときに常に攻撃性を発揮するのか(両親、教師、友だち、動物など)を見ることで適した対応が取れます。

両親の前では良い子だけど学校で友だちをいじめる子どもと、友だちとは仲良くできるのに家で両親に攻撃的な子どもでは対処は異なります。

 

コンテストの原理は採用にも応用できます。どんな状況で優れたパフォーマンスができるか、コンテクストもあわせて確認しましょう。

 

コンテクストの原理を念頭に置けば、他者を多面的に理解でき、「この人はいつもこういう人」→「この人はこの状況ではこういう人」と考えることができます。

自分と一緒にいるとき以外にも、相手はいろいろなコンテクストにいるという事実を忘れなければ、新たな道が開かれる。本質主義的思考にとらわれていたときよりも、相手に対する理解や尊敬が深まるはずだ。ひいてはそれがポジティブな人間関係の土台となり、成功や幸せを確実につかむことができる。

③迂回路の原理

迂回路の原理とは、いかなるタイプの成長にもたった一つの正常な経路はない、ということです。

・人生のあらゆる側面で、どんなゴールを目指そうとも、ゴールにたどりつく道はいくつもあってどれも妥当

 

・最適な経路は個性によって決定される

迂回路の原理の反対は、規範的思考です。規範的思考では1つの正しい道があると考えます。正しい道が1つならば、その道を早く進めば優れているということになります。

しかし実際には、飲み込みの速さと学習能力は同じではなく、ゴールに向かう道は人によってさまざまです。

自分のさまざまな個性のそれぞれにどの経路がふさわしいのか正しく判断できてこそ、正しい道を歩むことができる。

自分のバラツキがある個性を知り、その個性が発揮されるコンテクストを知り、それをもとに最適な経路を考える。みなと同じではなく、自分に合ったものを選ぶ大切さがわかります。

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『平均思考は捨てなさい』 の次に読むなら?おすすめの本3選

 

『平均思考は捨てなさい』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『多様性の科学』

 

多様性がある環境をポジティブに活用すれば、新しい視点がもたらされて今まで思いつかなかったアイディアが生まれやすくなります。

たとえば、見ている視点や世界が違えばカバーできる範囲が広くなり、集合知としては大きくなります。

多様性が価値になることがわかる本です。

参考記事:『多様性の科学』の要約と感想:多様性がなぜ必要なのか?がわかる本

②『諦める力』

 

著者は400メートルハードルの為末大さん。

”諦める”という言葉には”途中で投げ出す”、”逃げる”といったネガティブなイメージがありますが、仏教では”明らめる”=真理を明らかにして見極めるという意味があります。

 

諦めるのは悪いことではない、むしろ将来を見据えて自分を活かす場所を選んでいることだと前向きに捉えなおせる本です。

参考記事:『諦める力』の要約まとめ:自分に合ったことを見極めて選ぼう

③『苦しかったときの話をしようか』

USJをV字回復させたことで有名な森岡毅さんが、就活を控えたお子さんのために書き溜めたものが元になっています。

自分の特徴を知り、その特徴が強みとなる環境を選択することがキャリア戦略にとって重要です。

やりたいことを見つけるには、自分のなかに軸を持つこと。自分の軸があるかどうかは、Self Awareness(セルフアウェアネス:自分を知っている度合)の高さに依存します。

 

苦しかったときのエピソードを通じて、仕事とはどういうものか?を改めて考えることもできます。

社会人になるタイミングで、ぜひおすすめしたい1冊!

参考記事:『苦しかったときの話をしようか』の要約まとめ:就活・転職で悩む人におすすめ

 

★今回紹介した本★


 

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