『ザ・ゴール』の要約まとめ:本当の生産性とはなにか【TOC(制約理論)がわかる】

『ザ・ゴール』の要約まとめ:本当の生産性とはなにか【TOC(制約理論)がわかる】

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『ザ・ゴール』は、物語でTOC(制約理論)がわかる本です。


メーカーの工場長である主人公(アレックス)が、本当の目標と生産性に気づき、新しい評価指標で工場を立て直す物語。ジョナという物理学者がアレックスにTOC理論を教えます。

TOC(Theory of Constraints:制約理論)

全体最適化の生産管理手法。制約条件に注目して生産から市場までのフローを管理する。

著者のゴールドラット博士はTOC(制約理論)の提唱者であり、この理論をわかりやすく伝えるために『ザ・ゴール』を書いたそうです。

『ザ・ゴール』はメーカーが舞台なので制約条件=生産工程のボトルネックとして出てくることが多いですが、制約条件は物理的な機械や工程だけではありません。

業種問わず、何を見て生産性を判断するのか、目指すゴールは何なのか?を考えることは重要です。

★ 『ザ・ゴール』 の要約ポイント★

 

・生産的である=目標に近づくこと

 

・従属事象と統計的変動を理解する

 

・継続的改善プロセスの5つのステップ

日本で長年翻訳されなかったのは、部分最適に秀でている日本に全体最適化の手法を教えたら貿易摩擦が再燃することを懸念していたそうです。

この記事では 『ザ・ゴール』 の要約を紹介します。

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要約①:生産的である=目標に近づくこと

 

生産的か、生産的でないか?は目標に近づいているかどうかで決まります。

主人公の勤める工場ではロボットを導入して生産性が上がったはずですが、納期に遅れてばかりで赤字続きでした。ロボットがつくる部品にかかる時間やコストはたしかに下がりました。しかし、工場全体の生産性には貢献していなかったのです。

アレックスは、ジョナから生産的であることと生産性を測る3つの指標を学びます。

生産的である=目標に近づくこと

目標(ゴール)が何かわからないうちは、生産的であるかどうかわかりません。

会社の究極の目標はお金を儲けることです(この本の原著が発売されたのは1984年、日本で出版されたのは2001年であり、現代では違う考え方の人もいるかもしれません)。

 

お金を儲けることをゴールとした場合、目標に近づいているかを測る指標が3つあります。

・スループット:販売を通じてお金を作り出す割合

 

・在庫:販売しようとする物を購入するために投資したすべてのお金

 

・作業経費:在庫をスループットに変えるために費やすお金

どれか1つだけを改善することはできません。スループットを増やしながら、在庫と作業経費を減らすこと=目標に近づいていると言えます。

 

工場全体をシステムとして見ており、特定の工程ごとの生産性を見るのはあまり意味がありません。なぜなら、その工程がフロー全体の効率を左右するボトルネックでない限り、部分的に効率を上げてもスループットに与える影響が小さいからです。

要約②:従属事象と統計的変動を理解する

 

全体最適を考える最初のステップは、ボトルネックを発見することです。

ボトルネックを発見するには、従属事象と統計的変動を理解する必要があります。

従属事象:前に起こる事象に依存する

 

統計的変動:毎回、同じ作業をしても変動がある

部品を成形して加工する工程があったとして、加工するのは成形が終わってからでないとできません。加工は成形作業に依存しています。

また、成形作業は平均すると5分でできるかもしれませんが、1回1回の作業にはバラつきがあります。3分でできるときもあれば、たまにエラーが起きて7分かかるときもある。

この従属事象と統計的変動の組み合わせが全体のフローを遅らせる原因です。

(例)サイコロを振って出た目の数だけマッチ棒を移動させるゲーム

 

カップが3つあり、1つ目のカップから2つ目のカップに、2つ目のカップから3つ目のカップに、最後に3つ目のカップから出たら完成。

毎回サイコロを振り、出た目の数だけマッチ棒を移動させる。

この場合、カップの並びが従属事象、サイコロの目が統計的変動を表しています。1~6の目の平均は3.5なので、たいていの場合3~4本の完成品になると思いませんか。しかし、そうはなりません。

(例1)サイコロの目が出た順 6⇒3⇒4⇒5

1つ目のカップ6本⇒2つ目のカップ3本⇒3つ目のカップ3本⇒完成品3本

 

(例2)サイコロの目が出た順 3⇒6⇒1⇒5

1つ目のカップ3本⇒2つ目のカップ3本⇒3つ目のカップ1本⇒完成品1本

 

(例3)サイコロの目が出た順 4⇒2⇒6⇒6

1つ目のカップ:4本⇒2つ目のカップ:2本⇒3つ目のカップ2本⇒完成品2本

完成品が4本以上になるのは6.25%、3本以上になるのは19.75%。80%の確率で完成品は2本以下なのです。依存関係がある事象の前工程で小さい目(低い処理能力)が出てしまうと、その後の工程では取り戻せないことを意味しています。

 

ボトルネックを見つけてその処理能力を上げることで、フロー全体の生産性を上げることができます。

ボトルネック=市場からの需要以下の処理能力のリソース

ボトルネックを見つけたら、ボトルネックの処理能力を上げるか負荷を下げる取り組みをします。

本の中では次のような取り組みがされていました。

・昼休みに停止しないように、昼休みをシフト制にする

・処理ができるようにボトルネックで使う材料を優先する

・短時間で処理の準備ができるようにあらかじめセットアップしておく

・同じ処理ができる旧式のマシンを再利用する など

ボトルネックのフローが1時間止まることは、工場全体の1時間の生産性を損なうことになります。逆に、ボトルネック以外のフローで1時間余計に時間がかかっても影響は大きくありません。

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要約③:継続的改善プロセスの5つのステップ

 

主人公たちは工場を復活させることに成功し、その取り組みを振り返って、5つのステップにまとめました。

<継続的改善プロセス5つのステップ>

 

①制約条件を「見つける」

 

②制約条件をどう「活用する」か決める

 

③他のすべてを[ステップ②]の決定に「従わせる」

 

④制約条件の能力を高める

 

⑤ここまでのステップでボトルネックが解消したら、[ステップ①]に戻る

 ただし、「惰性」を原因とする制約条件を発生させてはならない

ボトルネックは物理的な機械の工程とは限らない、ということで、ボトルネックを制約条件という言葉に置き換えています。

まず制約条件を見つけて、それを中心にフローをコントロールします。制約条件の能力を高めればフロー全体のスループットは上がるはずです。制約条件は状況によって変わることがあるので、⑤まで来たらまた①に戻ります。

厄介なのは、それまでの制約条件を最大限活用しようとして決めたルールが、もはや古くなって新しい制約条件となってしまうかもしれないことです。

だから、何を何にどう変えるか?を常に考え、継続的改善プロセスを回していく必要があります。

『ザ・ゴール』 の次に読むなら?おすすめの本3選

 

『ザ・ゴール』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『ワンシング』

 

一点集中する大切さがわかる本。

問題の勘所、ここを変えれば一気に変わるというドミノの1つ目を倒すのが重要です。

目標のために本当に必要なことは何なのか?を考えさせられます。

ドミノの比喩が心に刺さりました!

参考記事:『ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果』の要約:ドミノ効果で大きな成功を手に入れる

②『測りすぎ』

 

測定しすぎることのデメリットと測定の効果的な使い方がわかります。

測定できるからといって何でも測定すればいいわけではありません。

測定されていること自体が、人間の行動や心理に影響を与えます。

参考記事:『測りすぎ』の要約まとめ:測定への執着を避けて効果的に使うには?

③『上流思考』

 

システム全体を考えて問題を未然に防ぐ思考法の本。

 

システム全体を考える、そもそも問題が起こらないように考えることで、

下流で対応するより劇的な成果が上げられる可能性があります。

参考記事:『上流思考』の要約まとめ:システム全体を考えて行動する

 

★今回紹介した本★


10年後が舞台の続編もあります。


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