『協力のテクノロジー』は、三項相利の関係をつくりだす考え方・方法がわかる本。
三項相利とは、自分の利益・関係者の利益・世界の利益がそれぞれ実現される関係性のことです。
自分と関係者と世界の目的はそれぞれ違うけれども、お互いの成功が自分の成功にとって不可欠であると理解できれば、違うままに繋がることができます。
★ 『協力のテクノロジー』 の要約ポイント★
・それぞれの利益や目的が違うままつながることができる
・ものごとの見方は道具であり、うまく使えば可能性が広がる
・三項相利になる目標を開発する
面白そう!と思った方は、ぜひ全部読んでみてくださいね!
この記事では 『協力のテクノロジー』 の要約を紹介します。
目次
要約①:違うままつながることができる
いま、協力のテクノロジーが必要なのは、社会が多様化しているからです。
これまでは地域社会や会社、血縁関係など、価値観を同じくする共同の基盤がありました。
しかし、社会の変化によって昔からあるコミュニティの重要性は薄れ、価値観の多様化が進んでいます。
多様な価値観を持つ人々と協力したいとき、一般的には次のような方法があります。
・共感してもらう
・当事者化(自分事)してもらう
・合意形成をする
しかし、上記の方法は同じ目的を前提にしているので、重なる部分がなければうまくいかないでしょう。
そこで、それぞれの目的や価値観も違うままにつながる技術が必要になります。
これからの「協力」に求められていることは、価値観も違う、利害関心も違う、世界観も「したいこと」も違う人たちが、それでも、それぞれを尊重して協力することで、より良い世界を共に作っていくことです。それは、お金や命令、お願いだけで動かない人々と、どうすればともに世界を作っていけるのか、という問いでもあります。
要約②:ものごとの見方は道具である
相手の利益や目的を理解するためには、相手のものごとの見方を理解する必要があります。
『協力のテクノロジー』では、ものごとの見方も1つの道具であると考えます。
下記は、欲求階層説で有名な心理学者マズローの言葉です。
もしあなたがカナヅチしか持っていなかったら、すべてはクギに見えるだろう
マズローのハンマーや道具の法則と呼ばれています。
どんな道具を持っているかで、どう見えるかが決まる。
その意味で、ものごとの見方は道具であり、どんな道具を持っているかで世界をどう見ているか、どう行動するかが決まります。
「世界は助け合いでできている」と考えている人は、人の優しさや親切によく気がつき、積極的に自分も他者を助けようとするでしょう。
同じ世界に生きていても、「世界は競争でできている」と考えている人は、他者を競争相手とみなして人に勝つことを考えることになります。
どの道具を採用するかで何ができる/できないが変わります。
他者の見方を理解して道具の選択肢が多くなれば、その分できることも増えるでしょう。
世界を変えようと思えば、可能性を拡げることが重要で、そのためには、様々な見方を自由に使えることが求められるのです。
要約③:三項相利になる目標を開発する
違うままつながるには三項相利の関係をつくりだすことが重要であり、そのためには三項を満たす目標を開発する技術が必要です。
三項相利の関係:自分、相手、世界の利益がともに実現されること
同じを前提に三項相利をつくろうとすると、違う目標を持つ人を説得したり交渉したりすることになります。
しかし、『協力のテクノロジー』で提唱しているのは、”それぞれの価値観や目的は違う”を前提に、三項相利の目標を開発することです。
三項相利の目標を開発するには、分解と具体化を使います。
たとえば、”日本一豊かな市をつくる”という目的を掲げたとします。
”豊かさ”でイメージするものはそれぞれ違うので、まずは”豊かさ”とは何かを分解していきます。
”豊かさ”とは?
⇒経済が発展している、自然が溢れている、福祉が充実している、人間関係が豊か…
そのなかから豊かさ=人間関係の豊かさを充実させよう!と決めたとします。
しかし、この段階で人間関係の大切さを説いても、自然環境を大事にしたい人や経済発展させたい人、福祉を充実させたい人には響かないかもしれません。
次に”人間関係の豊かさ”を具体化していきます。
”人間関係の豊かさ”とは?
⇒ボランティア活動の参加率が高い、近所づきあいが活発、地域に信頼できる人がいる…
この中から”ボランティア活動の参加率が高い”を選んだとして、明確な目標を掲げます。
”日本一人間関係が豊かな市にしよう。ボランティア活動の参加率が日本一高い市にしよう”という明確な目標の完成です。
明確な目標を掲げることで、他者が協力しやすくなります。
”日本一豊かな市にしよう”という目標に比べて、明確な目標ではどう協力すればいいのかがわかりやすいです。
中には、人間関係の豊かさに関心がない人もいるかもしれません。
しかし、それはいったん脇に置いておいて、”日本一人間関係が豊かな市にしよう。ボランティア活動の参加率が日本一高い市にしよう”にどう協力できるかを考えます。
たとえば、自然環境を大事にしたい価値観の人なら、里山保全のボランティア活動を企画することで目標に沿ったなかで自分の利益も実現することができます。
ここでやってはいけないことは、何か一つの「正しさ」に、協力者の理解を統一しようとすることです。
仮に人間関係の豊かな市というコンセプトに共感できなくても、それが間違いだとか、非協力的だということではありません。その人は人間関係より自然環境のほうが大事な価値観である、ただそれだけです。
違う利益を持っている人でも利益が実現できるような目標を開発することが重要です。
『協力のテクノロジー』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『協力のテクノロジー』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『9割の社会問題はビジネスで解決できる』
経済合理性限界曲線の外側にある問題をビジネスで解決するための、
ソーシャルビジネスのつくり方を解説した本です。
ソーシャルビジネスの起業家による支援の仕組みを作っています。
参考記事:『9割の社会問題はビジネスで解決できる』の要約まとめ
②『「人それぞれ」がさみしい』
多様化した社会では、「人それぞれ」で対話が終わってしまうことが多いです。
「人それぞれ」のあふれた社会がどのようなもので、どんなデメリットがあるか、どうすればさみしさを払拭できるかのヒントがわかります。
参考記事:『「人それぞれ」がさみしい』の要約まとめ:やさしいようで冷たい言葉
③『ゆっくり、いそげ』
人を手段化しない、金銭換算しにくい価値を大切にするビジネスの実践を描いた本。
自分が大切にしたい価値を大切にできる経済圏のつくり方がわかります。
参考記事:『ゆっくり、いそげ』の要約まとめ:人を手段化しない経済とは?
まとめ:それぞれ違うままつながれる
・三項相利=自分の利益・関係者の利益・世界の利益がそれぞれ実現される関係性
・それぞれの目的や利益が違うままつながることができる
・ものごとの見方は道具であり、道具によって見えるものやできることが変わる
・道具の選択肢が多ければ、それだけ可能性が広がる
・三項を満たす目標を開発するのがポイント
・明確な目標を掲げると他者が協力しやすくなる
・正しさはいったん脇に置く
いろいろな利害関係者がいる中で、協力を引き出したい場面はたくさんあります。
地域活動やNPO活動だけでなく、ビジネスでもたくさんのヒントがありました。
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