『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』は、
フットボールチームの人格形成プログラムからコーチングのヒントが得られる本。
サッカーに詳しくなくても読みやすく、子育てや仕事上のメンバーの接し方に活かせることがたくさんありました。
★『教えないスキル』の要約ポイント★
・自分の言動に意図があるか振り返って自覚する
・ネガティブなフィードバックの対象は態度だけ
・”学ぶ”の主語はコーチではない。学びを創出するのがコーチの役目
上下関係が厳しい、監督やコーチの指示は絶対!というイメージがありますが、
支配するのではなく学びの機会を与えて気づかせる大切さがわかります。
この記事では『教えないスキル』の要約と感想を紹介します。
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目次
なぜビジャレアルで人格形成プログラムがはじまったのか?
ビジャレアルは、著者がコーチとして選手を育成していたスペインのフットボールチームです。
人格形成プログラムが始まったのは、
サッカー選手として優秀ならばそれでいいのか?という疑問を持ったから。
プロフットボール選手は引退後5年以内に60%が自己破産するそうです。
サッカーのスキルを上げるだけが育成ではない。
人としての成長を支援すれば、結果的にチームも強くなるという考えの元、
10年の長期スパンで人格形成プログラムが始まりました。
ラグビーのニュージーランド代表、通称”オールブラックス”のスローガンを思い出しました。
“Better people make better All Blacks”(優れた人が優れたオールブラックスを作る)
『教えないスキル』の要約
『教えないスキル』の要約ポイントは次のとおりです。
★『教えないスキル』の要約ポイント★
・自分の言動に意図があるか振り返って自覚する
・ネガティブなフィードバックの対象は態度だけ
・”学ぶ”の主語はコーチではない。学びを創出するのがコーチの役目
1つずつくわしく紹介します。
要約①:自分の言動に意図があるか振り返って自覚する
学びを促す環境をつくり直すには、
理想の環境に適さない過去の知識や考え方に気づいて手放す必要があります。
学び壊し、学びほぐし(unlearn):過去の知識や価値観を手放すこと
イノベーションを起こす等のテーマでよくキーワードに挙がります。
まず、自分の言動に意図があるか・どういう意図なのかを客観的に振り返ります。
ビジャレアルではコーチ1人1人にカメラとピンマイクを付けて記録し、
コーチにさらにスタッフがついて言動を細かく記録していったそうです。
・なぜその言葉を言ったのか
・他の言い方はなかったのか
・声がけの後の選手の反応はどうだったのか など
自分の言動を振り返ることで、
他にもっと良い言い方はないか、自分の言葉を選手がどう受け止めているか
と考えるようになります。
unlearnのときによく使っていたことばとして、
「とにかく一周しておいで」が紹介されていました。
自分はAが正しいと思っていても、
まずはBやCもやってみて、Aが良ければまた戻ってくれば良い。
自分の考えはいったん脇に置いておいて、
素直にやってみてから決めるという姿勢は見習いだいです。
要約②:ネガティブなフィードバックの対象は態度だけ
学びや気づきを促すために、フィードバックは大きな役目を果たします。
ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックのポイントは次のとおりです。
ポジティブなフィードバック:
「どうしてこうしたのか?」と意図や工夫を聞く機会をつくる
ポジティブなフィードバックは、単に「いいね」というだけでなく、
どういう考えでその行動をしたのか説明する機会を設けます。
(例)
「どうして〇〇を選択したの?」
⇓
「今回は△△の点で〇〇のほうが良い選択だと判断しました」
⇓
「それは良い着眼点だね。」
自分で考えて工夫しながら取り組みますよね。
ネガティブなフィードバック:
態度だけを対象にする。スキルや存在にネガティブなフィードバックをしない。
成長を促すには、ネガティブなフィードバックも避けては通れません。
ネガティブなフィードバックの対象に気を付けます。
ネガティブなフィードバックの対象になるのは態度だけです。
<フィードバックの対象>
態度:手を抜く等の姿勢には厳しくフィードバックする
能力:応援する、サポートする(ポジティブなフィードバック)
存在:個人の人権や尊厳など守るべきもの
ネガティブなフィードバックにはサンドイッチ話法が効果的です。
サンドイッチ話法:
ポジティブなフィードバック+ネガティブなフィードバック+今後の期待
ポジティブな言葉でネガティブなフィードバックを挟むことで、
聞き入れやすくなります。
受け入れやすい環境を作る配慮もコーチには必要です。
要約③:学びを創出するのがコーチの役目
タイトルの『教えないスキル』とは、
”教える”の主語はコーチや指導者であることへの対比を表しています。
”教える”の主語:コーチ、指導者
”学ぶ”の主語 :子ども、チームメンバー
あくまでも学びの主体者は子どもやチームメンバーであり、
コーチや指導者、リーダーは学びの機会を創出する役割なのです。
学びの機会を創出するとは、具体的には次のようなことを指します。
・上下関係を排除して対等な関係を築く
・安心して学べる環境をつくる
・学習効果を高める問いかけやメニューの工夫をする
・答えを与えず、考える余白をつくる など
学校や職場などあらゆる学びの場面で必要な考え方だと感じました。
『教えないスキル』の感想
『教えないスキル』を読んで、個人的に心に残ったポイントを紹介します。
受け入れられなかったらまずは受け止めよう。受け入れられないからといってはねのけたり、遮断したり、exclusion(除外)してしまっては何も機能しません。自分に耳障りの良いことを言ってくれる人ばかりが周りにいても、成長は望めないでしょう。
成長するには健全な衝突が欠かせません。
日本では反対意見を遮断して、”わたしとは合わない”とジャッジする人が多く感じます。
”反対意見=否定”ではなく、成長の機会だと考えられれば、
成長が早くて変化に対応できる組織に変わるでしょう。
人は相手から何を言われたかではなく、どんな気持ちにさせられたかをずっと覚えている生き物だからだと教わりました。自分の言いたいことだけを懸命に話しても伝わりません。
サンドイッチ話法の説明の部分です。
伝える内容は同じでも、順番や伝えるときの態度で伝わり方は違います。
自分の言いたいように言うのが目的ではなく、
フィードバックを学びに生かしてほしい!というのが本来の目的ですよね。
意識を向ければ人間関係も良好になっていくでしょう。
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『教えないスキル』の次に読むなら?おすすめ本3選
『教えないスキル』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『ウィニングカルチャー』
『ウィニングカルチャー』は勝ちぐせのある組織文化づくりがわかる本。
著者はラグビーの監督をされていた方なので、
スポーツチームを元にした組織論が共通点です。
参考記事:『ウィニングカルチャー』の要約:組織文化を変革するためには?
②『フィードバック入門』
フィードバックについて理論と実践の両面から学べる本。
対話で相手の言語化をサポートし、
これからどうするか?を自分で決めさせるのが重要です。
参考記事:『フィードバック入門』の要約まとめ:情報通知と立て直しで部下が育つ
③『心理的安全性のつくり方』
気づきを促そうとしても、信頼関係がなければうまくいきません。
相手との信頼関係を築くには心理的安全性が大切です。
マイノリティである女性は発言しにくかったでしょうね。
参考記事:『心理的安全性のつくりかた』の要約:脱ぬるま湯職場!心理的安全性の4因子とは?
まとめ:コーチは学びの機会を創出する存在
・1人1人が人として成長すれば組織も強くなる
・過去の体験や価値観を手放して学び直す(unlearn)
・自分の言動を客観的に振り返って意図があったか確認する
・ポジティブなフィードバックは対話で行う
・ネガティブなフィードバックは態度を対象に行う
・サンドイッチ話法でネガティブなフィードバックを受け入れやすくする
・コーチや指導者は学びの主体ではなく、学びの機会をつくる
フットサルチームの人材育成術ではありますが、どんな組織にも適用できる内容でした。
自分が知らない世界の話を読むのは楽しいですね。
★今回紹介した本★
★おすすめ関連本★
参考記事:コーチング初心者におすすめの本6選:傾聴スキルや心理的安全性に関する本も紹介
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本業の会社員では研修講師やファシリテーターをしています。コーチングも提供しているので興味がある方はぜひご検討ください。
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