『地頭力を鍛える』は、地頭力とは何か、どうすれば鍛えられるのかがわかる本です。
地頭力とは思考力や問題解決力のことで、
地頭力が高い人を見極めるために採用面接などでフェルミ推定が使われます。
コンピューターの普及によって知識偏重の時代が終わった中で、
真に求められる人材・付加価値の高い人材に必須の思考法が学べます。
★『地頭力を鍛える』の要約ポイント★
・地頭が良いとは思考力、問題解決能力が高い人
・フェルミ推定で地頭力の高さがわかる
・地頭力に必要な3つの思考ー仮説思考/フレームワーク思考/抽象化思考
この記事では『地頭力を鍛える』の要約まとめを紹介します。
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目次
要約①:地頭が良いとは思考力、問題解決能力が高い人
”頭のいい人”と聞いて、どんな人を思い浮かべますか?
”頭のいい人”は主に3つのタイプに分類できます。
・知識が豊富で物知りな人(クイズ王)
・対人感性力が高い人(司会者、優秀な営業マン)
・思考力、問題解決能力が高い人(パズル王)
人間よりはるかに正確で大量な知識にアクセスできるインターネットの普及によって、
知識が豊富で物知りな人の優位性は失われつつあります。
また、次から次に情報が生まれるので、
持っている知識が陳腐化したり、信ぴょう性がなかったりという問題もあります。
2番目の対人感性力が高い人は、人の気持ちを汲み取れる・気が回る人です。
知識と違って陳腐化せず、汎用性が高い能力と言えます。
3番目の思考力、問題解決能力が高い人が地頭のいい人です。
地頭が良ければ未知の問題でも適切に対処できます。
地頭がいい=思考力、問題解決能力が高い
2番目の対人感性力と3番目の地頭力を土台に、インターネットなどから得た情報で学びを増幅させていくのが理想形であると著者は言います。
デバイドとは二極化のことです。
デジタルデバイドはITリテラシーによって二極化が進むことを言いますが、
ジアタマデバイドは地頭の良さによって二極化が進むことを指します。
地頭が良い人はどんな分野でも成果が出せる一方、地頭が良くない人は旧来の知識の多さ=優秀さだと勘違いし、思考停止で情報収集に走ってしまうのです。
要約②:フェルミ推定で地頭力の高さがわかる
地頭力を鍛えたり測定したりする方法として、フェルミ推定があります。
フェルミ推定:把握が難しい数量をごく短時間で概算すること
たとえば、次のような問題があります。
・日本に電柱は何本あるか
・日本に自動販売機はいくつあるか
・シカゴにピアノ調律師は何人いるか など
答えがどのくらい近いかが問題ではなく、考えるプロセスが問われます。
たとえば、”日本に電柱は何本あるか”というフェルミ推定を考えてみます。
・面積あたりの本数を考えて日本の国土面積で計算すれば概算できる(仮説)
・市街地と郊外で面積あたりの本数を分けて考える(フレームワーク)
⇒市街地と郊外の面積割合、面積あたりの本数を決める
・枝葉を切り捨ててシンプルに考えて結論を出す(抽象化)
フェルミ推定では短時間で・頭のなかにある情報だけで概算することが求められるので、
大胆な仮説がなければ答えは出ません。
電柱の本数をどんな切り口で因数分解するかを全体から考えるフレームワーク思考、細かい枝葉に捉われず、概算に必要な情報を取捨選択する抽象化思考も必要です。
フェルミ推定をするには地頭の良さに関わる能力が万遍なく要求されるので、
地頭力を鍛えるのに適したツールと言えます。
解決方法がまったく見えない問題にどう道筋をつけてなんとか答えを出すか、が問われているのです。
要約③:地頭力に必要な3つの思考
地頭力に必要な3つの思考は次のとおりです。
・仮説思考 :結論から考える
・フレームワーク思考:全体から考える
・抽象化思考 :シンプルに考える
1つずつくわしく紹介します。
仮説思考:結論から考える
仮説思考は、まず仮説を立ててから検証することです。
仮説もなく情報収集を始めると情報収集の終わりがわからなくなります。
なんのために情報収集や分析をしているのか?がわからないなら、
そこには仮説がないということです。
結論から考えるとは、あるべき姿から考える逆算思考とも言えます。
仮説思考で注意することは2つあります。
・仮説にこだわりすぎない
・完璧主義を捨てる
仮説はあくまで仮説であり、うまくいかないと分かったら仮説を進化させましょう。
最初に立てた仮説にこだわるあまり、仮説に誘導するような分析をするのは本末転倒です。
また、仮説を立てられない人は完璧主義であることが多いので、
間違ってもいいから仮説を立ててみましょう。
間違った仮説を検証する上で正しい仮説が見えてくればそれでOK!
フレームワーク思考:全体から考える
フレームワーク思考とは、全体俯瞰で考える・一歩引いて考えること。
相手と座標系を共有していること、同じ地図を見て話しているか確認することが重要です。
全体を見た上でどのような切り口で分類するかは、経験がものを言う側面があります。
良い切り口、悪い切り口の判断に自信が持てない場合は、
既存のフレームワークを使ってMECE(もれなくダブりなく)で因数分解します。
フレームワーク思考で注意することは、
フレームワークをただの穴埋めのツールにしないことです。
分類しただけで何を求めたかったのかがわからなくなるでしょう。
抽象化思考:シンプルに考える
抽象化思考は目的に必要な情報を取捨選択し、モデル化することです。
モデル化するには、課題解決に本質的なものと枝葉のものの区別がつく必要があります。
たとえば、電柱の種類や色は本数の概算に必要ない情報です。
「郊外といってもひと口にまとめていいのだろうか?」など細かい正確性にこだわっていたら、短時間での概算はできません。
抽象化思考は次のプロセスで行います。
①抽象化⇒②解法の適用⇒③具体化
具体的な事象を抽象化してから解法を考え、そして解法を実際の事象に当てはめます。
具体的な事象のまま解法を考えるのは具体レベルで見えている問題にしかアプローチできません。
抽象化したパターンやモデルは汎用性が高いので、同じ構造の問題にも適用できます。
抽象化思考の敵は”自分の分野・業界・会社は特殊”という思いこみです。
本当に特殊なのは実際にはほんの一握りの部分だけ。
特殊な部分と一般化できる部分の切り分けができない=抽象化思考ができないということです。
↓抽象化思考については、同じ著者で『具体と抽象』という本があります。
『地頭力を鍛える』より難易度低めです。
参考記事:『具体と抽象』の要約まとめ:本質を見抜く人・創造性が高い人はどんな思考をしているのか?
このほか、地頭力の土台となる好奇心、論理思考、直観についても解説されています。
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『地頭力を鍛える』の次に読むなら?おすすめ本3選
『地頭力を鍛える』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『問題解決』
『問題解決』は、問題解決の定番教科書をイメージして書かれた本。
問題解決の手順をWhere⇒Why⇒Howの順で進めていきます。
Whereでどこに問題があるのかを明確に設定し、Whyで広く深く掘り下げます。
参考記事:【本の要約】『問題解決-あらゆる課題を突破するビジネスパーソン必須の仕事術』
②『イシューから始めよ』
本当に解決すべき問題(=イシュー)は何か?を見極める重要性を説いた本。
解説Youtubeなども多いのでぜひ読んでみることをおすすめします。
参考記事:『イシューからはじめよ』は難しいけどおすすめの本!【要約でポイントを紹介】
③『具体と抽象』
抽象化思考を詳しく知りたい人におすすめです。
イラストや図が多めで、具体的・抽象的な思考とはどういうことか?がわかります。
参考記事:『具体と抽象』の要約まとめ:本質を見抜く人・創造性が高い人はどんな思考をしているのか?
まとめ:知識の量より思考力を身につける
・地頭力とは問題解決能力や思考力のこと
・知識量を重視する頭の良さはインターネットによって優位性がなくなっている
・考えるプロセスが見えるフェルミ推定で地頭力の高さがわかる
・地頭力に必要な3つの思考法
-仮説思考:仮説を立ててから情報収集して検証する
-フレームワーク思考:全体を俯瞰してもれなくダブりなく因数分解
-抽象化思考:モデル化してシンプルに考える
どんな領域でも成果を出せる人は地頭力が高い人です。
変化が速い時代には、既存の知識よりも思考力が役に立ちます。
ぜひ読んでみてくださいね!
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