『マッピング思考』の要約まとめ:動機のある推論に惑わされない

『マッピング思考』の要約まとめ:動機のある推論に惑わされない

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『マッピング思考』は、地図を描くように物事を俯瞰的にとらえようとする考え方(=マッピング思考)の本です。


人には、自分が正しいと思っているとき物事を歪めて捉えてしまう性質があります。「これは本当か?」と検証するような視点を持ち、誤りを認められるようになるためのヒントがわかります。

★ 『マッピング思考』 の要約ポイント★

 

・マッピング思考とは?

 

・マッピング思考のポイント

 

・アイデンティティは軽くしておく

「自分は客観的だ」と思うほど客観的でなくなるパラドックスに抗い、自分自身から距離を置いて物事を見る癖をつけましょう。そうすれば、判断を誤る確率がグッと減るはずです。

この記事では 『マッピング思考』 の要約を紹介します。

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要約①:マッピング思考とは?

 

マッピング思考とは次のように表現されています。

<マッピング思考>

 

”物事を”こうあってほしい”という視点ではなく、まるで地図を描くように”俯瞰的に”とらえようとする考え方”

”こうあってほしい”という動機を持つと、知らないうちに物事の見え方が変わってしまいます。これを動機のある推論と言います。

<動機のある推論の例>

・ある人を好意的に思っていると、好意的に思う理由ばかり見つかる。

 

・A案を通したいと思っていると、A案のメリットを過大評価し、

B案のメリットを過小評価してしまう。

 

・これが原因に違いない!と思っていると、他の原因が目に入らない。 など

本の中ではこのように紹介されています。

「私たちは、何かが事実であってほしいと願うときは”なんとかしてこれを信じられないだろうか?”と考え、それを受け入れる口実を探そうとする。逆に、何かが事実であってほしくないと願っているときは”どうしてもこれを信じなくてはならないだろうか?”と考え、それを拒絶する言い訳を探そうとする」

 

動機のある推論の怖いところは、動機のある推論で偏った見方になっていることに自分では気づかないことです。

動機のある推論をしているとき、自分の考えを脅かす敵はつぶしていく守りの思考になっています。しかし、偏った見方から自由になるためには、「これは本当か?」というレンズで物事を見る正確性による推論が必要なのです。

 

マッピング思考は、全体の地図をできるだけ正確に描こうとする、正確性を重視した思考です。そのなかには、間違っていることを認めて修正する余地や不正確なところを不正確だと受け入れる姿勢も含まれています。

だから、異論や反論は間違っているところや不正確なところを確認する貴重な材料と考えます。

この思考を持つ人には「自分の考えの正しさを脅かす事実」などというものは存在しない。

新しい事実は古い地図を修正できるチャンスであり、自分のためになるからだ。

要約②:マッピング思考のポイント

 

マッピング思考ができているか?は行動で測ります。

なぜなら「自分は客観的である」と思っていることと、客観的に行動できているかは同じではないからです。

マッピング思考のものさし

 

・「相手のほうが正しい」ときはそれを伝えられる

 

・批判を素直に受け止められる(口だけではなく)

 

・自分のまちがいを証明できる

 

・情報が偏らないための工夫をしている(情報操作できないように等)

 

・「正当な批判」を認めることができる(意見は違うけど一理ある、と思える)

「全然できていないかも…」と思った人も大丈夫です!偏った思考に気づくポイントがあります。

マッピング思考のポイント:思考を反転させてみる

思考を反転させて自分以外の立場から見ることで、バイアスに気づくことができます。

ポイントは、本当に相手の立場になりきることです。ここで自分の立場から離れられなければ効果はありません。

 

思考実験には次のような種類があります。

・ダブルスタンダード・テスト

反対の立場だったら同じように考えるだろうか?

 

・部外者テスト

まったくの他人が自分の立場にいたらどうするだろうか?

 

・同調テスト

相手が意見を変えても同じ意見を持ち続けるだろうか?

 

・選択的懐疑主義テスト

この証拠が反対意見を支持していたら、どのくらい信用できると判断するだろうか?

 

・現状維持バイアステスト

今の状況でなかったら、積極的にそれを取り戻すだろうか?

対立構造のときにはダブルスタンダード・テストで相手の立場になってみたり、選択的懐疑主義テストで自分が信じていることの根拠を見つめ直したりするのが有効です。

自分の判断は本当に自分が考えたものか?外部要因に影響されているのではないか?と感じたら、部外者テストや現状維持バイアステストで自分の体験と切り離してみたり、同調テストで他人の意見の影響を検証してみたりできます。

マッピング思考のポイント:賭けで考える

人によく見られたいと思って行動すると、事実を見誤ることがあります。自分の利害に関わるときは、人によく見られたいだけでなく、客観的に物事を見つめようという思考が働きます。

この2種類の思考は、広報担当者と取締役会に例えられています。

・広報担当者:良いところを主張したい、イメージをよくしたい

 

・取締役会 :真実を推測して投資する

この性質を利用したのが、賭けで考えるという方法です。

つまり、「これが賭けだとしたら、どっちに賭けるか?」と自分に問いかけることで、取締役会を呼び出します。

 

起業した友人に「きっとうまくいくよ、応援している」と言うとき、うまくいくかどうかは冷静に判断していません。うまくいくと主張したい、友人と良い関係を保ちたいという動機があります。

しかし、ここで友人が「じゃあ同僚に推薦してよ」と言ったとすると、取締役会が登場してきます。なぜなら、同僚に推薦する行為には自分の評価を賭けることになるからです。

 

希望的観測を排して客観的に判断したい事柄には、「これが賭けだとしたら、どっちに賭けるか?」と考えてみましょう。

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要約③:アイデンティティは軽くしておく

 

バイアスに捉われにくくする方法として、アイデンティティを軽くしておくという考え方があります。

思考をアイデンティティと紐づけてしまうと、思考を否定されたときにアイデンティティまで否定されたと感じて攻撃的・閉鎖的になってしまいます。

<アイデンティティと紐づきやすい思考の例>

 

支持する政党/信仰している宗教/母乳育児/ビーガン/暗号資産など

たしかに、母乳か/粉ミルクか論争はただの育児のやり方を超えて白熱している印象があります。

ビーガンも、ただの食の好み以上の信念がありそうです。

自分の思考と自分のアイデンティティを切り離し、一時的にこの思考を支持しているだけで変わり得るものと捉えると、アイデンティティが軽くなります。

大切なのは、アイデンティティによって思考や価値観が支配されないようにすることだ。私はこれを「自分のアイデンティティを軽く保つこと」と呼んでいる。

著者は、アイデンティティとインパクトはトレードオフであると言います。

アイデンティティと思考が一体化していると反対の意見を受け入れることができず、議論は平行線のままです。反対の意見を理解することで、必要なときは協力し、事態を前に進めることができます。

 

わたしがやりたいのは自分のアイデンティティを守ることなのか、価値観に沿ったインパクトを社会にもたらすことなのか。もし後者だとしたら、アイデンティティを軽く保って反対者の立場から見た景色も知ることができるほうが良いでしょう。

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『マッピング思考』 の次に読むなら?おすすめの本3選

 

『マッピング思考』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『Think Again』

 

思考柔軟性(メンタル・フレキシビリティ)の重要性がわかる本です。

思考柔軟性:既存の考えを新たな視点から見つめ直すこと

謙虚さを持って自分を疑うことで、思いこみから逃れられます。

参考記事:『Think Again』の要約まとめ:思考柔軟性(メンタル・フレキシビリティ)を上げるには?

②『多様性の科学』

 

多様性がある環境をポジティブに活用すれば、新しい視点がもたらされて今まで思いつかなかったアイディアが生まれやすくなります。

多様性は差別の原因となる場合もありますが、ポジティブに活用することもできます。

たとえば、見ている視点や世界が違えばカバーできる範囲が広くなり、集合知としては大きくなるのです。

違いを差別の要因にするのではなく、価値に変えていけるという希望が持てる本です。

参考記事:『多様性の科学』の要約と感想:多様性がなぜ必要なのか?がわかる本

③『予想どおりに不合理』

 

行動経済学のベストセラーです。

人間は合理的には行動せず、感情で判断する生き物であるとわかります。

 

著者の人間に対する興味がひしひしと伝わってくる感じに、

通じるものを感じました!

参考記事:『予想どおりに不合理』の要約・感想:行動経済学のはじめの一歩に最適!

 

★今回紹介した本★


 

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