『私とは何か』は、分人主義という人間観を提唱している本。
著者は小説家の平野啓一郎さんです。
分人主義とは、唯一無二の本当の自分というものは存在せず、相手との相互作用でうまれるさまざまな自分(分人)の集合体が自分であるという人間観です。
分人という考え方で自分や相手を眺めると、過度に自分や相手を責めず、良いことは感謝して、人間の多面性を受け入れられるようになります。
★ 『私とは何か』 の要約ポイント★
・個人と分人
・分人化のステップ
・分人主義で自分にも相手にも優しくなれる
嫌いな人に出会ったとき、分人主義で考えると、「その人の私に対する分人が合わないだけでその人にも良い分人がある。むしろ、私に対する分人が嫌いなのは、半分はわたしのせいかもしれない」となります。
単純化して断定しない、いろいろな面があって自然と考えられると、生きやすくなるのではないでしょうか。
この記事では 『私とは何か』 の要約を紹介します。
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目次
要約①:個人と分人
分人は、相手との相互作用でうまれるさまざまな自分のことです。個人(indivisual)と対比しています。
個人(indivisual):本当の自分、唯一絶対の自分、首尾一貫している自分
分人(divisual):相手との相互作用でうまれるさまざまな自分
個人はそれ以上分けられない最小単位であり、キリスト教が一神教であったことからも影響を受けているそうです。個人は「indivisual=分けられない」であり、分人は「divisual=分けられる」と表現されています。
人間にはいろいろな人格があります。家族といるときの自分、職場での自分、友人といるときの自分、趣味に打ち込んでいるときの自分など、周りの環境や相手に合わせて、コミュニケーションの仕方を少しずつ変えて適用しています。
その中心に、誰にも影響されない本当の自分(=個人)がいると思うと、その自分を見つけたいと思いますよね。しかし、そんなものは幻想ではないか?と著者は言います。
特に、個性が職業とマッチングしない人は、本当の自分探しに陥りやすいです。
1人として同じ人間はいないのだから、個性は誰にでもあります。しかし、その個性が活かせる職業を見つけられないと、役に立たない個性と思いこんで悩んでしまうかもしれません。
要約②:分人化のステップ
分人は反復したコミュニケーションのパターンを繰り返すうちに出来上がります。誰に対しても分人が形成されるわけではなく、不特定多数に対応する分人でコミュニケーションするだけの相手もいます。
<分人化のステップ>
①社会的な分人
不特定多数に受け入れられる人格(見ず知らずの人、コンビニの店員への対応など)
②グループ向けの分人
学校、会社など集団の中での人格
③特定の相手に向けた分人
Aさんと一緒にいるときの分人、Bさんと一緒にいるときの分人など
親密になる必要がない人には、社会的な分人で対応します。集団に所属してコミュニケーションするうちに、会社にいるときの人格など集団用の分人がカスタマイズされ、さらに特定の相手に対する分人ができる場合もあります。
特定の相手に向けた分人ができるということは、その人にしか見せない自分がいるということです。お互いに相手に対して分人化していれば、親密な関係と言えます。尊敬する人や自分が好きな人のなかに、自分にカスタマイズした分人がいると、とてもうれしくなるでしょう。
逆に、自分はAさんに対して分人化しているのに、Aさんはグループ向けの分人で対応してきたら、距離感を感じるはずです。
要約③:分人主義で自分にも相手にも優しくなれる
分人主義を採用するメリットは、自分を責め過ぎないこと、変化や多面性に肯定的になれることです。
分人は他者がいなければ存在しません。だから、好ましい分人を持ったのは半分は相手のおかげであり、好ましくない分人を持ったのも半分は相手のせいです。
自分の好きな部分は感謝を持って謙虚に、自分の嫌いな部分は過度に自分のせいにしないで環境も考慮に入れることができます。
「自分が好きになれない…」と悩む人も、〇〇さんといる自分や〇〇にいるときの自分は好き等、相対的に好きな自分はいるのではないでしょうか。誰といる自分が好きかを足場として、自分を好きになれるかもしれません。
いじめや虐待などの過去がある人も、それはその関係性の中での自分だと思えば、「いつでもどこでも大切にされない」と過度な一般化を避けることができます。
また、分人主義で相手を見れば、相手の変化にも寛容になれます。
(例)昔は良いやつだったのに、久しぶりに会ったらヤンキーになっていた
・唯一無二の自分がいる⇒昔は偽っていて、ヤンキーが本来のあいつだったんだ
・さまざまな人格がいる⇒昔とは分人の構成比率が変わったんだな
(例)あなたはAさんが嫌いだけど、BさんはAさんが好き
・唯一無二の自分がいる⇒Bさんは知らないだけでAさんは本当は悪い人だ
・さまざまな人格がいる
⇒わたし向けのAさんは嫌いだけど、Bさん向けのAさんはきっと違うんだな
最後に、なぜ人を殺してはいけないか?という問いへの分人主義的な考察が印象に残りました。
人を殺してしまうと、その人がいなくなるだけでなく、その人の周りにいた人たちの中にある、その人向けにカスタマイズされていた分人が更新されなくなってしまいます。もしその分人を拠り所にしている人がいたら、それはその人そのものの消失に加えてさらに傷つくことになるでしょう。
人と人はつながっている、他者とのつながりが自分をつくっていると感じられる本でした。
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『私とは何か』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『私とは何か』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『本心』
『私とは何か』の著者、平野啓一郎さんの小説です。
主人公は自由死を選んだ母をVRで蘇らせ、なぜ自由死を選んだのか、母の本心を探っていきます。
②『観察力の鍛え方』
よく観察しなければ見えないものの1つに関係性があります。
関係性の集合体が”わたし”であり、職場の自分・家族といる自分・高校の同級生といる自分・趣味仲間といる自分…など、〇〇といる自分が集まって”わたし”を形成しています。
『観察力の鍛え方』のなかで『私とは何か』の著者である平野啓一郎さんの小説が紹介されているのがきっかけで、『私とは何か』を読みました。
参考記事:『観察力の鍛え方』の要約まとめ:良い観察でインプットの質が上がる
③『うしろめたさの人類学』
社会は他者とのやり取りで構築されているという構築主義の本。
人類学や構築主義と聞くと難しそうですが、エチオピア滞在中のエピソード等が多く、前提知識がなくても読みやすかったです。
多少うしろめたい場面やめんどくさいことがあっても、感情の結びつきがあるほうが幸せだよね、と思えます。
参考記事:『うしろめたさの人類学』の要約と感想:うしろめたさをまっすぐ受け止める
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