『測りすぎ』は、測定しすぎることのデメリットと測定の効果的な使い方がわかります。
判断根拠として、数値で表せる測定は客観性という強力なパワーがあります。ITの発展で、測定できる対象が増え、コストも下がってきました。
でも、測定した結果を報酬や懲罰の判断に使うと、測定結果を気にするあまり不正な行動を誘発したり、望ましい行動を抑制したりするリスクがあります。
世の中には、測定できるものがある。測定するに値するものもある。だが測定できるものが必ずしも測定に値するものだとは限らない。測定のコストは、そのメリットよりも大きくなってしまうかもしれない。測定されるものは、実際に知りたいこととはなんの関係もないかもしれない。あるいは、本当に注力するべきことから労力を奪ってしまうかもしれない。
★ 『測りすぎ』 の要約ポイント★
・なぜ測定が人気なのか
・測りすぎるデメリット
・測定を使うときに気を付けるポイント
この記事では 『測りすぎ』 の要約を紹介します。
目次
要約①:なぜ測定が人気なのか
測定すると数字による定量的なデータが得られます。数字は客観性や透明性を提供してくれるので、判断の根拠としてパワーがあります。
数字によって自動で判断されるなら、その人に対する信頼は必要ありません。人間の判断は信用できないから数字を使う、数字だけ信じることでますます人間への信頼が下がるという悪循環が起こっている、と考察されています。
こうして社会的信頼の欠如は測定基準の神格化へとつながり、測定基準に対する信頼は判断に対する信頼を低下させるという悪循環が生まれる。
「政治家など権力者の判断は信用できないから数字を出せ」と要求し、公的機関も自己防衛のために数字で理論武装する。そうすると、測定が正義、測定された数字だけが信頼できる、という考えを強めていきます。
また、組織の規模が大きくなるとすべての条件を把握して合理的な判断を下すのが難しくなります(限界合理性)。測定した結果だけ見れば限界合理性の壁を突破できる、そんな魅力が測定にはあります。
さらにITが発展して、データの取得や分析がより簡単にできるようになりました。
要約②:測りすぎるデメリット
測りすぎるデメリットが大きくなるのは、測定で報酬や懲罰を決めるケースです。
さまざまな分野で測りすぎが招いた失敗が紹介されていました。
たとえば、大学をランク付けする大学スコアカードは、投資利益率で大学を評価することによって、大学=お金を稼げるようにするところというメッセージを送ることになります。
アメリカのオバマ元大統領の「教育にかけた金から最大限元が取れるように」という方針のもと、投資利益率で大学をランク付けする大学スコアカードが2015年に公表されました。
大学で学ぶのにかかる費用と、大学に行ったことによって増加した収入の割合で測られるため、大学は学生を給与の高い分野(投資銀行やコンサルタントなど)に就職させるように動機づけされます。一方、儲からない分野に就職する学生が多いと、大学は投資利益率が低いとみなされてしまいます。
さらに、収入アップに直接つながらないような授業(美術史、詩、音楽など)の質は加味されません。
他にも次のような例が挙げられていました。
・外科医の成績を手術の成功率で測る
⇒難しい手術や重篤な患者の手術を断る
・警察を逮捕数で測る
⇒何年もかかる麻薬組織のボスを逮捕するより、ドラッグを売っている若者を1日5人捕まえるほうが良い
・警察を犯罪率で測る
⇒犯罪率にカウントされない軽犯罪に格下げする(強盗→器物損壊など)
・従業員に厳しいノルマを課す
⇒不正を誘発する(ウェルス・ファーゴ銀行)
測定する=測定の対象者に何を重視して何を重視しなくてよいかというメッセージを伝えることになります。特に強いメッセージになり得るのは、測定が人の成功・失敗を決めるのに使われるときです。
要約③:測定を使うときに気を付けるポイント
『測りすぎ』では、測定を使うときに気を付けるポイントが10個のチェックリストにまとめられています。
その中から3つをピックアップして紹介します。
・どういう種類の情報を測定しようと思っているか
・情報はどのくらい有益なのか
・ときには、何が可能かの限界を認識することが、叡智の始まりとなる場合もある
1つずつ紹介します。
どういう種類の情報を測定しようと思っているか
測定するものが無生物ならば、測定は効果を発揮しやすいです。しかし、人間を測定するとき、人間は測定されていることに反応して行動を変えることができます。
特に報酬や懲罰が関わるときは、測定されていることが伝えるメッセージに注意が必要です。
情報はどのくらい有益なのか
測定できるものがすべて有益なわけではありません。測定する情報は知りたいことを知るのに有益なのか?を確認しましょう。
言い換えれば、本当に知りたいことの代用として何を測定しているのかを自問するべきだ。
ときには、何が可能かの限界を認識することが、叡智の始まりとなる場合もある
測定は万能ではなく、経験や定量化できない技術も大切です。
測定した情報を経験や暗黙知の情報源にする(そのまま判断の基準にしない)ことで、偏りすぎずにうまく共存できるのではないでしょうか。
すべての問題が解決可能なわけではなく、まして測定基準で解決できる問題はさらに少ない。すべてが測定で改善できるというのは真実ではないし、測定できるものがすべて改善可能だというのも事実とは異なる。
『測りすぎ』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『測りすぎ』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『ワークマン式「しない経営」』
作業服の専門店からアウトドアファッションに進出して大きく業績を伸ばした、ワークマンの経営がわかる本。
納期やノルマなし、信頼をベースにした組織づくりが学べます。
参考記事:『ワークマン式「しない経営」』の要約まとめ:善意と信頼の経営手法
②『「利他」とは何か』
美学者、政治学者、批評家/随筆家、哲学者、小説家という、ジャンルの違う視点からの利他の捉え方を知ることができます。
数値化は他者のコントロールに繋がる、数値化しやすいものに注目してしまう等、利他的な行為の効果を数値化で測ることのデメリットがわかります。
参考記事:『「利他」とは何か』の要約まとめ:純粋な利他は個人の意思を超えたところにある
③『管理ゼロで成果はあがる』
ホラクラシー組織(役職や肩書がない組織)で階層/評価/数字目標をなくすという組織運営をしている会社の取り組みがわかります。
数字で人を見ることのデメリットがわかります。
参考記事:『管理ゼロで成果はあがる』の要約:自由に働く組織のつくり方がわかる
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