『新版動機づける力』は、モチベーション理論の論点がわかりやすくまとまっている本。
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論や、マクレランドの達成動機/権力動機、ピグマリオン効果など、ビジネス書に多く引用されている動機づけ理論を、論文で学ぶことができます。
★ 『新版動機づける力』 の要約ポイント★
・仕事の充実化で動機づけ要因を満たす
・インナー・ワーク・ライフに関心を持つ
・MBO(目標管理制度)は誰の目標?
・優秀なマネージャーは権力動機が高い
コミュニケーションやマネジメントの本の理解が深まります。
この記事では 『新版動機づける力』 の要約を紹介します。
目次
要約①:仕事の充実化で動機づけ要因を満たす
ハーズバーグの2要因理論(動機づけ/衛生理論)は、現代の人事管理制度に大きく影響を与えた古典的な理論です。
人は報酬や福利厚生だけで動機づけされるわけではなく、達成感や成長の実感がやる気につながります。
衛生要因 :報酬、福利厚生、労働環境など生理的欲求
動機づけ要因:仕事の達成など成長への欲求
衛生要因が満たされなければ不満足になりますが、満たされたからといって強い動機づけにはなりません。動機づけ要因を満たすには、仕事の充実化が必要です。
仕事の充実化は次のような原則があります。
・個人の権限を増やす、統制を減らす
・完結した仕事の単位を与える
・新しい、困難な仕事に挑戦する機会を与える など
ひと言でいえば、エンパワーメント(権限委譲)が重要です。
衛生要因を満たすにはほとんどの場合コスト増を意味しますが、仕事の充実化は仕事の任せ方やルールの変更で工夫の余地があります。
しかし、いま衛生要因に割かれている時間と費用をごくわずかでも、仕事の充実化に振り向ければ、そこから得られる人間的満足と経済的成果は、企業や社会がこれまで人事管理の改善から得てきた配当のなかでも、とりわけ大きいものの一つとなろう。
要約②:インナー・ワーク・ライフに関心を持つ
ハーバード・ビジネススクールのアマビール教授と著述家のクラマーは、知識労働者のパフォーマンスにかかわる重要な要因として、インナー・ワーク・ライフというコンセプトを提示しました。
インナー・ワーク・ライフ(個人的職務体験):
出来事に対する認識、感情、モチベーションの相互作用がパフォーマンスに影響する
仕事で起こるさまざまな出来事に、どういう意味や価値を見出し、どんな感情が生まれるか。そして、それがモチベーションを上げたり下げたり作用して、最終的にパフォーマンスとして表れます。
日誌から出来事とその認識・感情を読み取り、実際のパフォーマンスへの影響を調査した結果、インナー・ワーク・ライフを形成する出来事は、上司に関するものが多かったです。
ほとんどの管理職たちが部下たちのインナー・ワーク・ライフにふさわしい対応を怠っており、インナー・ワーク・ライフがパフォーマンスに広範な影響を及ぼしうるという認識に乏しいことを示唆している。
上司が部下をほめたり、職場を明るくしたりすることよりも、仕事を進捗させる行動が一番部下のモチベーションを上げました。
部下が「仕事が捗った」と思えたり、「悩みの種が解消した」と思えるように支援することが、モチベーションを上げる上司の役割です。
上司の日々の行動、そして一瞬一瞬の行動が重要なのは、それが仕事を進捗させる、あるいは、遅らせるからだけではない。これらの行動がインナー・ワーク・ライフに影響を及ぼし、さらには企業業績へと波及することを見逃すことはできない。
要約③:MBO(目標管理制度)は誰の目標?
ハーバード・メディカルスクール名誉教授のレビンソンは目標管理制度の欠点と改善方法を提示しています。
目標管理制度の欠点は次のとおりです。
・あらかじめ規定した目標では自発的/創造的な活動が評価されない
・状況の変化に柔軟に対応できない
・測定しにくい要素が犠牲になりやすい など
変化のスピードがゆるやかで、単純な労働力の積み上げが売り上げに直結する時代なら、目標管理制度はうまく機能したかもしれません。
しかし、いまや変化のスピードが激しく、目標自体を状況に合わせて変える必要さえあります。
根本的な目標管理制度の欠点は、「相手は人間である」という視点が欠けていること。
言い換えれば、誰の目標か?と問われたとき、自分の目標とは思えないところに問題があります。
社員個人の目標と、組織の目標をどうやって一致させるかがマネジメントの仕事です。
組織として取り組むべきことは、まず社員のニーズを理解し、一緒に組織として成し遂げるべき仕事に従事しながら、どのように個々のニーズを満たすことができるのかについて評価することだ。
目標管理制度の改善アイディアは次のようなものがあります。
・グループで評価する
・評価者を評価する
自分の仕事の目標達成が他チームの仕事に依存していると、自分の目標だと思いにくいです。
共通の目標を持つグループ単位で目標を設定し、お互いの貢献に対してフィードバックを与えると業務の改善にも役に立ちます。
また、上司は部下のパフォーマンスに大きな影響を与えることから、上司は部下からのフィードバックを積極的に求めるべきです。
要約④:優秀なマネージャーは権力動機が高い
元ハーバード大学のマクレランド教授は、優れたマネージャーを生み出す動機を研究しました。
結論からいうと、優れたマネージャーは達成動機よりも権力動機が強く、自己抑制も高いという特徴があります。
権力動機:前向きなインパクトを与え、強い立場から影響力を行使したい
達成動機が強くて権力動機が弱いマネージャーは、自分でなんでもやってしまい、部下が育たない・やる気をなくす状態に陥りがちです。
自己抑制が低いと自分のために権力をふるいがちですが、自己抑制が高いマネージャーは利他的に権力を行使します。
権力動機が強いというのはネガティブなイメージがありますよね。
でも、自分のためだけでなく、組織やチームのためという動機が強ければプラスに働きます。
『新版動機づける力』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『新版動機づける力』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『神モチベーション』
理想と現実の差を認識するギャップモチベーションの活かし方がわかります。
脳の性質を利用して自動でやる気を出す方法なので、無理なくやる気を出させるのに役立つでしょう。
参考記事:『神モチベーション』の要約まとめ:ギャップモチベーションで自動的にやる人になる
②『動機づけのマネジメント』
メンバーに無理やりやる気を出させることはできません。
動機づけの環境を整えるのがリーダーの仕事です。
動機づけができるような接し方をしているか、自分自身を振り返りましょう。
参考記事:『動機づけのマネジメント』の要約まとめ:深くて強い動機が生まれる環境を整える
③『チームが自然に生まれ変わる』
心から望むゴールとそれに対するエフィカシー(やれる気しかしない!という自信)があれば、自然とやる気が湧いてきます。
「チームのモチベーションが低い、どうやってやる気を出したらいいのか」と悩むリーダーに刺さる本です。
参考記事:『チームが自然に生まれ変わる』の要約まとめ:認知科学に基づくリーダーシップとは?
まとめ:モチベーション理論の歴史がわかる
・衛生要因(労働環境や賃金)は動機づけにつながらない
・動機づけには仕事の充実化=エンパワーメント(権限委譲)が必要
・インナー・ワーク・ライフ=認識、感情、モチベーションの相互作用
・上司が仕事を進捗させる行動をとるとインナー・ワーク・ライフは良くなる
・目標管理制度の欠点は「相手は人間である」という視点が欠けていること
・目標を自分ごとにするためにグループでの評価や評価者の評価を取り入れる
・優秀なマネージャーは権力動機(ポジティブな影響を与えたい)が強い
・権力動機が強くても自己抑制が強ければ、組織にはプラスに働く
モチベーション理論の歴史を一冊で眺めることができるので、
動機づけの理論的な理解を深めたい人におすすめです。
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