『勉強の哲学』は深い勉強(ラディカルラーニング)をするための理論と実践を解説した本です。
勉強は単に新しいスキルや知識を身につけることではなく、
これまでの自分がいた環境から新しい環境に移ること。
そして、自分が適応していた環境から少し自由になることです。
これから大学で勉強する学生や哲学など新しい分野を勉強したい社会人、「そもそも勉強する意味ってなんだっけ?」と思った人におすすめです。
★『勉強の哲学』の要約ポイント★
・勉強とは自由になるための自己破壊である
・ボケとツッコミで環境から逸脱する
・情報の比較をし続けている=勉強し続けている他者から学ぶ
同調圧力が強いといわれる日本で、
「ちょっと変だと思われても自由になりたい」、
「自分の望む自分でいたい」と思う人には刺さる内容ではないでしょうか。
この記事では『勉強の哲学』の要約まとめを紹介します。
目次
要約①:勉強とは自由になるための自己破壊である
勉強とは自分が適応している環境から飛び出すことであり、
自由になるためにこれまでの自分を破壊・喪失することです。
勉強をすると次のような変化が起こります。
勉強する⇒ノリが悪くなる⇒新しいノリを獲得する
ノリとは、特定の環境で暗黙のうちに成り立っている空気感のようなもの。
友だちとのノリ、職場でのノリなどです。
人間はだれもが環境の中でノリを合わせています。
ノリの中から逸脱しないように気を付けて生きているところを、
勉強によって新しい世界のノリを獲得することで自己を変えることができます。
ノリを変えるときには、ノリから逸脱する居心地の悪さを通過しなければなりません。
空気が読めなくなる、小賢しくなるのが勉強することの弊害です。
要約②:ボケとツッコミで環境から逸脱する
勉強する第一歩は、自分が所属しているノリに意識的になることです。
人間は世界を言語というフィルターを通してみています。
環境で当たり前に使われている言葉を批判的に見たり、別の角度から眺めたりしてみましょう。
ボケ(ユーモア) :別の角度から物事を見る
ツッコミ(アイロニー):言葉の前提を疑う
自分がいる環境をメタ的に眺めて、あえていつも通りの言葉の使い方を外してみる。
それはつまりノリが悪くなることですが、新しい可能性を創造することでもあります。
また、新しい分野を勉強するときは新しい言葉を覚えて使わなければなりません。
わざわざ使っている感という居心地の悪さがあるかもしれませんが、
新しい言葉を自然と使えるようになった=新しいノリを獲得=少し自由になったといえます。
ただ、ツッコミ続けると絶対の真理にたどり着くまで疑い続けることになります。
最終的には善悪や言葉の定義まで疑い続けてどこにもたどり着きません。
ボケ続けても延々と視点を変え続けて学びが深まらないでしょう。
人は選択肢が無限にあれば行動には移せないので、
どこかでボケやツッコミをやめ、学びの範囲を有限化する必要があります。
どこを学びの範囲とするかは個人の享楽的なこだわり(バカな部分)で決めるそうです。
勉強することで自分の享楽的なこだわりも変化し続けます。
勉強するのはバカな部分がなくなることではなく、
自分の根っこが変わる=来るべきバカになること。
どうせなら変化し続けていろいろなノリを獲得したバカになりたいものです。
要約③:情報の比較をし続けている他者から学ぶ
実践編として、具体的な学び方も紹介されています。
まず、誰から・何から学ぶか、情報が本物か正しいかを見極めることが重要です。
誰から学ぶかは、情報の比較をし続けている=勉強し続けている他者から学びます。
知的な相互信頼の空間(学会、研究環境など)から評価されているかを
判断基準にすると良いそうです。
本の選び方もくわしく紹介されています。
・入門書は複数読んで比較する
・教科書は入門書の辞書的に使う
・基本書を読む
読み方のポイントは、自分の実感に引き付けないで読むこと。
自分のおよその理解で読むのではなく、文字通りに・その本の世界での位置づけ通りに読みます。
剽窃の予防にもなります。
ただ、自分の理解をまったく介さないで言葉を理解するのは難しいので、
最初は自分の言葉の理解を半分更新するようなつもりで読みましょう。
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まとめ:なんのために勉強するのかを深く理解したい人へ
・深い勉強(ラディカルラーニング)は自己破壊である
・勉強するとは自分が適応していた環境から新しい環境に移ること
・環境から逸脱するにはボケ(ユーモア)とツッコミ(アイロニー)を使う
・言語のフィルターに意識的になる
・勉強するときは誰から/何から学ぶかを適切に選ぶ
・本から学ぶときは自分の実感に引き付けずに読む
勉強するという行為がどういう意味を持つのか、を改めて考えられる本です。
哲学を学ぶ入門書としてもおすすめです。
理解が深まると思います。
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