過去を振り返るフィードバックはよく聞きますが、フィードフォワード?と思って手に取りました。フィードフォワードは、未来に目を向けるコーチングに近い関わり方です。
『いつも結果を出す部下に育てるフィードフォワード』は、1on1など人材育成の場面で関わり方に悩む人や対人支援の機会がある人におすすめの1冊です。
★ 『いつも結果を出す部下に育てるフィードフォワード』 の要約ポイント★
・フィードフォワードとフィードバックの違い
・フィードフォワードのテクニック
ー抽象度を上げる/ゴールを明確にする/エフィカシーを上げる
自分が部下の立場だったらたしかにこういう聞き方をされたら嬉しいし、子どもやメンバーが成長するだろうな、と感じました。
この記事では 『いつも結果を出す部下に育てるフィードフォワード』 の要約を紹介します。
目次
要約①:フィードフォワードとフィードバックの違い
フィードフォワードは未来に目を向ける関わり方、フィードバックは過去に目を向ける関わり方です。
フィードフォワード:望ましい未来は何か→これからどうするか
フィードバック :過去どうだったか→何が課題でどう改善するか
もちろん、良いところをフィードバックすることもありますが、一般的にフィードバックで思い出されるのはPDCAのCheck、振り返りの部分ではないでしょうか。
特にネガティブフィードバックでは、過去の失敗・良くなかった点を想起することになります。それに対してフィードフォワードは望ましい未来から始まるため、自然とそちらに向かいたい意欲が湧いてきます。
フィードフォワードの典型的な流れは次のとおりです。
<フィードフォワードの典型的な流れ>
最近どうですか?
⇓
これからどうしたいですか?
⇓
もっと先にはどうしたいですか?もう少し大きくしてみましょうか?
これからどうしたいですか?で望ましい未来を聞き、さらにその未来を現状で思いつくものから少し大きくしていきます。こうすることで、現状のままでは到達できそうにない未来に対する追加のエネルギーが生まれる、というのが認知科学的な考え方です。
要約②:フィードフォワードのテクニック
フィードフォワードのテクニックには次のようなものがあります。
・抽象度を上げる
・ゴールを明確にする
・エフィカシーを上げる
1つずつ紹介します。
抽象度を上げる
レシーバー(フィードフォワードを受ける人)によって、抽象度のレベルが違います。
たとえば、チワワ→犬→哺乳類→動物…というように、抽象度にはレベルがあります。どの抽象度でレシーバーが話しているのかを見極めて、1つ上のレベルでフィードフォワードしましょう。
視点の抽象度
自分→チーム→部門→他部門→会社→業界→社会…
自分のことしか考えられていない人には、視点を上げるような質問をします。たとえば、「相手の立場だったら…」「チームの視点で考えると、…」などです。
一気に抽象度を上げ過ぎると、考えられなくなるので、適切な抽象度の操作が重要です。レシーバーがピンと来ているか、前のめりで場に参加しているか等に目を配ります。
どんな問いかけをしてもピンと来ていない、というときもあるかもしれません。それでも、レシーバーが未来に意識を向けると信じて待つことが大切。待てるという自信、レシーバーに貢献できるという自信があれば、どんと待つことができます。
コーチングや対話の場では、相手の対話スキルだけでなく、プレゼンス(存在感)が影響すると聞いたことがあります。自信や経験値がにじみ出るのでしょうね。日々、経験値を積む(対話の場以外の人生経験でも)重要さを感じました。
ゴールを明確にする
ゴールが現状の内側だと、モチベーションは生まれません。モチベーションがなくても達成できてしまうからです。ゴールは現状の外側に設定します。そのための質問が、「もっと先にはどうしたいですか?」や「もう少し大きくしてみましょうか?」です。
ただ、ゴールをやみくもに大きくすればよいというわけではありません。大きくした後に、それは本当にやりたいか?臨場感があるか?を確認します。大きくしたけど別にそれはやりたいことではなかったら、本末転倒です。
臨場感を得るには、そのゴールを体験しに行きます。試せることなら試してみる、達成した人に話を聞きに行くなど、ありありとゴールをイメージできるか確認します。ゴールを達成したときにはどこで何を着ていて、誰が周りにいて、どんな気分で、何が聞こえて、どんなことをしているか等、詳細にイメージできればばっちりです。
エフィカシーを上げる
エフィカシーとは自己効力感のことで、「自分ならできる」という確信度のことです。エフィカシーが低いと、ゴールに向かうブレーキになってしまいます。
もし何かに気後れする自分がいるなら、そのモノサシにとらわれています。
・お金持ちの人に気後れする→お金というモノサシにとらわれている
・スタイルの良い人に気後れする→容姿や体型というモノサシにとらわれている など
自分が気にしていないモノサシでは、たとえ明らかに劣っていても気後れしません。
たとえば、筋肉ムキムキのプロレスラーを見て、「それに比べてわたしはなんて貧弱なのかしら」と落ち込まないです(人によっては落ち込むかもしれませんが)。少なくともわたしは、筋肉というモノサシに捉われていません。
でも、おしゃれな人を見たときに、「わたしも身なりにもっと気をつかわないとな~」とは思ったりします。おしゃれというモノサシには少しとらわれているのかもしれませんね。
お金や役職などの社会的地位、能力は他人と比べやすいので要注意です。他人との比較は無意味、モノサシを手放して、自分に集中しましょう。
自己効力感を高めるには、否定的なセルフトーク(自分の内側での会話)に目を向け、より未来志向なセルフトークに変えるのが有効です。
セルフトークの転換例
・また失敗した→次はどうする?
・できるだろうか→きっとできる
・もうだめだ→これからどうするか? など
よくコーチングでは、「そのとき、どんな心の声がする?」などと聞きます。セルフトークに気づくのに効果的です。気づかないと変えられないですから。
そういう自分も、ネガティブなセルフトークが出るときもあります。そんなときはまずネガティブになっていた自分に気づき、そういう気持ちにもなるよね~と受容し、もっと良い感じのセルフトークはないかな?と考えています。
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