『君たちはどう生きるか』は、中学生のコペル君の物語を通して、人間としてこの世に生きている意味や立派な人間とは何かを考えられる本。
コペル君はコペルニクスから取ったあだ名です。編集者のおじさんとの対話を通して、どう生きるかを悩み、考えていきます。
どう生きるかの結論は出てきません。それは自分で考えるしかない問いです。しかし、どう生きるかを考える材料を教えてくれます。
★ 『君たちはどう生きるか』 の要約ポイント★
・一人ひとり集まって社会全体をつくっている
・君は何を生み出しているか
・人間らしい苦痛とは
この記事では 『君たちはどう生きるか』 の要約を紹介します。
目次
『君たちはどう生きるか』のあらすじ
中学生の本田潤一くんの近くに、編集者のおじさんが引っ越してきました。おじさんとデパートの屋上に行ってたくさんの人を見降ろしたとき、最近習った分子と重ねて「人間は分子かもしれない」とつぶやきます。おじさんはそれは地動説を発見したコペルニクスくらい大きな発見だとして、コペル君というあだなをつけます。
コペル君のクラスには、貧乏だからいじめられている浦川くんというクラスメイトがいます。浦川くんがいじめられているとき、コペル君の友だちが立ち上がり、いじめに抵抗します。
いじめっ子が上級生に言いつけ、浦川くんをかばった子たちは上級生に目を付けられてしまいます。上級生が来たときにはみんなで浦川くんを守ると約束したコペルくんですが、いざというとき自分だけ逃げてしまいます。そのことに苦しんでいるとき、おじさんがコペルくんのために書き始めたノートを渡され、読み始めます。
要約①:一人ひとり集まって社会全体をつくっている
コペルくんが「人間は分子かもしれない」とつぶやいたときに感じていたことは、人間一人ひとり集まって世の中をつくり、世の中に動かされて生きているということです。
人間は社会のなかに生きていて、社会から独立して生きることはできません。しかし、人間には自分を中心に考えてしまう性質があります。
地球を中心に天が動いているという天動説から、地球が動いているという地動説を唱えたコペルニクスになぞらえて、おじさんはコペルくんというあだ名をつけます。
自分を中心に世の中が動いているという考えから抜け出し、自分を広い世界の一分子と感じたのはコペルニクス的転回です。
その後、コペルくんは家で粉ミルクの缶を見たとき、望むと望まざるとにかかわらず、人間は多くの人間とつながっていることに気が付きます。
(例)粉ミルクが家にくるまで関わっている人
牛の世話をする人、乳を搾る人、工場に運ぶ人、工場で加工する人、工場から船に運ぶ人、船で働く人、船からお店に運ぶ人、お店の人 など
船をつくった人、お店を建てた人、運ぶための自動車をつくる人、詰めるための缶をつくる人なども含めると、粉ミルク一つで信じられないくらい多くの人とつながっていることがわかります。しかし、実際にコペルくんが知っているのはお店の人だけです。
このような関係を生産関係と言います。
生産関係:生活に必要なものを得るために、たくさんの人間がかかわっている
人間は見ず知らずの人とつながっています。だから、自分を中心に、自分だけのことを考える生き方は間違いだ、ということに気づきます。
要約②:君は何を生み出しているか
生産関係でつながっていることは、まだ人間らしい関係とは言えません。おじさんは次のように言います。
人間が人間同志、お互いに、好意をつくし、それを喜びとしているほど美しいことは、ほかにありはしない。そして、それが本当に人間らしい人間関係だと、-コペル君、君はそう思わないかしら。
誰かが生み出しているからこそ、価値あるものを得ることができる。そのことに感謝や敬意を忘れてはならないし、得られることを当たり前に思ってはいけないとコペルくんは気付きます。
コペルくんの友だちの浦川くんは、学校を休んで豆腐屋を手伝い、油揚げを揚げています。浦川くんは生産する側の人、もう何かを生み出している人なのです。
子どもが何も生み出していないのは当たり前のことですが、浦川くんが貧しいからといって社会に価値を生み出している人を馬鹿にしたり下に見たりすることは間違っています。むしろ、もう価値を生み出していることに敬意を払うべきです。
僕たちも、人間であるからには、たとえ貧しくともそのために自分をつまらない人間と考えたりしないように、-また、たとえ豊かな暮らしをしたからといって、それで自分を何か偉いもののように考えたりしないように、いつでも、自分の人間としての値打ちにしっかりと目をつけて生きてゆかなければいけない。
学問や文明の成果がだれにでも与えられているわけではありません。学校に通えること、勉強に集中できる時間があること、それは当たり前ではないのです。
「君は何を生み出しているか」と聞かれたとき、なんと答えるか。人間としてこの世に生きている意味は自分で考えるしかありません。
しかし、自分が消費するものよりも、もっと多くのものを生産して世の中に送り出している人と、何も生産しないで、ただ消費ばかりしている人間と、どっちが立派な人間か、どっちが大切な人間か、-こう尋ねてみたら、それは問題にならないじゃあないか。
生み出してくれる人がなかったら、それを味わったり楽しんだりして消費することはできやしない。生み出す働きこそ、人間を人間らしくしてくれるのだ。
要約③:人間らしい苦痛とは
上級生が来たときにはみんなで浦川くんを守ると約束したコペルくんですが、いざというとき自分だけ逃げてしまいました。そのことにコペルくんは苦しんで学校を休んでしまいます。
苦しみや辛さは避けたいものですが、人間が本来どういうものであるべきかを教えてくれるものでもあります。
本来こうあるべきだったのにできなかったから苦しかったり辛かったりするのです。コペルくんも、本当は上級生から浦川くんを守るために勇気を出すべきだと思っているから、今苦しんでいると言えます。
人間らしい苦痛とは、”同義に照らして自分が取り返しのつかない過ちを犯してしまったという意識”です。自分はそうではない行動を選ぶことができた、自分で決められたと思うから苦痛を感じます。
自分の過ちを認めることはつらい。しかし過ちをつらく感じるということの中に、人間の立派さもあるんだ。
過ちを忘れなければ、その経験が背中を押してくれる力になります。同じような過ちをしない、次は選びたいほうを選ぶ、という力を与えてくれます。
苦痛は心が痛みますが、心が動いたことを真正面に見つめ、何が心を動かしたのかを考え抜くことで、どう生きるかの答えに近づいていくのです。
肝心なことは、世間の目よりも何よりも、君自身がまず、人間の立派さがどこにあるか、それを本当に君の魂で知ることだ。
そうして、心底から、立派な人間になりたいという気持ちを起こすことだ。
『君たちはどう生きるか』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『君たちはどう生きるか』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
中学生にもう1冊おすすめするならこれかな!と思います。
アイルランド人の父と日本人の母を持つ「ぼく」の、イギリスでの中学校生活を描いたエッセイです。
多様性はなぜ必要なのか、アイデンティティと差別はどう関係しているのか、どうしたら異なる他者を理解してみようと思えるのか等を考えられます。
参考記事:『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の感想まとめ:多様性とアイデンティティ
②『命綱なしで飛べ』
カッコ悪い姿をさらしてもいいから望ましいことに挑戦する=命綱なしで飛ぶことで、殻を破って成長できるという内容です。
今まで成果を上げてきた人ほど、今までのやり方で生産性を下げないように乗り越えようとします。つまり、変化しないで済まそうとするのです。
成長したいなら、かっこ悪いことでも取り組む勇気を持ちましょう。
参考記事:『命綱なしで飛べ』の要約まとめ:かっこ悪くてもいいから望ましいことをする
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