『バカと無知』の要約まとめ:バカは自分でバカだと気づけない

『バカと無知』の要約まとめ:バカは自分でバカだと気づけない

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『バカと無知』は、人間に本能的にプログラムされた不都合な習性を明らかにする本。

 

著者は『言ってはいけない』などで知られる橘玲さんです。

この本も言ってはいけない部分、見たくない部分を明らかにしていく痛快さがありました。

正義や公正、能力の差について等、大っぴらに議論しにくい面白い事例や実験がたくさん紹介されています。

★ 『バカと無知』 の要約ポイント★

 

・公正な世界を夢見るほど生きづらい世の中になる

 

・バカは自分がバカだと気づかない

 

・賢い人がバカに引きずられる(平均効果)

バカは自分でバカだと気づかないので、「そうそう」と思っている読んでいる自分自身も理屈ではバカである可能性があります。バカをバカにしているようで、自分もその原則を免れないことにドキッとする本です。

この記事では 『バカと無知』 の要約を紹介します。

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要約①:公正な世界を夢見るほど生きづらい世の中になる

 

人間の脳が最優先するのは、幸せではなく生存です。

だから、ネガティブな情報に過剰に反応するネガティビティバイアスがあります。

このバイアスのせいで、受けた被害は大きく・与えた加害は小さく評価してしまいます。

近年の脳科学では、「(自分より下位の者と比べる)下方比較」では報酬を感じる脳の部位が、「(上位の者と比べる)上方比較」では損失を感じる脳の部位が活性化することがわかった。脳にとっては、「劣った者」は報酬で、「優れた者」は損失なのだ。

優れた者によって与えられた損失を補いたいけど、優れている=損失ということは自分が劣っていることの証明になってしまいますよね。そんなとき便利なのが、正義で正当化する方法です。

 

正義で正当化して優れた者を批判すれば、自分が劣っていることを隠して叩くことができます。

正義を振りかざすことは、スマホ1つで寝転がりながら楽しめる娯楽になっています。

 

人間は本質的に公正な世界を望みます。なぜなら、公正な世界でなければ安心して生きていけないからです。

公正世界理論:世界は公正でなければならない

公正な世界を望むこと自体は、良いことのように思えます。しかし、実際の世界は公正なことばかりではありません。

 

公正であるはずの世界が不公正であるとき、それは認知的不協和を引き起こします。

認知的不協和:自分の信念と事実が矛盾している状態

認知的不協和に陥ると人は不快感やストレスを感じるので、不協和を解消したいという欲求が生まれます。

そして、それが生きにくい世の中になるような現象の一部を引き起こしているのです。

・キャンセルカルチャー:問題を起こした人を社会的に排除する

 

・相補的認知:金持ちは悪者、貧しい人々はそれでも幸せに違いない

 

・犠牲者非難:被害者にも非があったのではないか

要約②:バカは自分がバカだと気づかない

 

『バカと無知』の中で著者は、”バカの問題は、自分がバカであることに気づいていないこと”と言いきっています。

 

これはダニング=クルーガー効果として有名です。

ダニング=クルーガー効果:最も能力がない人が自分の能力に最も自信を持つ

 

たとえば次のような実験結果があります。

・成績下位4分の1の実際の平均点数 12点

・成績下位4分の1の予想平均点数  68点

 

・成績上位4分の1の実際の平均点数 86点

・成績上位4分の1の予想平均点数  74点

成績が低い人は事前の予想点数を実際の5倍以上高く見積もり、成績が高い人は実際よりも控えめに見積もりました。

 

これはどちらも人間が集団生活の中で身につけた知恵です。

バカがバレるのはパートナーが見つからなかったり集団から追われたりするリスクがあるため、バカは隠さなくてはならない。

逆に、優秀であると目立ちすぎるのもリーダーから冷遇されるかもしれないからリスクである。

 

知らないことを知らないというのは自分を過大評価してしまうリスクがあるので、バカよりも無知(知らないことを知っている)ほうがマシというわけです。

 

特に、直感的に自分でもできそうだと思えることについては、過大評価が起こりやすい傾向があります。

1:実力と評価が同じ~0:実力と評価に相関関係がない

スポーツ 0.47/対人能力 0.17/管理能力 0.04

スポーツ(たとえばフリースローやバク転など)は、直感的にできなさそうだとわかるので実力と評価の乖離はあまり大きくありません。

しかし、コミュニケーションやマネジメントとなると、話すことや指示することは(質の差はあれど)できるので、実力と評価が乖離しやすくなります。

 

バカは過大評価し賢い人が過小評価した結果、なにが起きるかというと、賢い人がバカに引きずられるという問題です。

要約③:賢い人がバカに引きずられる(平均効果)

 

能力の高い人と低い人がいた場合、三人寄れば文殊の知恵(多くの人の意見を持ち寄ったら素晴らしいアイディアが出る)は通用するのでしょうか。

 

人為的に能力の高い人と低い人を作って、文殊の知恵が働くのかを検証した実験があります。

画像の見えやすさを調整して、画像がはっきり見える人(=能力が高い)と画像がぼんやりしか見えない人(=能力が低い)を作りました。

 

意見が分かれたとき、次の3通りでどの正答率が高いでしょうか。

①コイン投げのようにランダムに選ぶ

②能力の高い人の回答を採用する

③2人で話し合って決める

結果は、能力が高い人どうしなら文殊の知恵が働いて③が高くなりました。

しかし、能力が高い人と低い人の組み合わせでは、③より①のほうがマシという結果です。

賢い者がバカの過大評価に引きずられることを「平均効果」という。実験では、一方が他方の能力の40%を下回ると、話し合いの結果は優秀な個人の選択よりも悪くなった。

能力の高い人どうしで話し合うか、能力に差があるなら能力が高い人の判断に従うのが最適と言えます。

 

平均効果に陥らないためには、会話せずに確信度(どのくらい自信があるか)だけ伝えるのが有効です。

会話をすると、自尊心に影響を与えます。能力が低い人はそうと感じさせないように自信があるように振舞ってしまい、能力が高い人は自分の回答への自信が揺らいでしまうのです。

相手との会話で自分の能力を(無意識に)過大評価するのは、暴力から身を守るのと同じで、きわめて自然な反応だ。それに対して、会話なしの条件では自尊心は脅威にさらされないので、自信のなさを正直に伝え、より自信がある者に合わせることができるのだろう。ここからわかるのは、話し合いのときに、一部のメンバーの自尊心を脅かすと、決定の質が大きく下がることだ。なぜならそのメンバーは傷ついた自尊心を回復するためになりふりかまわなくなるから。

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『バカと無知』 の次に読むなら?おすすめの本3選

 

『バカと無知』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『失敗の科学』

 

失敗との向き合い方・失敗から学習する組織になるために必要なことがわかります。

失敗は学習や進歩の機会であり、失敗を活かすためにはフィードバックのシステムと率直にミスを認められる心理的安全性が重要です。

失敗を認められるなら、自分のバカにも気づくことができそうです。

参考記事:『失敗の科学』の要約まとめ:失敗から学習する組織になるには?

②『insight』

 

自己認識力が高い人は謙虚であり、バイアスに陥りにくいです。

自分で自分を知る内的自己認識と他人から見た自分を知る外的自己認識を高めるのがポイント!

参考記事:本『insight』の要約まとめ:自分を正しく知る自己認識(セルフ・アウェアネス)とは?

③『幸福の資本論』

 

橘玲さんの本。

幸福の条件を自由/自己実現/共同体=絆と定義し、その3つに対応した資本に基づいて幸せになる戦略を立てようという内容です。

自分はどの資本を増やせばよいか?が見直せます。

必ずしもお金だけあれば幸せではない、

自己実現や人とのつながりも大事だとわかります。

参考記事:『幸福の資本論』の要約まとめ:3つの資本を増やして幸せになる戦略がわかる

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まとめ:「バカかもしれない」という謙虚さを持とう

・人間の脳が最優先するのは幸せではなく生存

 

・「劣った者」は報酬で「優れた者」は損失。正義で正当化する。

 

・公正であるはずの世界が不公正であるとき認知的不協和が起こる

 

・バカの問題は、自分がバカであることに気づいていないこと

 

・バカは自分を過大評価し、賢い人は自分を過小評価するのが生存戦略

 

・バカと賢い人を混ぜるとバカに引きずられる(平均効果)

 

・会話をしなければ自尊心が守られるので引きずられない

単純にバカをバカにするのではなく、自分も「バカかもしれない」という謙虚さを忘れないことが重要だと感じました。

 

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