『ゆっくり、いそげ』の要約まとめ:人を手段化しない経済とは?

『ゆっくり、いそげ』の要約まとめ:人を手段化しない経済とは?

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『ゆっくり、いそげ』は、金銭換算しにくい価値を大切にするビジネスモデルの実践がわかる本です。

 

著者は外資系コンサル⇒ベンチャーキャピタルを経て、クルミドコーヒーというカフェをオープンしました。

資本主義ど真ん中からカフェへのふり幅がすごいですね。

カフェでの実践から、新しい経済活動の選択肢を提示してくれます。

★『ゆっくり、いそげ』の要約ポイント★

 

・特定多数経済で換金できない価値を大切にする

 

・お金はtakeするためのものではなく、giveされた感謝を示すもの

資本主義を完全否定しているわけではなく、資本主義のシステムの力で失われてしまう価値をどう大切にするかの試行錯誤がわかります。

お金・ビジネス・労働などの固定観念が揺さぶられる本でした。

この記事では『ゆっくり、いそげ』の要約を紹介します。

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要約①:特定多数経済で換金できない価値を大切にする

クルミドコーヒーは日本一のクルミの産地、長野県東御市から国産クルミを仕入れています。

 

国産クルミの価格は一キロ3000円

それに対して、カルフォルニア産クルミの価格は一キロ1000円です。

 

東御市では他愛もないおしゃべりをしながら手作業でクルミを収穫しています。

カルフォルニアではツリーシェイカーという巨大万力と巨大ドライヤーで効率よく収穫します。

 

国際競争力のある安い価格でクルミを提供できるように、

日本でも機械化して効率よい農業を目指すべきでしょうか?

 

本来、経済は手段であり、おしゃべりしながら収穫する和やかな時間のほうが目的であるはずです。

人が幸福感をもって日々を生きる、そのために経済がある。

そう考えると、農業の生産性を高めるために他の価値をすべて犠牲にしていいという話にはならない。

 

お金に替えられない価値を大切にするためには、特定多数経済がポイントです。

【特定多数経済】

・「私」と「あなた」の顔が見える関係

・お金に替えられない複雑な価値の交換が成り立つ集団

市場を介した不特定多数の経済では、普遍的な価値=お金が仲介する必要があります。

 

収穫ののどかな時間や手間暇に価値を感じる人もいれば感じない人もいると、

価値交換が成り立ちません。

 

現代は”コミュニティの時代”と言われますが、

価値観を共有する集団の中ではお金以外の価値をやり取りすることができます。

 

人によって解釈の異なる価値を大切にするには、価値を感じてくれる集団を形成するのが重要です。

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要約②:お金はgiveされた感謝を示すもの

人には消費者的な人格と受贈者的な人格が混在しており、

アプローチの仕方でどちらのスイッチが入るか変わります。

消費者的な人格:できるだけ少ないコストでできるだけ多く手に入れたい

 

受贈者的な人格:贈り物を受け取ったからもらったもの以上にお返ししたい

クルミドコーヒーではポイントカードや〇%オフのクーポン配布をしていません。

それは、お客様の消費者的な人格のスイッチを入れてしまう行為だから。

消費者的な人格にとってお金は、takeする(手に入れる)ために払うものです。

 

”払った以上のものを受け取った”という経験が、受贈者的な人格のスイッチを入れます。

受贈者的な人格では、お金はgiveされたときに感謝を示すものです。

性格の良し悪しではなく、出会い方・見せ方で変わります。

 

資本主義社会では、消費者的な人格のスイッチが至るところにあります。

 

普遍的な価値を持つお金に収れんしていくので、

望むと望まざるとにかかわらず、資本主義ではお金を増やす方向に強い力が働きます。

 

受贈者的な人格がお金を払うのは、健全な負債感があるからです。

負債というとネガティブに考えがちですが、感謝+お礼がしたいという思いを指します。

 

不等価交換から健全な負債感を持たせることで、giveの経済が回っていきます。

お客様をお金を払う存在として利用するのではなく、お客様を商品やサービスで支援することで相手の支援を引き出す関係をつくるのです。

 

また、従業員も同様に、利用するのではなく支援しあう関係性をつくることで、

人を手段化しない経済をつくりだすことができます。

 

自分が目の前の相手に、どう力になれるか。

「支援する」姿勢は一面において利他的な行為であることは事実である。ただそれは、「自分の利益を犠牲にする」ことと必ずしもイコールではない。「支援する」姿勢は、相手の「支援する」姿勢をも引き出すことで、多くの場合自身に返ってくる。

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『ゆっくり、いそげ』の次に読むなら?

 

『ゆっくり、いそげ』とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『プロセスエコノミー』

 

商品やサービスの物質的なクオリティが変わらなくなるにつれて、

人間理解や共感をベースに経験価値が選ばれるようになります。

 

レストランで完成した料理を食べるより、バーベキューで一緒につくりたい!

そんな時代の変化が感じられる1冊です。

参考記事:『プロセスエコノミー』の要約まとめ:自分のこだわりを持って共感する理由をつくる

②『ビジネスの未来ーエコノミーにヒューマニズムを取り戻す』

 

経済成長ありきの時代から、人間らしく生きる価値を創造する時代への変化がわかります。

資本主義の次の未来に興味がある人におすすめ。

参考記事:【要約まとめ】ビジネスの未来ーエコノミーにヒューマニズムを取り戻す

 

③『サイコロジーオブマネー』

 

お金とつきあうマインドがわかる本です。

自分の感情と行動をコントロールし、長期・安定的に資産形成するための心構えを知ることができます。

 

お金は何なのか、どういうつき合い方が良いのかを知りたい人におすすめです。

参考記事:『サイコロジー・オブ・マネー』の要約:お金持ちになるには感情のコントロールが大切

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まとめ:経済は手段、豊かな人生の時間が目的である

・お金に替えられない価値を感じられる特定多数経済をつくる

 

・不特定多数の経済では普遍的な価値=お金が強い

 

・クーポンやセールは消費者的な人格のスイッチを入れる

 

・受贈者的な人格にとって、お金は感謝を示すものである

 

・利用しあう関係より支援しあう関係をつくる

自分が何のために働くか、人生で何を大切にしたいかを考えさせられる本でした。

特にビーフシチューの話(人に仕事をつける話)がとても素敵です。

 

★今回紹介した本★

 

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