『逆転交渉術』は元FBIの交渉人が教える、感情に働きかける交渉テクニックがわかる本。
内容が実践的でとても役に立ちます。
合理的な問題解決を軸にした交渉術に限界を感じている人に特におすすめです。
理性の前に感情に働きかけて共感を作り出すテクニックがわかります。
★『逆転交渉術』の交渉テクニックまとめ★
・ミラーリング
・戦術的共感
・まずNOを引き出す
・狙いを定めた質問
ビジネス書だと忘れるくらいハラハラしながら楽しく読めます。
翻訳が読みにくいとのレビューもありますが、私は特に感じませんでした。
『逆転交渉術』の要約として交渉テクニックをまとめました。
目次
逆転交渉術①:ミラーリング
利害が対立する相手との交渉では、自分の立場を守る意見でお互い頭がいっぱいになりがちです。
目の前の相手と話しているようで、お互いに頭の中の自分と会話している状態に陥ります。
相手に安全だと感じて武装を解いてもらうには、相手の話を全力で聞くアクティブ・リスニングが重要です。
自分の頭のなかの声と相手の頭のなかの声を一度で黙らせるには、強力な方法がひとつある。
たったの一手で、双方の頭のなかの分裂状態を解消できるのだ。自分の意見を優先させるのではなくーそれどころか、はじめの段階で自分が何を言おうかと思いめぐらすこともせずー自分の唯一にして最大の集中力を、相手と相手が言わんとしていることに向けるのである。
アクティブ・リスニングの基本テクニックがミラーリングです。
ミラーリング:相手の言葉を繰り返す
相手の言葉を繰り返すことで、”あなたとわたしは似ている”とほのめかすことができます。
ミラーリングを行うと、相手はくわしく言い直すなど関係をつくる行為を続けることになります。
ミラーリングのポイントは、敬意と好奇心を表すことです。
「わたしが理解するのを助けてほしい」、「ぜひあなたの話を理解したい」という気持ちを相手に伝えましょう。
注意すべきポイントは、ミラーリングのあとにすぐ言葉を継いでしまうこと。
ミラーリングの効果が浸透するまで、沈黙を恐れずに待ちましょう。
逆転交渉術②:戦術的共感
戦術的共感もアクティブ・リスニングのテクニックの1つです。
戦術的共感とは、その瞬間の相手の感情やものの見方を理解し、またそうした感情の裏にも耳を傾けて、その後はどんな瞬間においてもこちらの影響力を増大させることである。このことにより、ひとつの合意に至るまでの感情的な障壁とたどれそうな道筋との両方に、目を向けることができる。
相手の言葉や表情から受け取った感情を言語化(=ラベリング)して伝えます。
特にネガティブな感情であるほど、ラベリングして表現するのが効果的です。
恐怖や不安をそのままにしておくと扁桃体ハイジャックが起きやすくなり、
感情がコントロールできずに会話が成立しなくなります。
扁桃体は怒りや不安などマイナスな感情に反応しやすい脳の部位です。
扁桃体が活性化して脳全体がハイジャックされた状態になると、
感情のコントロールが効かなくなり、理性的・合理的な判断ができなくなります。
戦術的共感は、具体的には次のように表現します。
・~のようだね
・~のように聞こえるね
1つ目の注意点は、主語に「わたしは~」と付けないこと。
「わたしは~」とつけると相手の警戒心が増します。
2つ目の注意点は、ミラーリングと同じく沈黙すること。
ラベリングの後に沈黙することで、相手にもっと自分をさらけ出すように促すことができます。
逆転交渉術③:まずNOを引き出す
交渉で相手にNOと言われたら、それは交渉がうまくいっていない証拠だと思いませんか?
しかし、『逆転交渉術』を読んで、NOに対するイメージが変わりました。
「ノー」は交渉の起点であって、終点ではない。わたしたちは「ノー」という語を恐れるように条件付けされている。だが、「ノー」は事実の陳述というより感覚の陳述である場合のほうがはるかに多い。また、”すべての事実について検討し、合理的な選択をした”という意味であることはめったにない。(中略)変化は怖いが、「ノー」はその怖さから多少は守ってくれる。
つまり、NOは相手の感情や望むものを明らかにする出発点であり、最終通告ではないということ。
相手にNOという権利を明確に与えることで、相手は安心して理性的に提案を検討することができます。
相手にNOと言わせない戦略は逆効果です。
ウォーターサーバーの営業マン「おいしい水が飲みたいですか?」
顧客「はい…」
顧客の心理としては、営業は受けたくないけどあからさまな嘘はつきたくない。
だからYESというしかないのですが、このYESはなんの意味もありません。
むしろ営業マンを嫌いになるYESです。
逆転交渉術④:狙いを定めた質問
狙いを定めた質問とは、相手から解決策を引き出すテクニック。
オープンクエスチョンで相手に主導権を持っていると錯覚させながら、貸しを作らずに要求を伝えます。
オープンクエスチョン:どうしたら、何がなど疑問詞を使った質問
クローズドクエスチョン:AかBか?など選択回答式の質問
狙いを定めた質問を投げかけられた相手は、答えを考えるために立ち止まり、どうしたら解決できるかに目を向けるでしょう。
具体的には次のような質問例があります。
・どのように事を進めたいですか?
・どうしたらそんなことができるのでしょうか?
・この問題をどうしたら解決できるでしょうか? など
「なぜ~?」は、相手を責めているニュアンスがあるので使いません。
先に述べたように、交渉で優位に立つ秘訣は、相手が主導権を握っていると錯覚させることである。だからこそ、狙いを定めた質問は巧妙なのだ。この質問は、相手に自分が責任を負っているように感じさせるが、実際には会話の枠組みを決めているのはあたなのほうだ。相手はあなたの質問によってどれだけ制約を受けているか、まったく気づかないだろう。
『逆転交渉術』の次に読むなら?おすすめ本3選
『逆転交渉術』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『なぜあの人が話すと納得してしまうのか』
相手と協力関係を築いて最大限の価値を築く交渉、バリュークリエイト交渉術がわかる本。
どうやって対立を解消していくかがとても参考になる本です。
参考記事:『なぜあの人が話すと納得してしまうのか』の要約まとめ:バリュークリエイト交渉術とは?
②『異質な力を引き出す対立のススメ』
コンフリクト(対立)マネジメントがわかる本です。
コンフリクトを価値創造に活かす発想が共通しています。
日常で起こるコンフリクトの具体的な解決事例がわかりやすいです。
参考記事:コンフリクトマネジメントがわかる本:『異質な力を引き出す対立のススメ』の要約
③『お金と心を動かす会話術』
営業はお客様の問題解決と願望実現をする仕事と定義し、
お客様の感情を読み取りながら営業を進める会話術がわかります。
セールスレターだけでなく、対面の伝え方も知りたい人におすすめです。
トップ営業マンのトーク術をまるっと学べます。
参考記事:『お金と心を動かす会話術』の要約まとめ:営業トークの流れとコツの模範解答
まとめ:逆転交渉術で感情を動かす交渉ができる
・理性の前にまず感情に訴えかける
・相手の武装を解くにはまず全力で話を聞く
・敬意と好奇心を持って相手の言葉を繰り返す(ミラーリング)
・相手の感情を言語化して伝える(~のようだね)
・NOは相手の感情や望むものを明らかにする出発点
・狙いを定めた質問で相手に解決策を考えさせる
経営者が教える交渉術とは一味違って、とても面白かったです。
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