『隷属なき道』は、AIやロボットが進化する中で、人々が幸せに生きるユートピアを思い描く方法を提示している本です。
具体的な提言は3つあります。
・ベーシックインカム(制約のないお金)を全員に配ること
・労働時間を短縮すること
・国境を開放して自由に人が移動できるようにすること
特にベーシックインカムで貧困を解決すると、
社会全体に大きなメリットがあることがわかります。
物質的に豊かになった社会で、人間がより良く生きられる世界を考えられる本です。
★『隷属なき道』の要約ポイント★
・ベーシックインカムは貧困を効率的に解決する
・くだらない仕事の労力を富の創造に向ける
・国境を開放すれば世界の総生産は67%以上増える
ベーシックインカムの効果を知りたい人におすすめです。
この記事では『隷属なき道』の要約まとめを紹介します。
目次
要約①:ベーシックインカムは貧困を効率的に解決する
ベーシックインカムは、使用条件などの制約がない自由なお金を一律全員に配ることです。
貧困はお金がない状態なので、お金を配ればいいというシンプルな解決策。
しかし、次のような批判・疑問を投げかける人が多いです。
・貧困層にお金を渡してもムダに使うだけではないか
・全員にお金を配るほど財源があるのか
『隷属なき道』で紹介されている実験例の結論は、
・貧困層にお金を渡すと貧困状態から脱するために賢明な使い方をする
・監視や審査、手続きに使うコストがなくなるのでコスパがよくなる
というもの。
たとえば、13人のホームレスに3000ポンドのお金を使用条件なしに配った実験では、
年40万ポンドの管理コストが年5万ポンドに節約でき、7人が屋根のある生活に変わりました。
管理コストとは、警備や清掃などの行政にかかるコストです。
日本の社会保障でも、申請手続きや不正受給していないかという調査など、行政の人件費がかかっています。
このような手続きを一切省いて、一律全員に同じ金額を渡せば、トータルのコストは安く済みます。
所得で線引きしてしまうと対象の人と対象外の人で分断が起きますが、
全員が恩恵を受けるなら誰も反対せず運用できるはずです。
貧困はさまざまなデメリットがあります。
・IQが13ポイント下がる
・短期的な視点しか持てなくなる(愚かな判断をしやすい)
・精神的な問題を抱えやすくなる など
貧困だから短期的なやりくりで頭の処理能力がいっぱいになり、
長期的に見れば愚かな判断をしてしまうのです。
貧困を解決することで福祉にかかる費用が抑えられ、
貧困から脱した人が消費者・納税者になることで社会全体にプラスになります。
経済格差・不平等を解決するのは、貧困層のためだけではありません。
不平等が大きくなればなるほど、裕福な層の幸福度も下がります。
社会の幸福の総和を大きくするためには貧困を解決するのが近道であり、
最も効果が期待できるのがベーシックインカムです。
要約②:くだらない仕事の労力を富の創造に向ける
仕事の中には、富を創造する仕事と富を移転する仕事があります。
現代では富を創造する仕事よりも富を移転する仕事のほうがお金が稼ぎやすいため、
富を移転する仕事に有能な人が偏り、社会の発展が遅れているそうです。
富を創造する仕事:教育、看護、清掃など生活に欠かせない仕事
富を移転する仕事:銀行、トレーダーなどなくても構わない仕事
ニューヨークのごみ清掃員がストライキをしたときは9日しか耐えられなかったのに対し、
アイルランドの銀行が半年間ストライキしても大した影響はありませんでした。
富を移転する仕事には高い税金をかけ、富を創造する仕事を正当に評価することで富を創造する仕事に就く人が増える、と提言しています。
要約③:国境を開放すれば世界の総生産は67%以上増える
物やサービス、情報は世界中を自由に行き交っているのに、労働力は国境に阻まれたままです。
国境を開放すると、世界の総生産は67%以上増えると試算されています。
国境を開放する、というのは、
移民や難民の受け入れ率が低い日本人にとってはハードルが高いですよね。
たとえば、次のような不安が思い浮かぶのではないでしょうか。
・テロリストの入国を許してしまうのでは?
・治安が悪くなる、犯罪率が上がるのでは?
・日本人の雇用が奪われるのでは?
テロリストはたしかに入国しやすくなるかもしれませんが、
経済的に安定すれば過激思想を持ちづらくなる効果もあります。
豊かな国が富を独占したままでテロをなくすことはできないと思います。
治安が悪くなる、犯罪率が上がるのはイメージが先行しており、
根拠となるデータはないそうです。
犯罪率が上がるのは、貧困・失業・差別と相関関係があり、
移民が貧困・失業・差別に陥りやすい社会を変える必要があります。
また、雇用が奪われる心配は、移民労働者が消費者にもなることを無視しています。
国境を閉じておくメリットはどのくらいあるのでしょうか。
根拠なくネガティブなイメージを持っていないでしょうか。
現代社会は、中世で描かれたユートピアの世界です。
しかし、ユートピアのはずなのにそんなに幸せではなく、
さらにこれ以上幸せな世界を思い描くことができない状態が閉塞感を生んでいます。
ベーシックインカムで貧困をなくし、労働時間を短縮して稼ぐことよりより良く生きること、
国境を開いて社会全体で幸福になることを考えるタイミングではないでしょうか。
『隷属なき道』の次に読むなら?おすすめ本3選
『隷属なき道』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『Humankind 希望の歴史』
こちらもルドガー・ブレグマンさんの著作。
『Humankind 希望の歴史』は性善説をベースにした世界がテーマです。
人間のポジティブな面を見る大切さを教えてくれます。
参考記事:『Humankind 希望の歴史』の要約と感想:人の本質は善であると信じられる本
②『実力も運のうち』
自由主義の限界、平等や道徳に興味がある方は、
マイケル・サンデル教授の『実力も運のうち』もおすすめです。
貧困かどうかは生まれる場所と時代、遺伝子の影響が大きいので、
自己責任にするのは優しくない世界だとわかります。
関連記事:【要約】実力も運のうちー能力主義は正義か?ー能力主義のデメリットとは?
③『21Lessons』
現代とはどういう時代で人類はどういう課題に直面しているのかがテーマの本。
『隷属なき道』では”現代はユートピアが思い描けない”と表現されていますが、自由主義という物語が信じられなくなっている現代で、どういった価値観が選ばれるのか考えさせられます。
参考記事:21Lessonsの要約&目次紹介!21世紀の課題と瞑想で自分を観察する意味【感想】
まとめ:社会全体の幸福を増やすためにお金を配ろう
・ベーシックインカムで貧困は効率よく根絶できる
・貧困層にお金を渡すと自分の人生をよくするために賢明な使い方をする
・愚かだから貧困なのではなく、貧困が愚かな判断をさせる
・富を移転させる仕事より富を創造する仕事を高く評価する
・国境を開放すれば世界の総生産は67%以上増える
・国境を開放するデメリットをデータを元に冷静に考えてみる
格差が広がった社会は、格差の上にいる人にとっても不幸です。
いつ転落するかわからない不安、妬みを受ける負担がのしかかり、格差は誰も幸せにしないでしょう。
格差をなくすために裕福な層から奪う必要はなく、手続きや管理コストをフリーマネーの財源に充てればよいというシンプルな解決策があります。
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