『読みたいことを、書けばいい 』は、なぜ文章を書くのかに向き合える本。
著者は電通でコピーライターをしていた方ですが、文章術のテクニック本ではなくて文章にまつわるエッセイのような雰囲気でした。
他人の評価は気にせず読みたいことを書けばいい、という励ましでもあり、成功するためや承認欲求を満たすために書いている限り価値のある文章は書けないよ、という戒めにも感じます。
★ 『読みたいことを、書けばいい 』 の要約ポイント★
・自分が読みたいから自分のために書く
・事実を調べるのがライターの仕事
・自分が愛した部分を全力で伝える
この記事では 『読みたいことを、書けばいい 』 の要約を紹介します。
目次
要約①:自分が読みたいから自分のために書く
文章を書く理由は、自分が読みたいから・自分が楽しいから、ただそれだけで十分。
特定のターゲットに向けて書いたとしても、自分が読んでおもしろくないなら、ターゲットの人が読んでもきっとおもしろくないでしょう。
どこかで誰かが書いていることを再生産する必要はありません。「わたしが言いたいことを誰も書いていない。それならわたしが自分で書くしかない」が、読みたいものを書く出発点です。
ネットの文章は9割が随筆であり、本書の随筆の定義は次のとおりです。
随筆の定義:”事実と心象が交わるところに生まれる文章”
事実だけの文章はルポや報道、心象だけの文章は小説などのフィクションになります。
誰かが過去に書いたことを事実として調べ、誰も書いていないなら書き手になって書いてみる。
もし誰かが自分の言いたいことを書いていたのなら、読み手のままでいれば良いのです。
要約②:事実を調べるのがライターの仕事
著者いわく、つまらない人間は自分の内面を語る人だそうです。
つまらない人間とはなにか。それは自分の内面を語る人である。
少しでもおもしろく感じる人というのは、その人の外部にあることを語っているのである。
ライターの仕事は99%以上が調べること。事実の強度があってこそ、おもしろい文章になります。書き手の意見はほんの少し、でもその少しを伝えるために事実を調べることが必要です。
つまり、ライターの考えなど全体の1%以下でよいし、その1%以下を伝えるためにあとの99%以上が要る。
著者は、図書館で調べる、司書さんに聞く等、一次情報にあたる重要性を強調しています。
一次情報にあたることで、巨人の肩に乗る=過去の賢人たちが積み上げたものの上に乗ることができ、そこから一歩でも進歩させることができるのです。
要約③:自分が愛した部分を全力で伝える
事実を調べることは、自分が愛せるところを探すためでもあります。自分が愛した部分を全力で伝えましょう。
どこが愛するポイントなのか、その結論に至った過程を示します。
結論の重さは過程に支えられる。これこそ、文章が持つ力の根源でもある。
結論が伝わるかどうかは、過程に共感してくれるかどうかにかかっています。
愛せる部分が見つからなかったときは、「よくわからない」という結論に至った理由を書くことになります。そのとき忘れてはいけないのは敬意です。
事象に触れて生じる心象が随筆だと繰り返し述べてきた。その事象は常にあなたの外部にある。自分の外にある「外部」の存在に敬意を払わなければ、あなたもあなたの外部から敬意を払われない。
書く形式は起承転結をおすすめしています。
起:発見 なにがあったか
承:帰納 なにが言えるか
転:演繹 その意味はなにか
結:詠嘆 感想や提言
著者は自分が読みたいことを書くことで世界が広がった、と言います。最初から「世界を広げたい」「自分の書いた文章が認められたい」と思うと、他人の評価を気にしておもしろい文章が書けません。
自分が読みたいけど誰も書いていない狭い世界を書くことで、結果的に世界が広がる、という順番のようです。
だが、文章を書いて人に見せるたびに、「それは誰かの役に立つか?いままでになかったものか?」と考え抜けば、価値のある意見には、必ず値段がつく。
ぜひ読んでみてくださいね。
『読みたいことを、書けばいい 』 の次に読むなら?
『読みたいことを、書けばいい 』 とあわせて読みたい本を紹介します。
①『バズる文章教室』
たくさんの著者を取り上げて、この人の文はここが良い!と語る本。
純粋に文章の楽しさを感じたい、新しい著者を発掘したい人におすすめです。
参考記事:『バズる文章教室』のまとめと感想:文章でみんなに楽しんでもらうには?
②『書くのがしんどい』
文章が書くのがしんどくなったときにおすすめ。
書くのがしんどい理由に対して、書くことのハードルを下げてくれます。
参考記事:『書くのがしんどい』の要約まとめ:書けないのはスキルではなくメンタル!
★今回紹介した本★
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