『答えを急がない勇気』は、ネガティヴ・ケイパビリティの鍛え方がわかる本。
ネガティヴ・ケイパビリティとは”わからなさの中にとどまり続ける能力”です。
迅速に問題解決をするポジティブ・ケイパビリティが重視されがちですが、ネガティヴ・ケイパビリティも同じくらい重要であり、深い理解や創造性の源泉となり得ます。
★ 『答えを急がない勇気』 の要約ポイント★
・ネガティヴ・ケイパビリティでわからない領域に対峙する
・ネガティヴ・ケイパビリティの高め方
・ネガティヴ・ケイパビリティを発揮するリーダーとは
この記事では 『答えを急がない勇気』 の要約を紹介します。
目次
要約①:ネガティヴ・ケイパビリティでわからない領域に対峙する
ネガティヴ・ケイパビリティに決まった定義はありませんが、本書での表現をいくつか紹介します。
<ネガティヴ・ケイパビリティ>
・不確実性を許容する高度な能力
・わからなさの中にとどまり続ける能力
・意思と目的を持ってそこでは結論を出さないでおくこと
西洋ではそこに留まるというニュアンス、東洋では何にも捉われないというニュアンスの違いがあるようです。
ネガティヴ・ケイパビリティの対義語はポジティブ・ケイパビリティであり、迅速に問題を解決する能力と言えます。
つまり、ネガティヴ・ケイパビリティは”しないでおく能力”、ポジティブ・ケイパビリティは”何かをする能力”であり、ポジティブ・ケイパビリティのほうがわかりやすいです。
ネガティヴ・ケイパビリティがあればわからない領域に対峙することができ、そこで得た深い理解や洞察をわかっている領域で発揮するのがポジティブ・ケイパビリティです。
だから、ネガティヴ・ケイパビリティもポジティブ・ケイパビリティもどちらも重要であり、優劣はありません。ただ現代ではわかりやすさや速さが価値になりやすいので、ポジティブ・ケイパビリティが偏重されています。
そうした「わかっていること」の領域と「わかっていないこと」の領域の狭間(エッジ)で、そのせめぎ合うところを辛抱強く吟味していく中でこそ、新しい可能性の道が見つかり、新たな学びが得られるのです。
著者は、器の大きさ=ネガティヴ・ケイパビリティの大きさではないかと述べています。
器が大きい人:いろいろな状況や人の感情を受け容れられる
器が小さい人:あいまいさや自分の意図と異なることに耐えられない
要約②:ネガティヴ・ケイパビリティの高め方
『答えを急がない勇気』には、ネガティヴ・ケイパビリティの高め方・鍛え方のヒントがたくさん載っています。
まずはマインドセットとして、自分は完璧ではないことを認めましょう。
ネガティヴ・ケイパビリティのマインドセット
・自分にはわからないことがあると認める
・自分の考えはつねに進化し続けるもの(変わってもいい)
・自分の思いこみを疑ってみる
美術・文学・演劇などに親しむと、ネガティヴ・ケイパビリティの鍛えることができます。
完全にわかろうとしたり、解説を読もうとしたりしてはいけません。わからない世界にわからないまま浸るのが大切です。
「推論のはしご」をゆっくり上り下りすることを心がけるのも効果的。
ネガティヴ・ケイパビリティが弱いときは推論のはしごを一気に駆け上がっていき、観察した事象に対してすぐに結論にたどりつきます。
たとえば、”Aさんが遅刻した”という事実を観察して、”Aさんはやる気がないに違いない”と結論付けてしまうのは早計です。
ゆっくりと推論のはしごを上がって、自分がどんな事実を選択して、どんな解釈をした結果、どういう仮説をたてて結論づけたかを検証していけば、Aさんはこの1年間に1回も遅刻していないことや先週は遅くまで残業していたことに思い至るかもしれません。
要約③:ネガティヴ・ケイパビリティを発揮するリーダーとは
ネガティヴ・ケイパビリティは伝染します。
リーダーがネガティヴ・ケイパビリティを発揮すると、部下にも「わからない」領域に留まっても良いというメッセージが伝わります。その結果、ネガティヴ・ケイパビリティが高い組織をつくることができます。
ポジティブ・ケイパビリティ重視の世界では、「知らないこと」、「動かないこと」は受け入れがたいだけでなく、恥ずべきこととなります。そのため、誰もが「知っているべき」「わかっているべき」という暗黙の了解がはびこってしまいます。誰もが「わたしはわかっている」というポーズを取ったり、表面を取り繕って「知らない自分」「わかっていない自分」を出さないようにします。
ネガティヴ・ケイパビリティが高い組織は、わかっていない・完璧ではないことを受け容れているので自分を強く見せる必要がありません。たとえ失敗しても、そこから学んで新しい可能性を模索し続けることができます。
ネガティヴ・ケイパビリティを発揮しているリーダーの共通点が3つあります。
①自分の職業アイデンティティにこだわりがなく、より柔軟なワーキングアイデンティティを持っている
②好奇心旺盛で忍耐強く、新しいものにもオープンで柔軟なマインドセットを持っている
③高い自己認識と大きな共感力を持ち、自分の能力を信頼しながらも、すべてを知ることはできないという謙虚さを有している
ネガティヴ・ケイパビリティが高いリーダーの例として、戦国武将の黒田長政の”腹立てず”の異見会が紹介されていました。
黒田長政は定期的に部下を呼び、腹を立てないと誓ってから、忌憚のない意見を言ってもらっていたそうです。遺言にも異見会を続けるように、と書いたのだとか。
絶対に腹は立てないでくださいね、腹を立てたらすべてが水の泡です。
『答えを急がない勇気』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『答えを急がない勇気』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる』
哲学者の谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、公共政策学者の杉谷和哉さんによる、ネガティブケイパビリティの対話が読めます。
ネガティヴ・ケイパビリティを真正面から論じるというより、いろいろな現象や事例のなかにネガティヴ・ケイパビリティの重要性が感じられる本です。
参考記事:『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる』の感想まとめ:1つの世界に浸りきらずに相対化する
②『Listen』
良い聴き手になること、聴き手になるメリットがわかる本。
話を聴いてほしい、情報を受け取ってほしい人ばかりの社会で、人の話を本当の意味で聴ける人は貴重です。
わたしが初めてネガティヴ・ケイパビリティという用語を知ったのは、『LISTEN』がきっかけでした。相手をわかった気にならない、結論を急がないのは聴き手に必要な素質だと思います。
参考記事:『LISTEN-知性豊かで創造力がある人になれる』の要約:聞き上手な人の性格や特徴がわかる本
③『チームが機能するとはどういうことか』
学習する組織をつくる、チーミングの理論と実践がわかる本。
個人プレーの足し算ではなくチームとして成果を出したい、多様な人材の創造性を活かしたい人におすすめです。
チームを機能させるには、ネガティブ・ケイパビリティを持ったリーダーが必要だとわかります。
参考記事:『チームが機能するとはどういうことか』の要約まとめ:学習する組織をつくるチーミング
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