『限りある時間の使い方』は、人生の短い時間にどう向き合うか考えさせられる本です。
生産性を上げるための時間術やタイムマネジメントの本ではありません。
効率的にこなすことがゴールではなく、限られた時間をなにに使うか(なにに使わないか)を決める覚悟が問われます。
★ 『限りある時間の使い方』 の要約ポイント★
・生産性は罠。人生は短いと認める
・タスクを上手に減らす3つの原則
・時間をシェアすると幸せに感じる
限りある時間を何に使うかを主体的に選ぶことが価値ある時間の使い方です。
この記事では 『限りある時間の使い方』 の要約を紹介します。
目次
要約①:生産性は罠。人生は短いと認める
時間術の本は、1日でどれだけ多くのタスクをこなせるか、無駄なく処理できるかを教えてくれます。
しかし、単位時間あたりの生産性を上げようとすることは、1時間が1時間であることを否定している現実逃避です。
自分の時間は短い、人生でできることには限界がある、と認めてはじめて、限られた時間のなかで何が大切かを主体的に選ぶことができます。
もともと時計がない時代は、タスク中心で時間が流れていました。
日が昇れば畑仕事をして、日が暮れたら眠る。その日以上の仕事を先取りしてやろうとはしません。
しかし、産業革命の時代には1時間働いたら〇〇円、と時間に値段がつけられます。
1時間〇〇円で買っているのだから、買ったほうは同じ1時間でよりたくさん働かせようとします。
時間はもともと、生活が繰り広げられる舞台であり、生活そのものだった。ところが、時間はどんどん生活から切り離され、「使う」ことができるモノになった。
時間が使うものになれば、より賢く、効率的に使いたいと思うようになります。でも、パーキンソンの法則が示すように、時間はいくらあっても足りません。
パーキンソンの法則:仕事の量は完成のために与えられた時間まで膨張する
テクノロジーが進歩しても、「やるべきこと」のサイズや定義がどんどん広がっていきます。
すべてをやり切れる日はこないので、すべてをやろうという気持ちを手放すことが重要です。
そしてそれが一番難しいこととも言えます。
人によって不安の対象は違うけれど、核心は同じだ。この人生しかないということーこの欠点だらけで、傷つきやすくて、ものすごく短くて、思い通りにならない人生がただ一度きりのチャンスだということー、その事実を、僕たちは認めたくないのだ。
大病を患った人やすんでのところで事故を免れた人など、死を体験した人は”人生のすべては借り物の時間”であることに気づくでしょう。人生は有限だから価値があります。
要約②:タスクを上手に減らす3つの原則
すべてをやることを手放すために、タスクを上手に減らす3つの原則があります。
<タスクを上手に減らす3つの原則>
①まず自分の取り分をとっておく
②進行中のタスクを制限する
③優先度「中」を捨てる
本当にやりたいことを今すぐ実行し、同時進行するタスクは数を決めて制限します。
たとえば、タスクを3つに制限したら、そのタスクが終わるまで新しい別のタスクは入れられません。
そうすると必然的に、タスクを小さく分けることになります。
(半年かかるタスクを入れると、3つのうちの1つが半年間ロックされてしまいます)
3つ目はウォーレン・バフェットがパイロットに言ったアドバイスの逸話から来ています。
「人生でやりたいことベスト25をリストアップし、上位5つに時間を使う。残り20は捨てる。」という内容だそうです。
優先度「中」をやるのは悪いことに思えないので、優先度「大」の時間が侵食されてしまいます。
そうは言っても他の選択肢の可能性を捨てることが怖い、と感じますよね。それは先のことが心配であり、不確実なことを減らしたいという欲求から来ています。
しかし、先のことが確実になることはありません。たとえば締め切りまで3日あると思っても、その3日でさえ完全に思い通りにならないことのほうが多いです。
将来のことを考えたり、計画を立てたりするとき、僕たちは「時間を所有したり使ったりできる」という前提に立っている。そしてその前提のせいで、いつもイライラしたり不安になったりしている。時間は自分のものではないし、自由に使うこともできないという確固とした現実が、つねに僕たちの期待を打ち砕くからだ。
未来のために努力するのは良いことですが、未来はコントロールできないと認めることで、今を生きることができます。
要約③:時間をシェアすると幸せに感じる
自由な時間がたくさんあると幸せだというのは本当でしょうか。
時間の量ではなく、大切な人と過ごせる時間に価値があります。
個人主義的自由:自分でスケジュールを決める、干渉されない
深い意味での自由:価値ある共同作業に参加する自由
単純に休みの日数が増えるよりも、社会的にみんなで休む日を設定するほうが、みんな幸せになるという研究結果があります。
スウェーデンには、上下関係なくみんなで一斉に休むお菓子タイムのフィーカという慣習があるそうです。
時間をシェアするのは幸せな時間の使い方であり、本当の意味で時間から自由であると言えるのではないでしょうか。
自分の朝のルーティンを少しだけ崩して、家族や友人、地域の人たちと一緒に行動してみよう。すると、時間のコントロールを独占するのが最善の策ではないことに気づくかもしれない。時間は自分のものになりすぎないくらいが、実はちょうどいいかもしれないのだ。
最近は「時間を奪うな」とか「コミュニケーションコストが高い人は嫌だ」というように、時間に厳しいですよね。
その考えが、もっとイライラを強めて、自分の人生の時間を寂しいものにしているのではないかと(自戒も込めて)思いました。
『限りある時間の使い方』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『限りある時間の使い方』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『タイムクエスト(TQ)』
自分にとって大切な価値観を日々の行動に反映させることで、心の安らぎ(満足感・幸福感)を得ることが目的の本。
時間の使い方を見直して、他人軸ではなく自分軸で生きる大切さがわかります。
参考記事:本『タイムクエスト(TQ)』の要約まとめ:自分の価値観と行動を一致させる
②『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』
選択すべき本当にやりたいこと=好きなこと×得意なこと×大事なことを見つけるための本。
自分の価値観を明確にするための質問がたくさん載っています。
参考記事:『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』の要約まとめ【自己分析はこれ1冊でOK】
③『ワンシング』
一点集中する大切さがわかる本。
問題の勘所、ここを変えれば一気に変わるというドミノの1つ目を倒すのが重要です。
参考記事:『ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果』の要約:ドミノ効果で大きな成功を手に入れる
まとめ:限りある時間をどう使う?
・自分の時間は短い、人生でできることには限界がある、と認める
・生産性は罠である。やるべきことはどんどん広がっていく。
・”人生のすべては借り物の時間”であり、すべてやろう!を手放す
・他の選択肢の可能性を捨てる=主体的な選択
・時間の量ではなく、大切な人と過ごせる時間に価値がある
生産性を追い求めるのがどこか苦しい、いつも急かされていると感じる人には救いになる本です。
2022年にベストセラーになっている理由がわかる気がします。
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