『キャズムVer.2』は、新商品が市場に浸透するためのマーケティングがわかる本。
市場に広がるかどうかは、ビジョナリー(ビジョン先行型)の集団と実利主義者の間にある谷(キャズム)を乗り越えられるかどうかが大きなポイントです。
★ 『キャズムVer.2』 の要約ポイント★
・キャズムとは何か(イノベーター理論)
・ビジョナリーと実利主義者の違い
・実利主義者に刺さるポジショニングステートメント
この記事では 『キャズムVer.2』 の要約を紹介します。
目次
要約①:キャズムとは何か(イノベーター理論)
キャズムとは商品サービスが一般に広がる過程で直面する大きな谷のこと。
イノベーター理論の中にいくつかキャズムがありますが、1番大きなキャズムはアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間の谷です。
★イノベーター理論★
商品やサービスが市場に受け入れられるまでの過程を示した理論
・イノベーター(2.5%) :最先端のものをとりあえず買う
・アーリーアダプター(13.5%):最先端のものに興味がある
・アーリーマジョリティ(34%):流行ってきたら買う
・レイトマジョリティ(34%) :慎重に選んで買う
・ラガード(16%) :買わない
イノベーターとアーリーアダプターは市場全体の16%であり、キャズムを越えられなければ新しいもの好きのニッチ層だけに響く商品サービスで終わってしまいます。
反対に、キャズムを越えて広く市場に受け入れられれば、莫大な利益を生み出し、開発費用も回収できるでしょう。
クラウドコンピューティングやスマートフォンは、テクノロジー好きな人のおもちゃから、テクノロジーに詳しくない人でも便利だから使うものになりました。
アーリーアダプター(ビジョナリー)からアーリーマジョリティ(実利主義者)への移行が大きなキーポイントです。
要約②:ビジョナリーと実利主義者の違い
なぜアーリーアダプター(ビジョナリー)からアーリーマジョリティ(実利主義者)の移行が難しいかというと、それぞれの集団が商品サービスに求めるものが異なるからです。
アーリーアダプター(ビジョナリー)が求めるもの
⇒テクノロジーによるブレイクスルー
アーリーマジョリティ(実利主義者)が求めるもの
⇒着実で成果を期待できる進歩、信頼性
アーリーアダプター(ビジョナリー)は新しいものに敏感で、テクノロジーがもたらす不連続な進歩(ブレイクスルー)を期待しています。
現状の延長線上の改善ではなく、劇的な進歩を夢見るのがビジョナリーです。
そのためには多少のリスクは必要なものだと認識していますし、既存の仕組みを大きく変えることにもそんなに抵抗はありません。
一方、アーリーマジョリティ(実利主義者)は地に足のついた着実な進歩を求めます。
商品サービスの信頼性はもちろん、供給する製造元の信頼性も重要です。
われ先に導入することに喜びを感じるのはアーリーアダプター(ビジョナリー)であり、アーリーマジョリティ(実利主義者)は先行事例をもとに慎重に比較検討します。
新たな顧客グループに移行するときの最大の障害は、先行事例として紹介できる顧客がその顧客グループの中にいないということである。
実利主義者にとって、ビジョナリーの先行事例はリスクが大きく数も少ないと感じるため、ビジョナリーの要求に応えながら実利主義者をターゲットにしたマーケティングを同時並行で行うところに、キャズムを越える難しさがあります。
要約③:ポジショニングステートメント
キャズムを越えるために重要なものの1つが、ポジショニングステートメントです。
実利主義者は複数ベンダーの製品を比較検討するため、顧客の立場で競争をつくりあげて優位性を明確にします。
ポジショニングステートメントは、ポジショニングを明確にし、外部に発信するときのコアメッセージです。
<ポジショニングステートメントのつくり方:「」を埋める>
「代替手段」で問題を抱えている「ターゲット」向けの「カテゴリー」の製品であり、「解決すること」することができる。
そして、「対抗製品」とは違って、この製品には「主だった機能」が備わっている。
『キャズムVer.2』に載っている例を1つ紹介します。
(例)HANA
これは「顧客にリピート購入をしてもらえないこと」で問題を抱えている「オンライン小売業者」向けの、「オンライン・トランザクション処理のためのデータベース」であり、「トランザクションをリアルタイムで分析し、顧客に最適の商品をオファーする」ことができる。
そして、「オラクルのデータベース」とは違って、「トランザクション処理と分析の環境を分離することなく、双方を同時に処理する機能」が備わっている。
ポジショニングステートメントをつくる上で大切なのは、口コミしやすい長さに収めることとどんな媒体でも同じメッセージを繰り返すことです。
メリットをたくさん詰め込みたくなりますが、何を盛り込むかではなく何を捨てるかを意識します。
10個の機能を言われても覚えきれませんよね。
1つの絶対伝えたい、かつ、競合優位性になるポイントに絞ります。
そして、どの媒体でもポジショニングステートメントに沿ったメッセージを発信します。
キャッチコピーなどを作るときには、ポジショニングステートメントが基本方針になるでしょう。
3DプリンターやVMウェア、セールスフォースドットコムなど、キャズムを越えた事例がたくさん載っています。
新規事業開発やマーケティングに関わる人はぜひ読んでみてくださいね!
『キャズムVer.2』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『キャズムVer.2』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『売上最小化、利益最大化の法則』
著者は株式会社北の達人コーポレーション代表取締役社長の木下勝寿さん。
デジタルコンテンツではなく、在庫を持って化粧品や健康食品を売っているのに、
なぜこんなに利益率が高いのかのヒミツがわかります。
イノベーター理論で広告を最適化する等、マーケティングの勉強になる本です。
参考記事:『売上最小化、利益最大化の法則』を要約:起業前に読むべき超実践的な本
②『プロダクト・レッド・グロース』
プロダクト・レッド・グロースとは、プロダクトの基本的な機能を無料で提供する、フリーミアム戦略の一種です。
キャズムを越える1つの方法として、実際に使ってもらうのも良いかもしれません。
プロダクト・レッド・グロース(PLG):
ユーザーの獲得、有料へのアップグレード、利用維持をプロダクト自身が担う
何をどこまで無料にするか?無料の戦略をうまく活用する方法と事例がわかります。
参考記事:本『プロダクト・レッド・グロース』の要約:オンボーディングの成功法則
③『マーケティング22の法則』
『マーケティング22の法則』は、”マーケティングは知覚の戦いである”が根底にあります。
価値をどう届けるかをくわしく知りたい人におすすめです。
参考記事:『マーケティング22の法則』の要約:顧客の心に入り込め【売れるもマーケ当たるもマーケ】
まとめ:キャズムを越えるマーケティング
・キャズム=イノベーター理論の谷のこと
・アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間が最大のキャズム
・キャズムを越えるかどうかで市場に広がるかが決まる
・アーリーアダプター(ビジョナリー)が求めるのは劇的な進歩
・アーリーマジョリティ(実利主義者)が求めるのは着実な進歩
・ビジョナリーの先行事例は実利主義者に刺さりにくい
・ポジショニングステートメントで優位性を明確にする
・盛り込む内容を取捨選択して、口コミしやすいステートメントをつくる
イノベーター理論に照らし合わせて新商品を見ると、どうやってキャズムを越えようとしているかが見えておもしろいかもしれません。
新しい商品サービスだけでなく、新しい考え方や価値観も同じように広がっていく気がします。
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