『コーチングよりも大切なカウンセリングの技術』は、ビジネスの場面で使えるカウンセリング技術がわかる本。
受容と共感のカウンセリング的なコミュニケーションで、マイナスな気分の人に寄り添います。
コーチング的なコミュニケーションがダメなわけではなく、コーチングが機能するためにはカウンセリング的な関わりでまずエネルギーを充電しよう!という内容です。
★『コーチングよりも大切なカウンセリングの技術』の要約ポイント★
・ティーチング/コーチング/カウンセリングの違い
・ロジャースの3原則
・すぐ使えるカウンセリング技術
この記事では『コーチングよりも大切なカウンセリングの技術』の要約を紹介します。
目次
要約①:ティーチング/コーチング/カウンセリングの違い
上司と部下のコミュニケーションは大きくわけて3種類あります。
ティーチング:知識や技術を教える
ティーチングはアドバイスや指示をするコミュニケーションであり、スキルがない人に知識や技術を伝達するのに適しています。
スピードが速い分、相手が自己決定した感覚がないので納得感や腹落ち感は弱いです。
ティーチングだとしても、答えを教えずにヒントや考え方を提示するだけに留めれば、納得感の薄さをカバーできます。
コーチング:目標を明確にする
コーチングは目標を映像化して思い描くことで、目標達成に向けたエネルギーを上げて行動を促すコミュニケーションです。
目標達成に必要なものはすでに相手の中にある、と信じる前提であり、知識や技術がそもそも足りない人にはコーチングよりティーチングが適しています。
また、マイナスな気分が強い人はコーチングで目指したい未来を描けないかもしれません。
そのような人にはまず、カウンセリング的なコミュニケーションでネガティブ感情から離れて前向きな思考ができる土台を整えます。
カウンセリング:受容、共感する
カウンセリングは相手を受け容れて共感するコミュニケーションです。
ティーチングやコーチングと違う点は、目標達成や問題解決を目的としないこと。
目標達成や問題解決が付随的に起こることはあっても、それがメインではありません。
問題解決はいったん脇に置き、まずは相手の話をよく聞いて受容することで、硬直化していた思考が動き出すのを助けます。
そうすれば勝手に解決策を思いつくかもしれませんし、その後のコーチング・ティーチング的な関わりがスッと受け容れられることもあります。
『コーチングよりも大切なカウンセリングの技術』ではコーチングを否定しているわけではなく、コーチングの前にカウンセリング的なコミュニケーションをすることでよりコーチングも効果的になる、という意味のタイトルです。
要約②:ロジャースの3原則
紹介されているカウンセリングの理論の中から、カウンセラーで知らない人はいないくらい有名なカール・ロジャースの3原則を紹介します。
カール・ロジャースはクライエント中心療法を提唱した心理療法家です。
人のパーソナリティが変化・成長していくときのカウンセラーの最も重要な条件が3つあります。
①無条件の肯定的配慮
②共感的理解
③自己一致
無条件の肯定的配慮とは、ネガティブなことでも無条件で肯定的に受け容れることです。
「やる気が出ないです」と言われたら「やる気が出ないんですね」が無条件の肯定的配慮、
「やる気を出しましょう」、「そんな風に見えないよ」だと肯定していません。
共感的理解は、相手の私的世界につかろうとする姿勢です。
100%相手と同じように感じることはできないのはわかったうえで、それでも自分の私的世界は置いておいて相手の私的世界を感じようとします。
「なるほど、あなたはそう感じたのですね」、「もしあなたと同じ状況なら私もそうしたかもしれない」という態度が共感的理解です。
自己一致とは、理想の自己概念(わたしは〇〇である)と実際の体験が一致していること。
(例)”わたしは誠実である”という自己概念の人が、もし嘘をついてしまったら…
「自分は誠実だと思っていたけど嘘をつくこともある、完璧な人間ではないんだな」
⇒嘘をついてしまった自分も受け容れて自己一致している
「嘘はついていない」⇒否認
「嘘をつくように仕向けられた」⇒歪曲
自己一致はカウンセラーの条件ですが、クライアントの目指す姿とも言えます。
自己一致したカウンセラーが接することで、相手も自己一致するように作用していくと考えられます。
自己一致している人がそばにいると良い影響をもたらすのですね。
要約③:すぐ使えるカウンセリング技術
職場で使えるカウンセリング技術を2つピックアップして紹介します。
①壁になる
②エピソードを聴く
カウンセリング技術①:壁になる
”壁になる”とは、邪魔せずに相手の内的世界を語ってもらうことです。
自分もラケットを持ってボールを打ち返すのではなく、壁になって相手の打ったボールをそのまま跳ね返します。
(例)
「映画に行ったんですよ」
⇒「へぇ、映画に行ったんですね。うんうん、それで?」
✖「わたしも最近映画に行ったんですよ」
✖「何の映画を観たの?」
相手の話したいことをそのまま聞きたいので、余計なことは言わずに話を促すに留めます。
「わたしも最近映画に行ったんですよ」は、自分の話になってしまいます。
「何の映画を観たの?」は、映画の内容の話に返事を狭めてしまいます。
相手が本当に話したいのは映画の内容ではなく、映画に行く途中の出来事かもしれません。
カウンセリング技術②:エピソードを聴く
”エピソードを聴く”とは、感情が動いた瞬間を思い出して語ってもらうことです。
多くの人は抽象的に出来事をまとめた要約レポートを話しがち。
レポートを報告する人・される人という対立の関係ではなく、エピソードを一緒に体験する横並びの関係になります。
感情が動いた瞬間のエピソードを聴くことで、感情を出しても大丈夫だという安心感を与えられます。
エピソードを聴くには、映像として再生できるように、いつ・どこで・誰が等の細部を聴きましょう。
なかなかエピソードが出てこないときはTHE MOSTの質問を使います。
THE MOSTの質問:
「あなたが一番〇〇(感情)を感じたのは、誰のどのひと言ですか?」
時系列にまとまったフラットな情報ではなく、相手の感情が動いた瞬間を捉えることを意識します。
『コーチングよりも大切なカウンセリングの技術』の次に読むなら?
『コーチングよりも大切なカウンセリングの技術』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『「コーチング脳」のつくり方』
『「コーチング脳」のつくり方』はアドラー心理学をベースにしたコーチングが学べる本です。
コーチングでは、クライアントに自分で問題を解決できる力があると信じる前提で接しますが、
その前提を自己実現傾向で深掘りして解説されています。
参考記事:『「コーチング脳」のつくり方』の要約:自己実現の促進とコーチングの基本モデル
②『世界最高のチーム』
『世界最高のチーム』は、心理的安全性が高いチームのつくり方がわかる本です。
無条件の肯定的関心を寄せる、ネガティブな意見をより大きなゴールに向ける等、
コーチング的な関わり方が具体的に紹介されています。
参考記事:『世界最高のチーム』の要約まとめ:心理的安全性を高めるリーダーの関わり方とは?
③『組織が変わる』
組織が抱える複雑な問題における対話の重要性がわかります。
ゆるやかに悪化していく業績や組織の雰囲気をなんとかしたい!と考えるリーダーやマネジメント層に役立つ1冊。
参考記事:『組織が変わる』の要約:2on2ミーティングで問題を外在化する
まとめ:ビジネスでもカウンセリング技術が使える
・ティーチングは知識や技術を教えるコミュニケーション
・コーチングは目標を描いて行動を促す
・カウンセリングは受容と共感で思考をゆるめる
・ロジャースの3原則ー無条件の肯定的配慮/共感的理解/自己一致
・壁になることで、相手の話したいことをそのまま聴く
・要約レポートではなく、感情が動いたエピソードを聴く
・「あなたが一番〇〇(感情)を感じたのは、誰のどのひと言ですか?」
コーチングが機能しないときは、まずカウンセリング的なコミュニケーションを試してみる価値があると感じました。
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