『デジタルで変わる子どもたち』は、急速に進んだデジタル化が子どもたちの学習や言語能力の獲得にどう影響するかを解説した本。
まだよくわかっていないことも含めて、
さまざまな研究結果とその考察がわかりやすく紹介されています。
子どもを持つ親にとって気になるテーマが満載で、
たとえば下記のようなテーマが扱われています。
・乳幼児の動画視聴は言語能力の獲得にプラスかマイナスか?
・学習アプリによる学習は効果があるのか?
・紙の本と電子書籍で読解力に違いはあるのか?
・ゲームは学習にプラスかマイナスか?
・SNSの使用頻度が多いことは読解力にプラスかマイナスか? など
子どもにどのくらいの頻度で動画やゲーム、学習用タブレットを与えるかについて、
参考になる点がたくさんありました。
★『デジタルで変わる子どもたち』の要約ポイント★
・言語能力の獲得には相互交渉(インタラクション)が重要
・紙媒体とデジタル媒体の特性を理解して使い分ける
・言語知識+自律的・社会的・創造的言語使用能力が必要
新書サイズですが300ページほどあって、読みごたえがあります。
この記事では『デジタルで変わる子どもたち』の要約と感想を紹介します。
目次
『デジタルで変わる子どもたち』の要約
『デジタルで変わる子どもたち』の要約ポイントは次のとおりです。
★『デジタルで変わる子どもたち』の要約ポイント★
・言語能力の獲得には相互交渉(インタラクション)が重要
・紙媒体とデジタル媒体の特性を理解して使い分ける
・言語知識+自律的・社会的・創造的言語使用能力が必要
1つずつ詳しく紹介します。
言語能力の獲得には相互交渉(インタラクション)が重要
最近は子どもに見せるだけで勉強になりそうなコンテンツがたくさんありますが、
言語能力の獲得には相互交渉(インタラクション)が欠かせません。
相互交渉(インタラクション):一緒に同じものを見てやりとりを行う
”子ども1人で観させるのではなく動画の内容について会話するのが大切”というのは、育児教室などでもよく指導されることです。
ただ、大人も同じものを観ている(共同注意)が必要なのは、あまり意識していない人が多いのではないでしょうか。
相互交渉はタイミングも重要なので、子どもが疑問に思いそうなときに声をかける必要があります。
親が一緒に観るのが理想なのはわかりますが、毎回一緒に観るのは難しいですよね。
ビデオ内に相互交渉を取り入れることで、生身の人間ほどではないにせよ、
ある程度の効果を発揮できるという考えもあるそうです。
特に2歳以下の子どもはビデオ不全(ビデオからうまく学べない)が起こると指摘されています。
2歳以下の子どもは、ビデオの2次元と現実の3次元を結び付けたり映像と音を結び付けたりするのに認知能力が追い付かないのだそうです。
2歳以下の子どもは親が一緒に観る、それ以上の年齢の子どもは親と一緒に観るか、相互交渉が取り入れられたビデオを時間を決めて観せるのが現実的だと思います。
なるべく1人で観せないように気を付けたいと思います。
子どもが遊んでいるときに大人が自分用に動画を見る場合、
子どもの耳にも入ることをバックグラウンド視聴と言います。
子どもが画面を見ていなくても遊びの質や集中力が落ち、
大人は子どもへの声掛けが少なくなり子どもへの返答も注意散漫になります。
子どもの集中を妨げないために、大人が動画を楽しむにはイヤホン必須です。
紙媒体とデジタル媒体の特性を理解して使い分ける
言語能力の獲得に読書は欠かせませんが、
紙媒体とデジタル媒体で言語学習に違いはあるのでしょうか。
子ども用のデジタル絵本では、読み上げ機能やゲーム性が取り入れてあり、
楽しく学習できそうな気もします。
ただ、日本語は音と表記の一致が高い言語なので、
読み上げ機能による効果は英語圏に比べると少ないそうです。
日本語:音と表記の一致度が高い
英語 :音と表記の一致度が低い(同じアルファベットで違う読み方など)
たとえば日本語で”あ”と言ったら”a”としか読みませんが、英語のaは”ア”とか”エイ”とかカタカナでは表せない音も含めていろいろな読み方があります。
デジタル媒体で音声をたくさん聞ける=言語習得のメリットです。
日本人が漢字の読み方を学習する際や英語を学習する際にデジタル媒体は役に立ちそうですが、研究結果として証明はされていないそうです。
次に、読解力に紙媒体とデジタル媒体で差があるか調べた研究では、
表面上の読解力には差がないが文章の種類やタスクによっては差がある、という結果でした。
説明文、長いテクスト、精読、校正には紙媒体が優れていました。
つまり、ざっくり要点を得るとか流し読みするには紙もデジタルも変わらないですが、じっくり読む・注意深く読む・内容を正確に理解する、という読み方には紙媒体が向いているようです。
デジタル媒体のメリットはハイパーリンクであり、関連情報にかんたんにアクセスできて自主的な学習を促すツールになります。
しかし、ハイパーリンクがあることで本筋がわからなくなる、
このリンクはクリックすべきか判断する認知的負荷がかかるなどのデメリットもあります。
紙がいいかデジタルがいいかの2択ではなく、
目的に応じて媒体を使い分けられる能力が求められます。
誰でも情報にアクセスしようと思えば簡単にアクセスできる時代に、
情報を取捨選択して理解・活用できる能力によってどんどん学習の差が生まれるでしょう。
言語知識+自律的・社会的・創造的言語使用能力が必要
『第7章 デジタル時代の言語能力』に、
著者が考える、デジタル時代に求められる言語能力がまとめられています。
<デジタル時代に求められる言語能力>
・基本的言語知識 :文法、語彙、言語使用のルール
・自律的言語使用能力:情報を取捨選択して理解する
・社会的言語使用能力:他者と協力して知識を最大化する
・創造的言語使用能力:既存の知識を再構成してアウトプットする
言語能力=読む・書く・聞く・話すの時代は終わったようです。
確かな情報か判断した上で理解する力、デジタル空間で他者と有効な関係を築ける力、
自分で新しい文脈に落とし込んで理解する力が必要ということ。
『デジタルで変わる子どもたち』の次に読むなら?おすすめ本3選
『デジタルで変わる子どもたち』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『働き方5.0』
メディアアーティストや大学の准教授としてよくメディアに出ている、
落合陽一さんの本です。
テクノロジーの発展がますます進む中、
答えのない問題を考え抜いて言語化できる能力の重要性がわかります。
子育て世代にもおすすめの1冊です。
参考記事:『働き方5.0』の要約:人間がやるべきことの本質とは?【教育本としてもおすすめ】
②『シン・ニホン』
『シン・ニホン』は『イシューからはじめよ』で有名な安宅和人さんの著書。
日本の現状とこれから再生するために必要なことが書かれており、
特にデータ・サイエンスの深い理解が重要であるとわかります。
参考記事:『シン・ニホン』の要約と感想:これから求められる人材と教育とは?
③『スマホ脳』
デジタル社会が人間に与える影響をわかりやすく解説した本。
著者はスウェーデンの精神科医である、アンデシュ・ハンセンさんで、
60万部のベストセラーです。
長い時間かけて進化した脳はデジタル社会に適応しておらず、
スマホに脳がハック(攻略)されている現実を認識してつき合い方を考えましょう。
参考記事:『スマホ脳』の要約と感想:スマホやSNSの悪影響を改善するには?
まとめ:デジタル時代に必要な言語能力がわかる
・言語習得には相互交渉(インタラクション)が重要
・相互交渉は量だけでなくタイミングも大切なので一緒に観るのが望ましい
・2歳以下の子どもはビデオから学習する認知的負荷が高い
・音と表記が一致しない率が高い言語(英語など)は読み上げ機能が有効
・デジタル媒体より紙媒体のほうが正確に理解できる度合いが高い
・情報の取り方を主体的に選ぶことでデジタルテクノロジーを有効活用できる
・言語能力は非言語能力も含めたコミュニケーション力
紹介した内容以外にも、
英語圏ではSNSの使用が言語能力にプラスに働く、
わたしたちは意外と手を使って読書を補助している、
などおもしろい発見がありました。
SNSやゲームなどと子どもの距離感を考えている親世代に役立つ1冊です。
主義・主張よりも研究結果をベースにしているところがとても説得力がありました。
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