『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さてどうする?』の要約【離職最適化】

『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さてどうする?』の要約【離職最適化】

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『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さてどうする?』は、良い人材が定着するための組織づくりがわかる本。

 

すべての離職が悪いわけではなく、むしろ消極的定着(ぶら下がり)が組織をダメにします。

組織に定着してほしいターゲットを絞って働きがい・働きやすさ・心身コンディションの向上を図ることがポイントです。

★『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さてどうする?』の要約ポイント★

 

・マイナス感情が蓄積して伝染すると必要な人材が辞めていく

 

・離職ゼロより離職最適化

 

・ターゲットを絞った戦略で良い人材が定着する組織をつくる

安易に働きやすさだけを向上させてもぶら下がりを助長させるだけ、

マイナス感情の解決より”やってる感”が出るから福利厚生の充実に走る、など、人事系の人にはなかなか(良い意味で)グサッとくる内容です。

この記事では『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さてどうする?』の要約を紹介します。

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要約①:マイナス感情が蓄積して伝染⇒離職

 

辞める人・ぶら下がる人・潰れる人が増えるのは、マイナス感情が蓄積して組織に蔓延しているからです。

マイナス感情:諦め、落ち込み、虚しさ、怒り、不安など

 

⇔プラス感情:達成感、喜び、満足感など

マイナス感情は従業員が求めるものと与えられるものの差(期待値ギャップ)で生まれます。

良い意味での差があればプラス感情が生まれますが、プラス感情は一時的で長続きしません。

マイナス感情のほうが影響度が大きいです。

昇給の喜びも、時間が経てば当たり前のものに変わってしまいます。

しかし減給した場合は、給料をもらうたびに落ち込みそうですよね。

 

マイナス感情が蓄積して離職やメンタル不調の人が増えると、そのしわ寄せが周りの社員に広がります。

だから、マイナス感情は放置せず、しっかりと向き合って解決することがまず必要です。

 

しかし、従業員が求めるものをなんでも与えていたら組織が成り立ちません。

そこで、労働価値(仕事に求めるもの)をすり合わせることが大切になります。

・採用で自社の価値観を提示し、ギャップが少ない人を採用する

 

・定期的に価値観を確認・意識付けするためのコミュニケーションをとる

まず、入口の採用でギャップの大きい人をはじきます。

カルチャーギャップやカルチャーフィットという言葉を聞くようになりました。

優秀さより自社に合っているかを基準にする会社が増えています。

 

組織づくりのキーワードとしてダイバーシティ(多様性)がありますが、労働価値に対する多様性はできるだけ小さいほうが良いです。

労働価値の差は大きな問題であることは、繰り返しお伝えしてきました。

「優れた人材だが、会社側の労働価値とは大きく違っている人」を採用すると、会社に馴染むことができず、いつ抜けるかわかりませんし、周りの従業員に悪影響を及ぼす「不満因子」になりかねません。「能力が高いが価値観の異なる人」よりも、「能力が少し劣っていたとしても価値観が近い人」を雇用したほうが、会社にとってもそこで働く従業員にとっても良い結果となります。

採用基準で価値観のマッチングを最優先に見ているか、入社後も定期的に価値観をすり合わせる場(ワークショップや上司との1on1など)を設けているかは要チェックです。

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要約②:離職ゼロより離職最適化

 

離職は良くないこと、減らすべきものだと思っていませんか。

しかし、離職がすべて悪とは限りません。予防すべき離職と対処する必要のない離職があります。

離職ゼロ :とにかく離職を減らす

 

離職最適化:いてほしい人にいてもらう

組織活性を保つことを目指し、予防すべき離職と、放置もしくは促すべき離職とをしっかりと戦略的に設定しながら取り組みを行っていくこと、それを私は「離職最適化」と呼んでいます。

 

離職より問題なのは、消極的定着(ぶら下がり)です。

消極的定着(ぶら下がり):不満はあるけど転職しない・できない

ぶら下がりが増えると優秀な人の働きがいを奪い、いてほしい人の離職を引き起こします。

 

特に離職防止策=働きやすさを上げることという短絡的な戦略をとると、

働きやすいからますますぶら下がり社員が増え、離職を加速させる可能性もあります。

 

個人活性(人が生き生きと働けるかどうか)を決めている要素は以下の3つです。

・働きがい:成長、居場所、評価、達成感など

 

・働きやすさ:ワークライフバランス、制度など

 

・心身のコンディション:心身の健康

働きがいが低くて離職しているのに、働きやすさが増すような施策をしても意味がありません。

意味がないどころか、働きやすさに甘えて意欲が低い人材が定着し、働きがいを求める社員をますます流出させてしまうのです。

 

単に「離職を減らそう!」ではなく、誰のどんな離職に対処するかを取捨選択する必要があります。

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要約③:ターゲットを絞った戦略

 

離職対策は、組織にいてほしい良い人材を定着させることを目的に行います。

とはいえ、人や時間の資源は限られているので、効率よく対策したいですよね。

 

結論から言うと、ハイポテンシャル人材⇒立ち上がり人材⇒優秀人材の順に対策するのが効果的です。

ハイポテンシャル人材:3~5年後に組織を担う人材(10%)

立ち上がり人材:新卒・中途問わず入社1年以内の人材(20%)

優秀人材:組織に欠かせない人材(10%)

 

なぜ優秀人材が優先順位1位ではないかというと、優秀であるがゆえに本人の希望を叶えるための積極的な離職を防ぐのが難しいからです。

 

ハイポテンシャル人材は労働価値が似ている(成長機会が欲しい、強みを活かしたいなど)ので個人活性を上げる対策が立てやすく、ハイポテンシャル人材が成長していれば優秀人材の離職のダメージが最小限に抑えられます。

 

仕事に何を求めるかという労働価値は人によって違います。

だから、誰のどんな労働価値を満たせば起きてほしくない離職が効率的に防げるのかを決めることが重要です。

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『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さてどうする?』の次に読むなら?

 

『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さてどうする?』とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『ビジョナリーカンパニーzero』

 

世界で1000万部以上!売れている、ビジョナリーカンパニーシリーズの最新作。

 

ビジョンがある組織は、チームワークが生まれ自主的にビジョンに沿った行動をします。

やらされ感がないので働きがいが高いです。

 

誰をバス(会社)に乗せるか?が最重要という点も、本書と共通しています。

参考記事:【ビジョナリーカンパニーzeroの要約】起業家・リーダー必読の古典的名作

 

②『シリコンバレー式最強の育て方』

 

部下と信頼関係を築いて成長を支援するためのコミュニケーション、1on1の方法がわかる本。

価値観のすり合わせには、1on1のような対話が重要です。

1on1やフィードバックのような個別・丁寧なコミュニケーションが主流なのは、価値観が多様化しているからですね。

参考記事:『シリコンバレー式最強の育て方』の要約まとめ:1on1の具体的な進め方やコツがわかる

③『空気が人を動かす』

 

日本では特に、空気によって表に出ていない価値観が伝わっていきます。

 

空気を読むことが求められるハイコンテクスト文化なので、

人を変えるよりもまず空気を変える重要性がわかります。

参考記事:『空気が人を動かす』の要約まとめ:人を変えるのではなく空気を変えるマネジメント

 

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まとめ:離職最適化で組織の崩壊を防ぐ

・マイナス感情が蓄積して組織に蔓延すると離職が増える

 

・期待値ギャップを小さくするために労働価値をすり合わせる

 

・労働価値の多様性は組織をバラバラにする

 

・離職ゼロではなく離職最適化(いてほしい人の定着)を目指す

 

・働きやすさの離職対策だけでは消極的定着(ぶら下がり)が増える

 

・誰のどんな離職に対策をするかターゲットを絞る

 

・ハイポテンシャル人材の対策が最も効率的

原因を見極めて対策することの大切さがよくわかりました。

経営者や人事部門の人は必読の本だと思います!

 

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