『ストレス脳』は、こんなに豊かな暮らしになったのになぜ気分が落ち込むのか?を脳の機能から生物学的に解明した本。
著者は『スマホ脳』でも有名なスウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセンさんです。
脳は幸福になるためではなく生き延びるために進化したので、不安になるのは正常なことであり、そういうものだと知っておくだけでも気が楽になります。
★ 『ストレス脳』 の要約ポイント★
・脳は生き延びるために進化した
・不安になるのは正常
・うつ病の予防法
うつ病にならないためには、長期のストレスと肥満を避け、適度な運動と親密な人間関係を持つこと。当たり前のことばかりですが、なぜ当たり前のことが大切なのかわかります。
この記事では 『ストレス脳』 の要約を紹介します。
目次
要約①:脳は生き延びるために進化した
現代の日本では、4人に1人がうつや強い不安などの精神的な不調を経験しているといわれます。
平均寿命も延び、娯楽は溢れていて、社会インフラも整っているのに、なぜ不安を感じるのでしょうか。
それは、人間の脳が狩猟採集民の生活に適応しているからです。生物の進化には何万年もかかるため、現代でも脳は狩猟採集をしていた頃と変わりません。そのときの脳の至上命題は生き延びることであり、つまり、脳は生き延びることを最優先に考えているのです。
満足がずっと続けば、食べ物を探しに行くモチベーションが出なくて、その先に待っているのは死かもしれません。だから満足は時間が経てば消えるようにできているのです。
「幸せな気分でいること」は人生で最も大切なことの上位に必ず入ってくる。しかし幸福感というのは、進化の工具箱の中にある工具の1本にすぎない。しかも消えないと使い物にならない工具だ。つまり常に幸せな気分でいることは、調理台のバナナがあなたを一生満腹にしてくれるくらい非現実的なのだ。私たちはそもそもそんなふうにはできていないのだから。
要約②:不安になるのは正常
脳が生み出す感情も、生き延びるための行動を起こさせるために使われます。
つまり感情というのは、自分の周囲で起きていることに反応してほとばしるのではなく、脳が私たちの内と外の世界で起きていることを融合してつくり出すのだ。その感情を元にして、脳は私たちに生き延びるための行動を起こさせる。つまり感情というのは実はただの「任務」にすぎない。生き延びて遺伝子を残せるように、脳が感情を使ってその人を行動させるのだ。
だから、不安を感じるのは脳が生き延びるための行動をさせようとしているときであり、脳が正常に機能している証拠です。
脳は生き延びるために重要な記憶を優先して保存します。生き延びるために重要な記憶とはつまり、脅威や危険に関する情報です。
たとえば、森に行ってオオカミに襲われたとしたら、森に行くのが不安になるでしょう。森に行こうとするたびに、オオカミに襲われた鮮明な記憶がよみがえるかもしれません。
しかし、次に森に行ったときは大丈夫だった、もう一度森に行ったときは大丈夫だった・・・という記憶が積み重なると、脳は記憶を更新して記憶に伴う恐怖は減ります。
1回行ったときにオオカミに襲われた1回と、100回森に行って1回オオカミに襲われたのでは、記憶の重要度が変わるのです。
安心できる環境で恐ろしい出来事、つまり事故やいじめ、嫌がらせや暴行などの記憶を語ることには、森に行ってもオオカミが出てこなかったのと同じ効果がある。ゆっくりと、しかし確実に、記憶から脅威が減っていく。一方で、トラウマになった記憶を封じ込めておくのは良くない。神経生物学的に考えても、記憶がいつまでも変化しないままだからだ。それでは医師に刻み込まれたように残ってしまう。
脳が生き延びるための記憶しているのを知っていれば、その性質を利用して恐怖を減らすことができるのですね。
不安を感じたとき「わたしはなんてメンタルが弱いのだろう」と思うのではなく、やるべきことをやっている強い脳を持っていると捉えるのはどうでしょうか。
不安になるのは脳の正常な機能であり、まったく不安にならない人はこれまでの歴史のなかで淘汰されてしまったのです。
脳の見地からうつを考えると、自分たちが”破損品”ではないこと、そしてうつは一過性のものだということを理解できる。なぜなら感情というのはどれも一過性なのだから。人生が闇のように感じられても、自分も生物であることを思い出せば安心できるかもしれない。その時はそうは思えないかもしれないが、この状態はいつか終わるのだ。人間はそのようにできているのだから。
要約③:うつ病の予防法
うつ病の予防法は次のようなものがあります。
・長期的なストレスを避ける
・肥満にならない
・孤独を避ける
・運動で心拍数を上げる
うつ病の原因の1つに、炎症があります。炎症とはあらゆる刺激に対して身体が返す反応です。
人間の半数は大人になる前に死に、ほとんどが感染症だった歴史があります。感染症で引き起こす炎症と現代のライフスタイルで起こる炎症を脳が区別できないため、炎症が長く続くと人を引きこもらせようとするのです。
現代の炎症要因でも、細菌やウイルスに攻撃されている時と同じシグナルが脳に送られてしまう。そのシグナルが長く続き過ぎるとーそして現代の炎症原因というのは長期的なものだからー脳は「命が危険にさらされていて、常に攻撃を受けている!」と誤解してしまう。そこで脳は気分を下げるという調整を行い、私たちを引きこもらせようとする。精神的に立ち止まらせ、その状態が長く続く。何しろ現代の炎症原因というのは自然に消えてくれることはないのだから。
長期的なストレスにさらされると、コルチゾールが高いまま慣れてしまい、身体がコルチゾールに反応することをやめてしまいます。コルチゾールは炎症を鎮めるという役割があるので、コルチゾールの反応しなくなると炎症はそのままになり、身体の炎症レベルが上がってしまいます。
また、肥満で余分な脂肪を蓄えると、余分な脂肪=見知らぬものと認識して炎症を起こします。人間の進化の歴史では肥満が問題になったのはごく最近であり、太りすぎに対する防御システムは備わっていません。
孤独はうつのリスクを高めます。SNSでつながっているからといって孤独でないとは言えず、SNSによって「自分は集団になじめているか」、「こんな自分で大丈夫だろうか」等と自分に問いかけることでむしろ不安を強めてしまう可能性もあります。
自分が孤独を避けようと今よりも頻繁に会話することが、もしかしたら誰かの孤独を癒すかもしれません。
個人単位、それに社会全体がほんの小さな努力を積み重なることで大きな違いを生み、多くの人の孤独感に対処できるだろう。私たちそれぞれが孤独を感じている人を1人助けられれば、主観的な幸福感を高めるだけでなく、うつのリスクを減らすこともできる。
もう一つ、うつ病の予防法として、運動で心拍数を上げることがすすめられています。
運動で心拍数を上げることで、「心拍数が上がる=大惨事の兆候」ではないと身体に学ばせることができます。まったく運動していない人が少しでも運動すれば効果はありますが、具体的には週2~6時間の心拍数の上がる運動が最も効果的です。
『ストレス脳』 の次に読むなら?おすすめの本3選
『ストレス脳』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『スマホ脳』
デジタル社会が人間に与える影響をわかりやすく解説した本。
著者は『ストレス脳』と同じアンデシュ・ハンセンさんで、60万部のベストセラーです。
長い時間かけて進化した脳はデジタル社会に適応しておらず、スマホに脳がハック(攻略)されています。スマホとのつき合い方を見つめ直しましょう。
参考記事:『スマホ脳』の要約と感想:スマホやSNSの悪影響を改善するには?
②『最高の体調』
文明病に陥らずに最高の体調を維持する方法がわかる本。
文明病とは、人類の進化と現代社会のミスマッチから起こる不調のことです。肥満や集中力不足、うつ病などが挙げられています。
文明病の原因は炎症と不安であり、その2つにどう対処すれば良いかがわかります。
参考記事:『最高の体調』の要約まとめ:文明病に陥らない方法は?
③『時間術大全』
人生で大切なことに時間を使うためのコツが87個も紹介されています。
特にエネルギーを充電するコツでは狩猟時代の生活に合わせるという考え方が出てくるので、『ストレス脳』と同じコンセプトを感じます。
時間の使い方を徹底的に見直したい人におすすめです。
参考記事:『時間術大全』の要約まとめ:自分の人生にとって大事なことをする時間を取り戻す
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