エーリヒ・フロム『愛するということ』の要約まとめ:愛は技術【名言がいっぱい】

エーリヒ・フロム『愛するということ』の要約まとめ:愛は技術

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『愛するということ』は、愛は技術であり学ぶものであるという本。


人間は存在するために他者とのつながりを欲し、そのために愛の技術を身につける必要があります。

著者は哲学者のエーリヒ・フロムです。

★ 『愛するということ』 の要約ポイント★

 

・愛は技術である

 

・愛は与えることであり、人にたいする態度である

 

・愛の習練に必要なもの

”ひとりの人をほんとうに愛するとは、すべての人を愛すること”という言葉が心に残りました。すべての人には自分も含まれます。愛の技術を学ぶとは、世界と関わる方法を学ぶことです。

この記事では 『愛するということ』 の要約を紹介します。

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要約①:愛は技術である

 

この本の一番重要なメッセージは、「愛は技術である」ということです。

しかし、愛について学ぼうと考えたことのある人は少数派ではないでしょうか。愛について、次のような勘違いが広まっています。

<愛についてのよくある勘違い>

 

・愛は、愛されるかどうかという問題である

⇒愛の技術を学ぶとは、愛されるために魅力を増すことだと勘違いしている

 

・愛はだれを選ぶかという対象の問題である

⇒正しい相手に出会えさえすれば勝手に愛が始まると勘違いしている

 

・恋に落ちる瞬間と、愛する人とともに生きる状態を混同している

⇒愛は気持ちが盛り上がる瞬間のことだと勘違いしている

愛は”人間の実存の問題にたいする答え”です。不確実な未来からくる不安や孤独を癒すために、愛によって他者と一体化することで生きていけます。

人間が生きていくために愛の技術が不可欠なのにもかかわらず、多くの現代人は資本主義的な価値観によって他の物を大切にしています。

現代人は心の奥底から愛を求めているくせに、愛よりも重要なことは他にたくさんあると考えているのだ。成功、名誉、富、権力、これらの目標を達成する術を学ぶためにほとんどすべてのエネルギーが費やされてしまうために、愛の技術を学ぶエネルギーが残っていないのだ。

要約②:愛は与えることであり、人にたいする態度である

 

愛は与えるという能動的な力です。愛される・愛をもらう受動的な態度ではありません。見返りを前提に与えることでも、与えることで自己犠牲にひたることでもありません。

与えることはもらうよりも喜ばしい。それは剥ぎとられるからではなく、与えるという行為が自分の生命力の表現だからである。

 

愛には次の要素が含まれます。

・配慮:愛する者の生命と成長を積極的に気にかける

 

・責任:自分のことのように考える

 

・尊重:ありのままを見て、唯一無二の存在として扱う

 

・知 :相手を深いレベルで理解する

上記の要素はバランスが大切であり、尊重なき配慮や責任は支配になってしまうかもしれません。

 

また、愛は特定の人に対してだけ発揮される技術ではなく、すべての人にどうかかわるかという態度です。「この人は愛するが、あの人は愛さない」という態度は、ほんとうに人を愛することができているとは言えません。

愛=世界全体にたいして人がどうかかわるかを決定する態度

他人に対する愛は、自分を愛することと不可分です。

自分を愛することと利己的であることは異なります。利己的である人はほんとうの自分を愛せない人であり、非利己的(他人を優先してしまう)な人と本質的には同じです。

ひとりの人をほんとうに愛するとは、すべての人を愛することであり、世界を愛し、生命を愛することである。自信をもって「あなたを愛している」と言えるなら、「あなたを通して、すべての人を、世界を、私自身を愛している」と言えるはずだ。

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要約③:愛の習練に必要なもの

 

まず、愛の技術に限らず、何かを習得しようとするときには次のものが必要です。

規律:自分の意志でやる、楽しいと感じる(×辛抱、辛い)

 

集中:没頭する、ささいな変化に気づく

 

忍耐:時間がかかると覚悟する

 

意欲:身につけたいと心から思う

 

愛の技術を学ぶにあたって特に重要なのは、ナルシシズム(自己愛、うぬぼれ)の克服です。

ナルシシズム傾向の強い人は、自分の内に存在するものだけを現実として経験する。外界の現象はそれ自体では意味をもたず、自分にとって有益か危険かという基準からのみ経験される。

ナルシシズムの反対の極にあるのが客観力である。これは、人間や事物をありのままに見て、その客観的なイメージを、自分の欲望と恐怖によってつくりあげたイメージと区別する能力である。

つまり、愛の技術を学ぶためには、客観的に見たり考えたりする力=理性や謙虚さを磨く必要があります。

 

もう一つ重要なのが理にかなった信念です。

理にかなった信念   :経験、思考などにたいする確信や手ごたえがある

 

理にかなっていない信念:権力への服従、みんながそう言うから信じていること

自分の愛にたいする信念と他人の可能性にたいする信念を持てるかが、愛することができるかにとって重要です。

自分の愛にたいする信念

⇒自分の愛は他人のなかに愛を生むことができる

 

他人の可能性にたいする信念

⇒愛する、幸福になる、理性を使う等と他人を信じられる

具体的には、次のようなことに取り組むと信念を持つことの訓練になります。

・自分がどんなときに信念を失うか、それをどう正当化しているか調べる

 

・みんなの意見と違っても自分の意見を表明する

 

・困難を自分への試練と受け止め、成長のチャンスと捉える など

愛を実践するのは、返ってくるかわからないけど与える、自分も他人もありのままを受け入れる、自分の信念に従う等、勇気がいることばかりです。しかし、能動的にその一歩を踏み出すことで、一体感を感じながら人とつながれる人生を送れるでしょう。

人を愛するということは、なんの保証もないのに行動を起こすことであり、こちらが愛せばきっと相手の心にも愛が生まれるだろうという希望に全身を委ねることである。愛とは信念の行為であり、わずかな信念しかもっていない人はわずかしか愛せない。

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『愛するということ』 の次に読むなら?

 

『愛するということ』 とあわせて読みたい本を紹介します。

①『それをお金で買いますか?』

 

マイケル・サンデル教授が市場化の道徳的限界を解説した本。

お金の対価として支払ってよい/悪いという問題を考えます。

 

知識を得るだけではなく、自分なりの答えを考えながら読みたい人にぴったり。

『これからの正義の話をしよう』が好きだった人は、きっと好きだと思います。

参考記事:『それをお金で買いますか』の要約と感想:市場化で失われるものは何?

②『Compassion(コンパッション)』

 

コンパッション(慈悲)は他者のために感じること、自分自身と相手と共にいる力。

他者と協力して生きていくために、人間に本能的に備わっている力です。

 

しかし、現代はスピード重視、デジタル機器で注意力が奪われる等によって、

意識しないとコンパッションは弱まってしまいます。

参考記事:『Compassion(コンパッション)』の要約:自分自身や相手と共にいる力

 

★今回紹介した本★


 

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