ラス・ハリス『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』の要約まとめ:心理療法ACT入門

ラス・ハリス『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』の要約まとめ:心理療法ACT入門

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『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』は心理療法ACTの入門書です。

この本の中での幸福とは、”豊かな、満ち足りた、意味ある人生”を送ること。

そのための心の持ちようがわかります。

タイトルの”幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない”の意味は、「幸福になろうとしてネガティブな感情を追いだそうとするほど、幸福から遠ざかるよ」ということです。

幸福になるためには、ネガティブな感情に居場所を与えてそのままにしておきます。するとそのうちに、どこかに去ってしまいます。

 

嫌なことをぐるぐる考えてしまう、自分を責めてしまうクセがある人におすすめです。

★ 『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』 の要約ポイント★

 

・幸福の罠に注意!感情のコントロールを手放す

 

・ACTの6つの行動原則

いろいろなワークが載っているので、自分にどんな変化があるか楽しみながらやってみましょう。

この記事では 『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』 の要約を紹介します。

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要約①:幸福の罠に注意!感情のコントロールを手放す

 

『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』は心理療法ACTの入門書です。

ACT(Acceptance and Commitment Therapy)の基本原理:

思考と感情を受容し、価値につながった効果的な行動をする

幸福には2つの意味があります。よくイメージされるのは、”幸せな気分”といったポジティブな感情です。

ACTでいう幸福はポジティブな感情のことではなく、”豊かな、満ち足りた、意味ある人生”という意味のほうを採用します。

私たちが心の底から重要と考える問題に対して行動を起こす時、価値があると思う方向に動き出す時、人生を通して信じるものを明確化し、それに従って生きる時、人生は豊かで満ち足りた、意味あるものになり、私たちは生命の力強い感覚を経験する。

 

ACTの考えでは、ネガティブな感情を追い出すことはしません。ネガティブな感情を抱くのは異常ではなく当たり前であり、幸せな気分でないことはあなたが悪いわけではなく通常の状態なのです。

 

ネガティブな感情を追い払えるなら、感情をコントロールできるということになります。感情コントロール=闘争か逃走の戦略はうまくいきません。

闘争:感情を抑え込む、フタをする、批判する

 

逃走:気をそらす、見ないようにする

ふとしたときに何度もよみがえり、ぐるぐると思考を巡らせたり、思い出して嫌な気持ちになったりしたことはありませんか。

 

幸福になろうとしてネガティブな感情を追い払う努力をするほど、さらに幸福から遠ざかってしまうのです(幸福の罠)。

つまり、幸福の罠を一言で表せばこういうことだ。私たちは幸福になるために嫌な感情を排除しようとする。だが排除すればするほど、感情は再生産される。

 

”感情はコントロールできる”という神話を手放して、受容する練習をしましょう。

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要約②:ACTの6つの行動原則

ACTには6つの行動原則があります。

①脱フュージョン

 

②拡張

 

③接続

 

④観察する自己

 

⑤価値の確認

 

⑥目標に向かう行動

1つずつ紹介します。

①脱フュージョン

フュージョンは、思考とそれが指し示すものが混ざって1つになっている状態を指します。

脱フュージョンとは、くっついてしまっている思考と事実を切り離すテクニックです。

 

たとえば、”レモン”という言葉(=思考)でレモンのイメージが沸き上がり、まるでレモンがあるかのような反応が出ます(唾液が出るなど)。

”自分は無能だ”という思考に対してまるで事実かのように反応してしまうとき、”自分は無能だ”という思考とフュージョンしてしまっている、ということになります。

<脱フュージョンのテクニック>

 

・言いかえてみる

「私は…だ」⇒「私は…だという考えを持っている」⇒「私は「自分が…だ」という考えを持っている」

 

・変な声で再生してみる(ミッキーマウスの声など)

 

・歌詞に乗せてみる(ハッピーバースデーのメロディーで歌うなど)

 

・物語に名前をつけてみる(”私は無能”の物語が始まったぞ)

 

また、ACTでは思考が正しいか/事実かどうかは気にしません。代わりに、役に立つかどうかを重視します。

ACTでは、思考が事実であるかどうかは重視しない。それよりずっと大切なのは、その思考があなたの助けになるか否かだ。助けになる思考であれば、注目するだけの価値がある。そうでないなら、それを気にかける必要がどこにあるだろうか?

 

”私は無能だ”という思考がもしやる気を奮い立たせて人生をよくするのなら、脱フュージョンする必要はありません。しかし、自分を責めてやる気を奪うのなら、仮に無能だと信じるに足る事実があったとしても脱フュージョンして単なる思考として置いておけば良いのです。

”私は無能だ”を大切に持っていても、幸福にはなれないなら、事実だとしても手放します。

この思考は人生を向上させるための効果的な行動を起こさせてくれるだろうか?

 

この思考はなりたい人間になる助けになるか?

上記の質問に「はい」と答えられないなら、幸福になるために脱フュージョンしましょう。

②拡張

拡張は、感情に居場所をつくることです。

思考する自己(評価、考え)観察する自己(気づき)を区別するために、身体意識に注意を向けます。

拡張の手順

身体の中の感覚を観察する(不快なところはどこか)

⇒感覚の内部や周囲に息を吹き込む

⇒居場所を作って容認する

 

感情を容認するときにひとり言を言うと容認しやすいこともあります。

「この感情は好きではないが、居場所は作ってやる」

 

「これは愉快な感覚ではないが、私は受容しよう」

 

無理やり好きになったり愉快だと思いこんだりする必要はありません。

アクセプタンスは耐えることではなく、人生を容認することだ。文字通り、「差し出されたものを受け取る」ことだ。

 

③接続

接続は、「今、ここ」に集中することを指します。

肉体はここにあるのに、思考は過去や未来のことでいっぱいになっていることはありませんか?

接続とは、目覚めること、怒っていることに気づくこと、世界に参加すること、人生の一瞬一瞬の充足に感謝することだ。

 

接続のワークには次のようなものがあります。

接続のワーク

・自分の周りにあるものを5つ選んで注目する

・聞こえる音を5つ選んで注意を向ける

・身体の表面の感覚を5つ選んで注意を向ける

・ゆっくりと10回呼吸をする(胸や胃の動きなど、身体につながる)

もし途中で思考する自己が出てきたら、認めて起こるまま・去るままにしておきましょう。

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④観察する自己

観察する自己は、思考や感情を観察する視点です。

わかりにくい概念ですが、空に例えて説明されています。

観察する自己を、空のような存在になることと考えてもよい。その場合、思考と感情は変化し続ける天候のようなものである。どんなに天候が変わろうと、凶暴な嵐だろうと、風や雨や霰が荒れ狂っていようと、空はそれを常に包み込み、それらに傷つけられることもない。地上を破壊しつくす台風や津波も、空を傷つけ害を為すことはできないのだ。そして、時間の経過とともに変化する天候にお構いなく、空は純粋で透き通っている。

わたしは空の例えを読んだとき、仏教の”空(くう)”のことかと思いました。

価値判断を超越した、無と有、否定と肯定を合わせ持つ概念として、仏教の”空”も近いものがある気がします。

思考を観察するワーク

 

①30秒間目を閉じて、思考を観察する。

(思考がどの位置にあるか、言葉かイメージか音か、観察している自分を自覚)

 

②30秒間呼吸し、呼吸と呼吸している自分に意識を向ける

 

③30秒間、頭からつま先まで体をスキャンする

(身体の感覚と観察している自分に意識を向ける)

⑤価値の確認

価値観を明確にしてつながることで、意味のある人生を送ることができます。

自分の価値観を明確に持っている人は、困難にも負けない強さがあります。

 

価値観を明確にするために、次の質問に答えてみましょう。

80歳になったつもりで人生を振り返ります。…には何が入りますか?

 

・私は…を恐れることにあまりに多くの時間を費やし過ぎた。

・私は…のようなことにほとんど時間を使わずにきた。

 

もし時を戻せるなら、今までやらなかったことで、何をするだろうか?

⑥目標に向かう行動

人生を変えるのは行動です。価値から目標を決めて、行動計画を立てましょう。

 

重要なのは価値から始めることです。

目標達成=成功と定義するのではなく、価値に沿って生きていること=成功と定義すれば、今すぐに幸せになれます。

この定義に従えば、自分の目標を達成していようがいまいが、あなたはすぐに成功できる。価値に従ってさえいれば、満足は今この場所、この瞬間に与えられる。そして他の人々からの承認を求められる必要もない。

『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』 のシリーズ

ラス・ハリスさんのACTのシリーズはあと2冊あります。

 

 

 

もしACTをもっと詳しく知りたいと思ったら、次はこちらがおすすめです。

まとめ:思考や感情と新しい関係を築こう

・幸福とは、”豊かな、満ち足りた、意味ある人生”を送ること

 

・思考と感情を受容し、価値につながった効果的な行動をする

 

・”感情はコントロールできる”という神話を手放して受容する

 

・ACTの6つの行動原則

 ①脱フュージョン:思考と事実を切り離す

 ②拡張:感情に居場所をつくる

 ③接続:「今、ここ」を意識

 ④観察する自己:思考する自己を観察する

 ⑤価値の確認:自分の価値観を明確にする

 ⑥目標に向かう行動:価値に沿って生きていることが幸福

セラピーや心理療法は心の病気の人が使うものだと思っていましたが、

日常にもとても役に立つことがわかりました。

 

特にフュージョンしやすい人には、脱フュージョンのテクニックを教えてあげたいです!

 

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