『「コーチング脳」のつくり方』はアドラー心理学をベースにしたコーチングの考え方やスキルが学べる本です。
著者はプロコーチ養成スクールを運営し、『プロコーチチャンネル』というYoutubeチャンネルで発信しています。
『「コーチング脳」のつくり方』は、
・コーチングの背景にある考え方
・コーチングの関係と基本スキル
・コーチとして成長する方法
の3部構成です。
この記事では、コーチが促進する自己実現とコーチングの基本モデルを要約して紹介します。
目次
要約ポイント①:人はみな自己実現傾向を持っている
コーチングの基本姿勢として、
コーチはクライアント自身が自分の問題を解決できる力があると信じます。
コーチは、クライアントが自己実現する力を発揮できるように関われば良いのです。
ロジャーズは私たち人間にはそもそも「実現傾向」があるといいます。望んでいることを実現し、望む人生を生きる力がある。「自己実現」に向かっていく傾向を持っているというのです。
自己実現している=自分の内なる声に耳を傾けて自分らしく生きる、自己一致していると言えます。
しかし、本来備わっているはずの自己実現傾向を邪魔するものがあります。
それは、周囲の価値観に適応することです。
人間関係の中で、人はさまざまな価値観を学びます。
そのうちに周囲に適応しすぎて、自分の本当に望むものがわからなくなってしまうのです。
自己実現傾向を取り戻すには、3つの条件を満たす他者との関わりが必要です。
コーチはクライアントと下記の3つの条件を満たすような関わり方をします。
<自己実現傾向を取り戻すための中核3条件>
①無条件で受容する
②正確に理解して共感する
③自己一致している
①無条件で受容するとは、否定や評価をせずにそのまま受け入れてもらうことです。
”この人には何を言っても大丈夫”という心理的安全性が確保され、率直に安心して心の内を話すことができます。
ほめる=評価しているということです。
②正確に理解して共感するとは、正しく具体的にもっと知りたい!という態度で聞くことです。
誠実な関心を寄せられると一生懸命答えようとして、自分の内側をさらに深く探索することができます。
③自己一致しているとは、コーチ自身が自分の声に正直に、自己一致して生きていることです。
自分ができていないことはクライアントに要求できないということですね。
要約ポイント②:コーチングの基本モデル
『「コーチング脳」のつくり方』で紹介されているコーチングの基本モデルは次のとおりです。
①問題にこちらから深入りしない
②良い状態で理想を引き出す
③現実的なゴール(目標)と新しい行動を具体的に決めてもらう
④新しい行動をとれるよう勇気づける
⑤(必要なら)障害対策のプランを用意する
①②でコーチングのテーマを決める際に、クライアントの言ったテーマをそのまま採用すると本来の目的を見失う可能性があります。
クライアントは「人間関係が最悪だからどうにかしたい」と言っているからといって、
人間関係をテーマにするのが最適とは限りません。
目の前の問題に捉われて視野が狭くなっているかもしれないので、
まずは明るい気持ちに切り替えて理想の状態をイメージしてもらいます。
人間関係に悩んでいるクライアントが「人間関係をよくしたい」と答えたなら、
それはマイナスの状況をゼロに戻したにすぎません。
人間関係がよくなった時点から、さらにプラスの状態・望むことを引き出します。
③でゴールと行動を決める際には、GROWモデルが役立ちます。
【GROWモデル】
Goal :本来の目的から具体的なゴールを設定する
Reality :現状でできていること、現状とのギャップを確認する
Options:ギャップを埋めるための選択肢を広げる
Will :具体的に何から始めるか決める
④の勇気づけでは、クライアントが新しい行動に向かえる心の状態をつくるステップです。
具体的には、これまでやってきたことやできたことを思い出させたり、行動が取りにくそうならば行動のはじめの一歩を小さく設定したりします。
何が勇気づけになるのかは、クライアントに集中して向き合って考えます。
勇気づけるにはこの言葉をかけておけばOK!というものではありません。
⑤では、予想されるトラブルがあるならあらかじめ対策を立てておきます。
『「コーチング脳」のつくり方』の感想
『「コーチング脳」のつくり方』を読んで個人的に心に残ったポイントを紹介します。
アドラー心理学では「人は、望んでいるものになれる」と考えましょう、と教えられます。僕は最初にこれをきいたとき、必ず望んでいるものになれるはずなんてない、と思いました。(中略)
これは、その上であえて意識的に、「望んだ通りになる」という考えを採用してみませんか?という提案なのです。「望んだ通りになる」と考えたほうが、幸せな人生を生きるのに役立ちやすいからです。
望んだ通りになれるかわからないからこそ、あえて「望んだ通りになる」と信じる。
その考え方はとても魅力的だと感じました。
「望んだ通りにはならない」という考え方を採用してしまうと、
自分が何を望んでいるか考えるだけムダな気持ちになってしまいます。
もちろんプロのスポーツ選手になれない人が大半なのはみなわかっていても、
それでも「夢は叶う!」という考えを採用するほうが幸福な人生を送れそうです。
私たちの「状態」は、私たちの思考や行動、そして周りにいる人たちにも影響するからです。私たちが理想としているのは「リソースフル」な状態です。リソースフルというのは、自分の能力を発揮できる状態ということです。より正確にいうと、自分の内側にあるリソース(資源)も、外側にあるリソースも最大限使えるような状態ということです。
自分の心身の状態を整えるだけで、自然と問題がなくなってしまうこともありますよね。
アランの幸福論に”不機嫌は伝染する”という言葉もありますが、自分の心身の状態を良好に保つことは自分の幸せのためにも周りの人のためにもなります。
コーチが自己一致していること自体が、クライアントを勇気づけることもあるそうです。
『「コーチング脳」のつくり方』の次に読むなら?
『「コーチング脳」のつくり方』とあわせて読みたい3冊を紹介します。
①『コーチング・バイブル』
『コーチング・バイブル』はコーチングをより本格的に学びたい人の教科書的な本です。
コミュニケーションスキルをパパっと上げたい!という軽い気持ちで読むと、
ちょっと荷が重いかもしれません。
コーアクティブコーチング(コーチとクライアントの協働関係)について、
前提となる信念や必要なスキルが学べます。
参考記事:『コーチング・バイブル(第4版)』の要約:コーアクティブコーチングとは?
②『幸せになる勇気』
哲人と青年の対話から、アドラー心理学の実践でぶつかる壁がわかる本です。
「どんな人間関係も尊敬から始まる」という価値観は、コーチングの姿勢につながります。
参考記事:『幸せになる勇気』の要約まとめ:人間関係は無条件の尊敬から始める
③『アルフレッド・アドラー人生に革命が起きる100の言葉』
アドラー心理学に興味を持った人が最初に読むのにおすすめの本。
わかりやすい言葉でアドラー心理学の基本概念がわかります。
アドラー心理学でよく扱われるテーマをさらっと知りたい人向けです。
参考記事:アドラーの名言がいっぱい!入門におすすめの『アルフレッド・アドラー人生に革命が起きる100の言葉』
まとめ:アドラー心理学をベースにしたコーチングがわかる
・クライアント自身が自分の問題を解決できる力があると信じる
・自己実現した状態=自分の心の声を聴いて自分らしく生きている
・周囲の価値観に適応しすぎると自己実現が阻害される
・自己一致したコーチが無条件で受容し、正確に共感することで実現傾向を取り戻す
・コーチングのテーマは目の前の課題ではなく本来の目的にフォーカスする
・GROWモデルで具体的な目標と行動を決める
・望んだ通りになるかわからないからこそ、あえて「望んだ通りになる」と信じる
エピソードを通じてコーチング的な関わりがわかる本でした。
居酒屋さんでのアルバイトで出会った女の子のエピソードが、
個人的にすごくよかったです。
コーチングの醍醐味なのかもしれません。
★今回紹介した本★
★コーチングのおすすめ本★
参考記事:コーチング初心者におすすめの本5選:傾聴スキルや心理的安全性に関する本も紹介
★読書好きな人におすすめのサービス★
・Amazon Kindle Unlimitedで電子書籍を無料体験
・Amazon Audibleで聴く読書を無料体験
電子書籍で多読したい!人にはAmazon Kindle Unlimited!
定価より安くてコスパがいいです。
時間がないけど読書したい人にはAmazon Audible!
手が離せないときにも耳で読書できます。
無料体験後はいつでも解約可能です!
⇓⇓登録手順や解約手順はこちら!
【Amazon Audibleの無料体験はかんたん】課金前に解約しても1冊無料でもらえる!
★さくっとインプットしたいなら本の要約サービスflier(フライヤー)★
読み放題のゴールドプランが7日間無料で試せます。
参考記事:本の要約サービスflier(フライヤー)の料金プランはどれがおすすめ?【お得に試せる】
本業の会社員では研修講師やファシリテーターをしています。コーチングも提供しているので興味がある方はぜひご検討ください。
自分を信じて行動が続けられる方法:コーチングを受けてみませんか?