『上流思考』の要約まとめ:システム全体を考えて行動する

『上流思考』の要約まとめ:システム全体を考えて行動する

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『上流思考』は、システム全体を考えて問題を未然に防ぐ思考法の本です。

 

川の流れにたとえて、下流の事後対応ではなく、上流で問題がそもそも起こらないようにすることを考えようという内容。

上流・下流の対応はどちらも重要ですが、現状は下流の対応に偏っていて、上流の活動に労力が割かれていないと提言しています。

★ 『上流思考』 の要約ポイント★

 

・上流思考はなぜ大切なのか

 

・上流思考を阻む壁

 

・上流思考のための3つのアドバイス

事例を読むと、「なんでこんなことに気づかないのか」と思いますが、

問題の渦中にいたらきっと自分も下流の対応に捉われてしまうリスクを感じました。

この記事では 『上流思考』 の要約を紹介します。

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要約①:上流思考はなぜ大切なのか

 

上流思考とは、システム全体を考える、そもそも問題が起こらないように考えることです。

上流で問題をつぶすことができれば、下流で対応するよりも大きな成果を挙げられる可能性があります。

 

いかに上流思考が重要であり、かつ、見逃されているかがわかる例として、オンライン旅行会社エクスペディアの事例が紹介されています。

2012年、エクスペディアでは顧客の58%が電話での問い合わせをしてくる状態であり、問い合わせの理由no.1は「日程表がほしい」でした。

 

1年で2000万回も「日程表がほしい」という電話を受けていたのだとか。

 

日程表はメールで送られてくるのですが、メールを削除してしまった/メールアドレスの誤入力/メールが見つからないなどの理由で再送を依頼していました。

 

そこで、日程表を自分でダウンロードできるようにしたり、メールが迷惑メールと判断されないように工夫したりして、顧客からの問い合わせは58%⇒15%に減りました。

なぜ、顧客からの問い合わせが1年に2000万回になるまで、顧客からの問い合わせを減らすための対策が取られなかったのでしょうか。

 

それはカスタマーサービス部門は10分の問い合わせ電話を2分に短縮しようとがんばっていたからです。これは下流の対応であり、上流の対応はそもそも電話を発生させないことに当たります。

 

組織が細分化されることで、下流の対応で測られる評価指標を見て動くようになります。

だが、そこには何かが欠けていた。顧客が問い合わせをせずにすむようにすることを目指す部門は一つもなかった。実際、顧客からの問い合わせ件数を減らしても、どの部門の得にもならなかった。問い合わせ件数はどの部門の業績評価基準でもなかったのだ。

何も考えずに自分の役割をまっとうしようとすると、下流の対応ばかりに目がいってしまい、抜本的に改善できる方法を見逃してしまうかもしれません。

だから、上流思考を意識する必要があるのです。

上流の解決策がつねに正しいとは言わない。それに下流活動をやめるべきだということでもけっしてないー救助する人はどんなときでも必要だ。ここで言いたいのは、取り組みがあまりにも偏っているということだ。おぼれている子どもの救助にとらわれるあまり、そもそもなぜ救助が必要なのか調べることもしていない。

要約②:上流思考を阻む壁

 

上流思考で考えようと思ったとき、上流思考を阻む壁が3つあります。

・「そういうものだ」という思い込み

 

・当事者意識の欠如

 

・トンネリング(視野狭窄)

1つずつ紹介します。

「そういうものだ」という思い込み

まず、問題が見えていないと解決しようと思うことはできません。

その状態が当たり前になってしまうと、「これは問題ではないか」という視点が失われます。

 

たとえば、シカゴ区の公立高校では卒業できる確率が約52%だったそうです。

それを「そういうものだ」と思っているうちは、卒業できる確率は上がりません。

当事者意識の欠如

問題を解決できる立場にある人が、それを解決するのは自分ではないと思ってしまうと、

上流の活動をするのは難しいです。

 

さきほどのシカゴ区の卒業率でいえば、「生徒やその親の問題だ」と認識している=教師の当事者意識が欠如しています。

教師が当事者意識を持ち、「これは自分たちの問題だ」と捉えたところから解決に向かい始めます。

だが本当に考えなくてはならないのは「誰がいちばん打撃を受けるか」ではない。「問題を解決できる最適な立場にいるのは誰か?その人たちは行動を起こすだろうか?」だ。

ちなみに、シカゴ区の高校の卒業率の問題は、高校1年生を終えた時点の学業成績が卒業率に大きく関わることを発見し、卒業率は78%に挙がったそうです。

 

また、心理的適格性(問題に対処する資格があるかどうか)も当事者意識に影響します。

たとえば、女性のセクハラの抗議活動に対して、男性は当事者として関わる度合が低くなります。

 

実害がないと適格性がないと感じやすいので、自分の役割である/自分が解決できると思えることが当事者意識を持たせるうえで重要です。

トンネリング(視野狭窄)

トンネリングとは、目の前の問題しか見えなくなることです。

 

心のゆとりがないと、人はとんでもなく愚かな判断をしてしまいます。

急かされて判断を誤ったことは、誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。

研究によると、お金や時間、心のゆとりなどが欠乏していると感じるとき、大きな問題が小さな問題を意識の外に締め出すのではない。困ったことに、小さな問題が大きな問題を締め出してしまうのだ。

目の前に些細な、でも時間の余裕のないタスクがたくさんあったら、じっくり時間をかけてやるべき重大な仕事が後回しにされてしまいます。

しかも、小さなタスクを次々こなすという達成感があるので、余計にたちが悪いのです。

 

上流思考を促すには、上流活動に費やす時間や労力をあらかじめ仕組みとしてつくっておく等、構造的なゆとりを意図的につくる必要があります。

要約③:上流思考のための3つのアドバイス

 

最後に、上流思考のための3つのアドバイスを紹介します。

①「行動」は性急に、「結果」は気長に

 

②「マクロ」は「ミクロ」から始まる

 

③「薬方式」より「スコアボード方式」を

上流思考は、上流にアプローチするがゆえに結果が出るのに時間がかかります。

すぐにわかりやすい結果が出るものではない、という姿勢で取り組みましょう。

 

システム全体を考えるからといって、ミクロな視点をないがしろにしていいわけではありません。

 

上流思考のヒントは、問題に寄り添うことから始まります。

1人を助ける方法を知らなければ、もっと多くの人を助けられないのです。

 

薬のような完璧な解決策ではなく、進捗がわかるスコアボードで改善しましょう。進捗のデータがわかるほうが、当事者がタイムリーに学習しやすいです。

 

公共サービスや企業の事例が多いですが、上流思考は身近な問題から活用できます。

仕方ないとあきらめていることやくり返し起こる問題について、「上流思考で考えるとどうなるか?」を想像してみましょう。

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『上流思考』 の次に読むなら?おすすめの本3選

 

『上流思考』 とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『論点思考』

 

真に解くべき問題とは何か?与えられた課題は正しいのか?を考えることが、事例とともにわかります。

本質的課題を見つめる手法を深く知りたい人におすすめです。

参考記事:『論点思考』の要約まとめ:真に解くべき問題をどう設定するか【問題解決の最上流】

②『実践型クリティカルシンキング』

 

目標を達成するために使える、クリティカルシンキングの3STEPが講座形式でわかる本。

STEP1:目指すものを定義する

 

STEP2:何が問題なのかクリアにする

 

STEP3:打ち手を考える

解決方法を考えるよりも、目指すものや問題そのものを明確にするほうが重要です。

参考記事:『実践型クリティカルシンキング』の要約まとめ:目指すものを達成するための3STEP

③『0ベース思考』

 

前提を疑うという姿勢につながるのが『0ベース思考』です。

自分のバイアス(偏見)や一般常識から外れて考えることの重要性、何より楽しさがわかります。

参考記事:『0ベース思考』の要約:社会常識や一般的な基準を超えて自由に考える

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まとめ:問題そのものをなくせないか?

・上流思考=システム全体を考える、問題が起こらないように考える

 

・下流の対応はわかりやすく評価されやすい

 

・「そういうものだ」と思っていると問題自体が見えない

 

・困っている人ではなく、解決できる力がある人が解決する

 

・時間的/精神的ゆとりがないと目の前の小さい問題しか見えない

 

・問題に寄り添うことでシステム全体の改善点がわかる

問題に埋没していると、目の前の対応だけに追われてしまいます。

一歩引いて、全体を見渡して根本解決を図るために、一歩引いてみるための時間をあらかじめつくっておこうと思いました。

 

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