『RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる』は、変化の早い不確実な世界では知識の幅があること、多様な基本領域からアナロジー思考ができることが重要だよ、という本です。
早くから専門領域を絞り込んで特化するデメリット、逆にいろいろな体験をする機関を経て自分に合ったものを選んで取り組むメリットがよくわかります。
成功する要因とされるグリット(やり抜く力)の落とし穴もとてもおもしろかったです。
★ 『RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる』 の要約ポイント★
・タイガーウッズタイプが称賛されフェデラータイプは見過ごされている
・変化が早くて不確実な世界では知識の幅が広いほうが有利
・グリット(やり抜く力)の落とし穴
この本を読むと、「自分のやりたいこと、天職を早く見つけなければ」と焦る人も多いと思いますが、いろいろ寄り道した経験も大切な財産だと思えます。早期の専門教育を推奨する風潮やセールストークにも騙されなくなります。
この記事では 『RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる』 の要約を紹介します。
目次
要約①:タイガーウッズタイプが称賛されフェデラータイプは見過ごされている
『RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる』は、ゴルフ界のタイガーウッズと、テニス界のフェデラー、スポーツで成功したアスリートの比較から始まります。
タイガーウッズは言葉がわかる前からゴルフを教えらえ、ゴルフ漬けの日々だったそうです。一方、フェデラーは、いろいろなスポーツを体験した後にテニスという専門分野を決めました。
どちらもすばらしく成功した例ですが、世間ではタイガーウッズタイプがもてはやされ、フェデラータイプも多くいるのに見過ごされています。タイガーウッズのほうが教育業界のセールスに都合がよく、早くから専門分野を絞ることが成功の近道のように感じさせてくれます。
しかし、練習量で成功が決まるのは、変動する要素が少なく、正確なフィードバックがすぐ得られるものに限られます。チェスやゴルフが代表例です。
認知心理学でも、永続的な知識を得るためにはゆっくりと学習するのが最善という研究があるそうです。多様な基本領域を学ぶと問題の根底にある構造を見抜く力が育ちます。
要約②:変化が早くて不確実な世界では知識の幅が広いほうが有利
親切な学習環境では練習量で成功が決まるが、いじわるな学習環境では練習量よりも知識の幅が重要です。
1万時間の法則など、練習量で成功が決まる分野はたしかにありますが、それは親切な学習環境に限ります。
親切な学習環境:経験が役に立つ、パターンが繰り返される、正確なフィードバックがすぐ得られる
→意識的な練習が役に立つ
例)チェス、ゴルフなど
いじわるな学習環境:ルールが不完全、パターンが変わる、フィードバックが遅くて不正確
→知識の幅が役に立つ
例)医師、株予測など
今の世の中がどちらかと言えば、VUCAと言われるくらい不確実であいまいで、予測が難しい社会です。また、親切な学習環境ではコンピューターのパターン学習が最大限効果を発揮します。
今の社会で成果を出すために、かつ、コンピューターに代替されないように、知識の幅が重要です。
いじわるな学習環境では、練習量が逆に足かせになることもあります。狭い分野への専門特化といじわるな学習環境が組み合わさると、経験が判断を誤らせます。
認知的定着:ルールが変更されるとエキスパートは素人より適応に苦労する
要約③:グリット(やり抜く力)の落とし穴
成功の要因の1つとしてよく言われるのはグリット(やり抜く力)です。しかし、グリットにも落とし穴があります。
まず、グリットが注目された研究は優秀な学生を集めた母集団で行われており、そもそも頭の良さや家柄などおよそ揃ったうえでの研究でした。そのなかで最後までやりきる力、意志の力が重要だった、という研究です。
グリットを発揮して一つの分野にこだわると、マッチ・クオリティーを無視する可能性があります。
マッチ・クオリティー:
ある仕事をする人とその仕事がどのくらいあっているか。能力や性質と仕事との相性。
マッチ・クオリティーの向上はスキル取得の遅れのマイナスを上回る、という研究結果もあります。
”大学卒業時に専門分野を決めるのは6歳のときに結婚相手を決めるようなもの”、と表現されていました。
若者がリスクの高い仕事に惹かれるのは合理的で、リスクが高いほど合わないなら早く合わないとわかったほうがいいですよね。重要なのは、やめようと思う気持ちが忍耐力が足りないからなのか、もっと自分に合うものを見つけたからなのかを感じ取ることです。
グリットを発揮しているほうが成功ストーリーとしても語られやすいです。マッチ・クオリティーを上げるためにいろいろ試した後に成功したキャリアを持つ人はたくさんいます。ただ、自分を例外だと思い、一直線のキャリアパスを描いてこなかった自分を恥ずかしいと思っている人が多いそうです。
もう一つ、グリットの落とし穴としては、グリットがある人・ない人がいるように勘違いさせてしまうことです。
「誰にグリットがあるか」ではなく、「いつならグリットがあるか」が最適な問いです。
いつ、何に対してもやり抜く力を発揮できる人はめずらしく、状況に応じてグリットがあるもの・ないものがあります。グリットがあるものをいろいろ試しながら見極めることがおすすめされています。
「本当は、私は何になりたいのか?」の完璧な答えを探してもみつかりません。
「いろいろな自分があるなかで、そのうちどれを今開拓してみるべきか?どうすれば開拓できるのか?」を試してみるというスタンスを忘れずにいたいと思いました。
chatGPTに今までの経験・得た知識を入れて、知識の幅を広げるために何をすべきか?聞いてみました。
わたしの経歴だと、おすすめは演劇だそうです。ちょっと演劇ワークショップでも行ってみようと思います。
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