『両利きの組織をつくる』の要約まとめ:深化と探索を共存させるには組織文化が重要

『両利きの組織をつくる』の要約まとめ:深化と探索を共存させるには組織文化が重要

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『両利きの組織をつくる』は既存事業と新規事業を共存させる組織カルチャーをつくるための本です。

旭硝子(AGC)で実際に組織変革に取り組んだ事例も紹介されています。

いち平社員にはちょっと難しい本かな~と思いましたが、

組織も人から成るものである限り、対話による変革が大切だとわかりました。

★『両利きの組織をつくる』の要約ポイント★

 

・両利きの経営とは既存事業(守り)と新規事業(攻め)の共存

 

・深化と探索の共存には組織カルチャーが重要

 

・組織変革は適応課題である

経営者、チームを率いているリーダー、人事部や新規企画の部署の方はまさに直面している問題のヒントになるでしょう。

この記事では『両利きの組織をつくる』の要約を紹介します。

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要約①:両利きの経営とは守りと攻めの共存

 

両利きの経営とは、既存事業(守り)と新規事業(攻め)を共存させる経営のことです。

既存事業(守り):既存事業を効率化、改善する⇒深化

 

新規事業(攻め):イノベーション      ⇒探索

”両利きの~”という表現は『両利きの経営』で訳された言葉です。

日本企業が得意なのは既存事業を改善して精度を上げることであり、深化に専念するあまり、探索が疎かになってしまいます。

 

過去には深化で既存事業のクオリティを上げるだけで成長が可能でした。

しかし、クオリティで差がつきにくく変化が激しい時代には、既存事業にこだわり続けるのは危険です。

 

過去の成功体験にとらわれ過ぎてしまうことをサクセストラップと言います。

サクセストラップ:過去の成功体験が強すぎて、自分たちのやり方を疑わない

 

たとえば、日本のガラケーは日本の企業同士で性能を競っていたら、

スマートフォンという破壊的イノベーションによりディスラプション(崩壊)しました。

既存事業は常にディスラプションの恐怖があります。

 

リスクヘッジという意味でも、自分たちが新しい破壊的イノベーターになるという意味でも、組織には新規事業をつくるための探索も必要です。

要約②:深化と探索の共存には組織カルチャーが重要

 

深化と探索を共存させるのは重要なのですが、とても難易度が高いです。

なぜ難易度が高いかといえば、深化と探索は相反する組織カルチャーが必要だから。

・深化:言われたことをきちんとやる、チームワーク、改善、精度を上げる

 

・探索:とりあえずやってみる、スピード、柔軟性、失敗を恐れない

うまく共存できなければ、お互いの足を引っ張る結果になります。

 

既存事業に従事している社員から新規事業企画の社員を見て、”コストの無駄遣い、遊んでいる、成果を上げていない”などと批判する。

新規事業に関わる社員は、既存事業のようにすぐに数値的な成果を求められてモチベーションをなくす等の不協和音が起こるかもしれません。

まずは分離し、新規事業は社長直下のプロジェクトで行うなどの対策が必要です。

 

組織を構成する基本要素を表すコングルエンスモデルがあります。

コングルエンスモデルでは、下記の4つの要素の連携が取れていることが大切です。

・KSF(成功の鍵):組織が何をやるべきか

 

・人材      :どんな人材が必要か

 

・公式の組織   :人事制度、手順、管理システム

 

・組織カルチャー :仕事のやり方

連携が取れていることをアラインメント(alignment)が取れていると言います。

 

組織変革とはアラインメントの移行であり、

そのためには組織カルチャーが大きな役割を果たします。

組織カルチャー:仕事のやり方、行動パターン

行動パターンはトップダウンですぐに変わるものではありません。

みずから変わりたくなるタネをまきながら、対話により変化を促していきます。

 

具体的には、自社の中の小さな成功体験が変化に対する好ましい感情を伝染させていきます。

 

他社事例を提示して説得するのではなく、

自社の小さな困りごとを解決して成功体験にしていきましょう。

自分事になるのが大切なんですね。
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要約③:組織変革は適応課題である

 

ビジネス上の課題はいろいろありますが、

知識やノウハウで解決できる問題と解決できない問題の2つに分類できます。

技術的課題:知識やノウハウで一方的に解決できる

 

適応課題 :明確な正解がなく一方的に解決できない

組織変革は適応課題であり、特効薬はありません。

 

適応課題の特徴は、他者との関係性に起因していること。

組織変革は他者との関係性を変えていくのが不可欠です。

 

具体的には、経営者の意思表示(トップダウン)とそれに賛同する社員の行動(ボトムアップ)が起こることで組織変革は進んでいきます。

 

組織変革にもイノベーター理論が当てはまります。

★イノベーター理論★

商品やサービスが市場に受け入れられるまでの過程を示した理論

 

・イノベーター(2.5%)     :最先端のものをとりあえず買う

 

・アーリーアダプター(13.5%):最先端のものに興味がある

 

・アーリーマジョリティ(34%):流行ってきたら買う

 

・レイトマジョリティ(34%) :慎重に選んで買う

 

・ラガード(16%)      :買わない

変換点(ティッピングポイント)はイノベーター+アーリーアダプター(16%)です。

 

最初のコア集団形成がカギであり、いかにコア集団に刺さるビジョン・why(なぜやるのか)を伝えられるかにかかっています。

 

『whyから始めよ』はリーダー必読です!

参考記事:『whyから始めよ』の要約と感想:インスパイア型リーダーは内から外へ一貫性がある

 

経営者自身も問題の一部であると自覚して、現状を受け入れて目指すビジョンを繰り返し伝え続けましょう。

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『両利きの組織をつくる』を無料で読む方法

 

『両利きの組織をつくる』は耳で聴けるオーディオブックがあります。

Amazon Audibleの無料体験を活用すれば無料で読むことができます。

 

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『両利きの組織をつくる』の次に読むなら?おすすめ本3選

 

『両利きの組織をつくる』とあわせて読みたい3冊を紹介します。

①『whyから始めよ』

 

組織文化の核にある価値観は、組織の存在理由=whyです。

 

アップル社やライト兄弟、キング牧師など、whyで人を惹きつけた例がたくさん載っています。

数々のビジネス書に引用されているので、

1度は読んでおきたい本です。

参考記事:『whyから始めよ』の要約と感想:インスパイア型リーダーは内から外へ一貫性がある

②『失敗の本質』

 

大東亜戦争での日本軍の失敗の原因を分析することで、

日本的な組織の欠点を明確にする本です。

 

日本軍の失敗の本質をひと言でまとめると、変革に失敗したこと。

心理的安全性が高い組織の対極、戦時中の軍隊から教訓を学べます。

参考記事:『失敗の本質』の要約まとめ:失敗の原因と自己革新組織になるための教訓を解説

③『組織が変わる』

 

組織が抱える複雑な問題における対話の重要性がわかります。

 

ゆるやかに悪化していく業績や組織の雰囲気をなんとかしたい!

と考えるリーダーやマネジメント層に役立つ1冊。

参考記事:『組織が変わる』の要約:2on2ミーティングで問題を外在化する

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まとめ:両利きの組織カルチャーは対話でつくる

・両利きの経営=新規事業(攻め)と既存事業(守り)の共存

 

・サクセストラップにハマると既存事業の深化に偏りがち

 

・組織の各構成要素が調和している/連携が取れていることが重要

 

・攻めの探索と守りの深化は組織カルチャーが異なるので共存が難しい

 

・組織変革は明確な解答がない適応課題である

 

・ティッピングポイントを超えるコア集団の形成がカギ

 

・経営者のwhy/ビジョンを繰り返し伝える

経営論というと「自分には関係ない」と思いがちですが、自分のキャリアにも当てはまります。

 

過去の成功体験が新しい挑戦を邪魔していないか、

攻めと守りのバランスを考えさせられる本でした。

 

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